リンカネーション

月夜

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始まり

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人類は何処かで神様の怒りに触れたらしい.....
宗教団体がそう訴えたのもそのはず。
科学というものに支えられて栄えてきた人類だが、突然未知なる『魔術』とやらがやってきたのだ。
まぁ、人類の適応力もさながらで、しばらく経てば混乱も収まり、簡単に利用できるようになったのだが。
その中でも、科学と魔術の両方を極め、どれだけの人が束になっても叶わないとされる人物が帝王となった。
いつからその地位についていたのかは、誰も知らなかった。
帝王は言った。
「世界の中心に建っている石の塔を攻略して、を取ってきてください。取ってきた者の願いを何でも叶えてあげましょう。」
帝王は、魔術と科学の天才、いや、神に等しい力を持っていると言っても過言ではない人物だ。
だからこそ、人々は奮起し、塔を攻略しに旅立った。
人々はその者たちを尊敬と皮肉を持って『勇者』と呼んだ。

さて、話は全くもって変わるのだが、俺、輪廻は『出来損ない』と呼ばれている。
何故かというと、帝王が、勇者育成用の学校を作ったことに由来する。
親に行ってくると告げて通い始めたこの学校だが、どうやら俺は学校の歴史の中でも群を抜いての劣等生だそうだ。
まぁ、理由も何となくわかる。
まず、モンスター退治が出来ない。
塔の中には何故が魔物やモンスターが彷徨いている。
その為、身を守るには戦わなければ行けないのだが、
(いや、死ぬかもしれない戦いに容赦なく体を晒せねぇよ!!)
よって無理なのだ。
魔術もろくに使えず、血を見たら失神するし、良いとこがない。
それでも追い出されないのは、魔物に関する知識だけはトップだからだ。
昔から記憶力だけは良かったからだと思う。
そのおかげで少しは居場所があるわけだけど.......
「おーい!『出来損ない君』一緒に遊ぼうぜー!!」
クラスメイトによるいじめが続いている。
殴られる、金を盗られるのは当たり前。
逆らえば当然死にかけるまでボコされる。
さらにはやってはいない罪まで被されて......
(なんで俺は今もこんな場所にいるんだろ)
まぁ、いまさら帰っても、家に居場所が無いからだろう。
そもそも、俺と両親は血の繋がっていないから。
(俺って何処でも要らない子ってことか.......)
遥か昔にそんなことないよと言って、優しく抱きしめてくれたのは誰だっけ?
「みーつけた。全く手間取らせやがって.....お前今から処刑することに決定な!!」
また、火炙りにされるのだろうか?
それとも.......
えい!という掛け声と共に、飛ばされた場所は........
「おいおいおい!!!う、嘘だろ......」
ゲートの中、石の塔の内部だった。

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