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少女の思考回路

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..............今日は特に何事もなかったな。
何か仕掛けてくると思ったのに。
この調子なら、渚に変わったとしも問題なさそうだ。
家に帰ると同時に僕たちは入れ替わる。
流石に、
だから入れ替わる必要があるのだ。
......................
.............
私が最初に行うことは風呂に入ること。
身を清める行為でもあるが、一種の安息を得ることもできる。
何よりも、水に触れていると安心できる。
それに、風呂はどこか母親の胎の中に似ている気がする。
こうやって体を沈めてみても、どこか自分自身を守ってくれているような気分になるのだ。
まぁ、少しでも鼻に水が入ったら、私は死ぬかもしれない。
口に水が入り、それが気道へと向かったら、誤嚥性肺炎になってしまうかもしれない。
......それは日常の食事でも起こるものだけど。
よくよく考えてみれば、どうしてこんな世界を生きようと思えるのだろうか?
大気中には見知らぬ細菌がたくさんウヨウヨしている。
「人類はまだ推定種数の僅か7%の菌類しか発見していないみたいだよ。そう考えるとさ、星を探して自分の名前をつけるよりは、菌を研究して、名前をつけちゃった方が手っ取り早いかも。電子顕微鏡を持ってたりする大学とか高校に入っちゃって、沢山研究しちゃうとか。毒から薬を作ることもできるんだ。それに菌なんて身体中にあるようなものだし、もしかしたら病気を打ち消す効果のあるものもあるかもね。」
あはは、なんて前に理久が言ってた気がする。
その後に、
「でも菌って疎まれたり、いじめの道具に使われるようなものだから、研究が進まないのかもねぇ。汚いってイメージもあるし。全部がそうってわけでもないのに。だから、進んで研究しようって人が少ないのかもね。」
なんて呟いていた。
「何で理久はそんなに知識を持っているの?」
「暇だったからかなぁ。元々探究心は強い方なので。」
もし君が論文が必要な時は、書いてあげる、なんて言う理久に、
「結局私が書いてるじゃん。」
と突っ込んだこともあった。
理久が協力してくれるなら、私が小さい頃から密かに描いていた夢も実現できるかもしれない。

小さい頃は言ってもいいかもしれないけど、命の価値だとか、そう言う概念をきちんと教えられた今じゃ言っちゃいけないだろう夢。
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