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二章 美空ミカエル

反発心

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そんな理由で止まれるほど、僕は温く生きてきたわけではない。
今までずっと不当な扱いを受けてきた。
僕自身が、僕の存在が家名に傷をつけていると言われた事さえある。
そんな僕が先輩と結ばれようがどうでも良いじゃないか。
それとも、僕が幸せになるのが嫌?
僕は幸せになろうとすることすら許されないの?
行き場のない怒りが僕のなかにぐるぐると回る。
息を吸って、勢いよく言う。
「僕は、先輩と結婚出来るなら。一緒にいられるのなら。王家から除名されたって構いません。一人でも生きていけるほど強くなりましたし。それくらいの覚悟を持ち合わせています」
そう言った。
本心からの言葉だ。
宣戦布告みたいだなと思った。
宣戦布告くらいしてやるよ、なんて思った。
全面戦争になったって構わない。
もとからそれくらい覚悟はできている。
ただ、隣に先輩がいればそれで良いよ。
そしたら僕の勝ちだ。
子供じみていようが、なんであろうが関係ない。
それだけで僕はいいのだから。
美空は目を見開いたあとに、羨ましそうにいった。
「...、俺も颯太みたいになれれば良いのにな」
美空がそう言った。
「うん、お前は良いよ。俺だってお前みたいになれたら良かった」
はは、なんて疲れたように笑って、僕の目を見ている。
その目は、とことん絶望を映しているように見えた。
もうなにもかもわかっているような、そんな瞳。
「そうやって望む事に全てを捧げられるなんて羨ましいよ。俺には出来ない生き方だ」
そう言って美空は笑う。
そりゃあ、お前にはできない生き方だろうな、なんて思う。
だって美空は王になるのだから。
僕みたいな憎まれものとは違うのだから。
僕のような生き方はできないだろう。
だって、僕らは生まれた瞬間に道が別れてしまったのだから。
「俺さ、お前の呪い羨ましいなって思ってた。だってさ、お前の呪い強いじゃん。俺みたいな支援特化型じゃなくて、攻撃特化型だから。出来たらお前の呪いと交換したいなって思ってたよ」
単純な戦力で見れば、僕の方が高いのは誰の目から見ても明白だった。
そりゃあ、僕のは攻撃特化型だし。
僕のデメリットは相当酷いから。
ハイリスクハイリターン。
僕のリスクは最高級のリスクだから。
その分リターンは高くなる。
そのお陰で僕は相当高いポテンシャルを得ることが出来た。
最悪の呪いがもつたったひとつの長所。
僕の呪いが羨ましい?
目の前の美空はそんな狂った事を言う。
正直何が羨ましいのかわからなかった。
だから最初は首をかしげた。
けど、徐々に怒りの方が大きくなっていった。
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