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二章 美空ミカエル
母の狂気
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きっと、誰に聞いても真面目だとか、優等生だとか、そんな言葉ばかりが飛び出てくるであろう人物。
誰よりも王だとか、権力が似合う人物なのに。
そんな彼が家出なんて。
誘拐と言われた方がまだ納得できるのに。
耳を疑ったが、どこか、こんな日が来るのが分かっていた自分がいた。
ずっと真面目でいられる人間なんて存在しないから。
そんな人間はきっと機械かなんかだ。
ずっと真面目に言う事に従う事ができるなら。
僕は、美空がどこにいるのかはなんとなく見当をつけることは出来る。
ここ最近、美空と会話を交わしたおかげだ。
だって、美空は、先輩の事が好き。
それは今までの会話で分かっている。
そうじゃないとあんなに先輩に固執しない。
きっと先輩のところにいる。
けれど、それを母に伝えたら、先輩がどうなるかわからない。
今の母は壊れている。
そう感じる。
どこか、僕ら兄弟と同じように狂っているような気がするのだ。
だから今は隠しておくことにした。
美空の居場所を知って仕舞えば、きっとそこに行って。
先輩の事を傷つけようとするだろうから。
「知りません。そもそも僕は美空とそこまで親しくありませんから」
それはみんな知っているでしょう?
そもそも僕は、呪いが解けるまで誰とも関わっていないのですから。
先輩以外とは、ね。
そう言うと、母はしばらく黙って僕の顔を見つめてから、
「そう...、分かったわ。ねぇ、颯太。今日は学校を休みなさい。そして美空を探すのを手伝いなさい。この城の中ならどこでも行って良いから。...決して、外には出ないでね」
そう言って去って行った。
そう言ったって、あんたの言いつけなんて聞く気ないよ。
だって、僕は王座だとかそういうのもどうでもいいし。
どれだけ社会的地位を追い込もうと勇者の称号が邪魔をする。
美空が先輩の所にいるのは確定だ。
けれど、僕の覚えている限り、美空と先輩の接点なんて無い。
だから、どうして先輩の元へ向かったのか。
その根本的な疑問を解決する必要がある気がした。
だって、解決しないと、美空がまた同じことをしそうな気がしたから。
そんな事されたって困る。
ただでさえアテネの件があったのに。
もしも、先輩が美空に恋をしてしまったら。
想像しただけでゾッとした。
誰よりも王だとか、権力が似合う人物なのに。
そんな彼が家出なんて。
誘拐と言われた方がまだ納得できるのに。
耳を疑ったが、どこか、こんな日が来るのが分かっていた自分がいた。
ずっと真面目でいられる人間なんて存在しないから。
そんな人間はきっと機械かなんかだ。
ずっと真面目に言う事に従う事ができるなら。
僕は、美空がどこにいるのかはなんとなく見当をつけることは出来る。
ここ最近、美空と会話を交わしたおかげだ。
だって、美空は、先輩の事が好き。
それは今までの会話で分かっている。
そうじゃないとあんなに先輩に固執しない。
きっと先輩のところにいる。
けれど、それを母に伝えたら、先輩がどうなるかわからない。
今の母は壊れている。
そう感じる。
どこか、僕ら兄弟と同じように狂っているような気がするのだ。
だから今は隠しておくことにした。
美空の居場所を知って仕舞えば、きっとそこに行って。
先輩の事を傷つけようとするだろうから。
「知りません。そもそも僕は美空とそこまで親しくありませんから」
それはみんな知っているでしょう?
そもそも僕は、呪いが解けるまで誰とも関わっていないのですから。
先輩以外とは、ね。
そう言うと、母はしばらく黙って僕の顔を見つめてから、
「そう...、分かったわ。ねぇ、颯太。今日は学校を休みなさい。そして美空を探すのを手伝いなさい。この城の中ならどこでも行って良いから。...決して、外には出ないでね」
そう言って去って行った。
そう言ったって、あんたの言いつけなんて聞く気ないよ。
だって、僕は王座だとかそういうのもどうでもいいし。
どれだけ社会的地位を追い込もうと勇者の称号が邪魔をする。
美空が先輩の所にいるのは確定だ。
けれど、僕の覚えている限り、美空と先輩の接点なんて無い。
だから、どうして先輩の元へ向かったのか。
その根本的な疑問を解決する必要がある気がした。
だって、解決しないと、美空がまた同じことをしそうな気がしたから。
そんな事されたって困る。
ただでさえアテネの件があったのに。
もしも、先輩が美空に恋をしてしまったら。
想像しただけでゾッとした。
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