415 / 425
四章 雪闇ブラッド
喧嘩
しおりを挟む
後ろを振り返ると、月光に横から照らされながら、立っている理久がいた。
戦場から帰ってきたばかりだから、本来返り血が激しいはずなのに。
ちゃんとシャワー浴びて綺麗にして。
凪が来る前の理久ならそんなの気にしないと思ったのにな。
理久は俺のそばで眠りにつく凪の顔を見てから、俺に手招きをした。
それに従ってベッドに出る。
理久の部屋から出て、少し歩いて広間に出る。
昼間であれば人が行き交い騒がしいここも、夜になれば途端に静かになる。
理久と二人きりになった瞬間。
理久は俺の胸ぐらを掴んだ。
「ねぇ、凪と二人きりで寝るとかなに考えてるの?凪に手出ししたら雪でも怒るよ?」
そう理久が言う。
その目はどう見ても本気で。
本気で怒り狂っていた。
「そんな事言うなら常に理久が凪の傍にいてやれよ。それもできねーんだろ?…、普段。凪がどんな顔してご飯食べてるのとか、どんな気持ちで過ごしているのかわからないのかよ」
そう理久に問う。
大切なら常に凪の傍にいてやれよ。
お前は王様なんだろ?
お前が望めば世界は思うがままなんだろ?
暴君らしく自分の意思を貫き通せよ。
あんな老害どもに従ってテメェの意思を曲げる意味なんて全くないじゃん。
「なに?凪よりあの老害どものが大事なの?だから凪なんてほっぽってあいつらの言うこと聞くわけ?バカみたいじゃん。フツーに考えてみろよ」
そう馬鹿にしたように笑えば、理久は普通にブチギレたみたいで。
アイアンメイデンを召喚した。
これ以上余計な事を言うならばこれで殺すという脅しだろう。
俺は吸血鬼だから。
ただ首絞めただけじゃ死なないよ。
心臓に杭を打ち込んでもらわないと。
それも銀で出来た杭を。
そんな事理久も知っているはずだし、無意味だって事もわかっているはずだ。
なのにそれをするのは。
きっと、どうにもならない気持ちの発散だろう。
そうするしかなかったのだろう。
でも、俺にそんな事をする気はやっぱり無いみたいで。
徐々に理久の処刑道具は消えていった。
「僕だって…、僕だって!凪の傍にずっと居れるならいたい!朝から晩までずっと一緒にいたい!けどさぁ、凪をこの国に置くには言う事聞けって老害どもうるさいんだ。」
そう理久が溜め込んでいたものを吐き出すように言う。
ポタポタと床に涙を溢しながら。
「僕が言うことを聞かないと、凪をあの老害どもの実験道具として扱うって…!そりゃ僕が直接抵抗すればいいのかもしれないけど…。…、怖いんだ。あいつらを前にすると凄く震えるんだ。昔から植え付けられたトラウマって言えばいいのかな…」
そう、震えながら理久は言う。
戦場から帰ってきたばかりだから、本来返り血が激しいはずなのに。
ちゃんとシャワー浴びて綺麗にして。
凪が来る前の理久ならそんなの気にしないと思ったのにな。
理久は俺のそばで眠りにつく凪の顔を見てから、俺に手招きをした。
それに従ってベッドに出る。
理久の部屋から出て、少し歩いて広間に出る。
昼間であれば人が行き交い騒がしいここも、夜になれば途端に静かになる。
理久と二人きりになった瞬間。
理久は俺の胸ぐらを掴んだ。
「ねぇ、凪と二人きりで寝るとかなに考えてるの?凪に手出ししたら雪でも怒るよ?」
そう理久が言う。
その目はどう見ても本気で。
本気で怒り狂っていた。
「そんな事言うなら常に理久が凪の傍にいてやれよ。それもできねーんだろ?…、普段。凪がどんな顔してご飯食べてるのとか、どんな気持ちで過ごしているのかわからないのかよ」
そう理久に問う。
大切なら常に凪の傍にいてやれよ。
お前は王様なんだろ?
お前が望めば世界は思うがままなんだろ?
暴君らしく自分の意思を貫き通せよ。
あんな老害どもに従ってテメェの意思を曲げる意味なんて全くないじゃん。
「なに?凪よりあの老害どものが大事なの?だから凪なんてほっぽってあいつらの言うこと聞くわけ?バカみたいじゃん。フツーに考えてみろよ」
そう馬鹿にしたように笑えば、理久は普通にブチギレたみたいで。
アイアンメイデンを召喚した。
これ以上余計な事を言うならばこれで殺すという脅しだろう。
俺は吸血鬼だから。
ただ首絞めただけじゃ死なないよ。
心臓に杭を打ち込んでもらわないと。
それも銀で出来た杭を。
そんな事理久も知っているはずだし、無意味だって事もわかっているはずだ。
なのにそれをするのは。
きっと、どうにもならない気持ちの発散だろう。
そうするしかなかったのだろう。
でも、俺にそんな事をする気はやっぱり無いみたいで。
徐々に理久の処刑道具は消えていった。
「僕だって…、僕だって!凪の傍にずっと居れるならいたい!朝から晩までずっと一緒にいたい!けどさぁ、凪をこの国に置くには言う事聞けって老害どもうるさいんだ。」
そう理久が溜め込んでいたものを吐き出すように言う。
ポタポタと床に涙を溢しながら。
「僕が言うことを聞かないと、凪をあの老害どもの実験道具として扱うって…!そりゃ僕が直接抵抗すればいいのかもしれないけど…。…、怖いんだ。あいつらを前にすると凄く震えるんだ。昔から植え付けられたトラウマって言えばいいのかな…」
そう、震えながら理久は言う。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。
水鳴諒
BL
目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)
花いちもんめ
月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。
ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。
大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。
涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。
「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる