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四章 雪闇ブラッド

どう転がるかわからない賭け

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そう雪が言う。
「言っとくけどさ、お前の血なんていらないから。同情でも俺に差し出そうとしなくていいから。お前の血は要らない」
ぴたりと動きを止めた。
同時に音楽も止まる。
死ぬ気なのだろうか。
僕じゃないとすると誰から血を貰う気なのだろうか。
その瞬間、僕の頭の中に一人の人物が思い浮かんだ。
でも、そんなわけないと。
誕生日の次の日に死ぬ。
それはまるでクリスの話みたいだった。
誕生日の次の日に自殺。
数多の命を奪い切り、血影家が生まれる原因になったもの。
魔界での初代魔王の手先にて最恐と言われ恐れられた男。
処刑道具『串刺し公』で自身を突き刺して。
口の中から一気に差込んで。
自殺して。
無差別に命を奪った槍は最後に自身の命を貫いたのだ。
内臓をぐちゃぐちゃにして死んだクリスは最後に何を思っていたのだろう。
そんな伝説を思い出した。
そして目の前の雪にそれが重なって。
なぜかクリスの愛しい人の為に死んだという仮説と重なって。
なんだかとても胸が痛くなった。
その相手が誰であろうがいいはずなのに。
なぜか凪のような気がして胸が酷く傷んだ。
叶わない恋ならいいのにとか願ってしまう自分がいて。
「なぁ、まさか死ぬ気なんか?クリスみたいに」
そう僕が言うと、雪が笑った。
呆れと見下すような、そんな視線を入り混じりさせながら。
「俺があいつと同じ結末を辿る?バカなこと言ってるんじゃねぇよ!そんなわけねぇじゃん」
俺はご先祖様と同じじゃないんだぜ?
違う人間なんだぜ?
そう言ってせせら笑うように言う。
「俺はクリスと同じ道を辿るつもりは無いよ。俺は凪の血を飲んで生きる事しか、俺にはないから」
そう雪は言う。
その瞳は貪欲に満ちていて。
ギラギラと光っている。
それに思わず喉を鳴らした。
だって、恐ろしかったから。
どこまでも貪欲で、見つめ続けたら吸い込まれてしまいそうで。
でも、その瞳に飲み込まれてはいけない。
そう考えて首を振る。
「でも、凪だって。血を飲ませてくれるとは限らんやろ。仮に飲ませてくれたって。それは愛情やなくて同情なんやないの?だってそうやろ?愛してるって言ってくれるわけやない」
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