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三章 雫ポイズン

新しい自分

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「僕だって幸せになりたいんだ。もう苦しみたくないんだ。どうせ苦しむなら好きな人の為に苦しみたい。そんで苦しんで死んだ方が、僕の人生良かったー!こんな風に使えてよかったー!って悔いなく死ねる気がするんだよ」
そう言って凪を抱き締める。
僕を救ってくれた人の体を。
もう絶対離さないぞという決意を込めて。
蛇の執着ってものは凄まじいんだからね?
戸惑ったようにえ、とか声を漏らす凪に、僕は言う。
高らかに。
宣言するかのように。
「僕は今後君の為に力を使うよ。他の誰かとかじゃない。僕が使いたいと思ったから使うんだ。それならいいんだよね?えへへ…、頑張っちゃうぞー?」
そうはっきり宣言すると、同時に、絵美は泣き出した。
本気で戻る気がないと伝わったからだろう。
「どうしてよ!お願いだから戻って来てよ雫…あなたがいないとだめなのよ…」
「もう決めた事だからさ。ごめんね。この決意だけは絶対、ぜーったいやめたくないんだ!」
そうしたいと思えたから。
それ以外なんて見ない。
このまままっすぐ突き進んじゃいたい。
それにさ、そう思えるほどのものが出来たって凄いことじゃない?
僕は凄いことだって思うんだ。
素晴らしくて、この気持ちをずっと大切にしたいって心の底から思えちゃうんだよ。
「金の供給は続けるよ。僕も毒が無いと困るし。その金で何とかすれば良いよ。好きに使っちゃって全然おっけーだからさ」
金は相当価値の高い金属だ。
それは今も昔も変わらない。
その普遍の価値の金属で何とかしとけばいい。
後は知らないから。
だからもう目の前からいなくなればいい。
僕の価値なんてそんなものでしょう?
金を売った金で傭兵でも雇えば良い。
そうすれば、少しは戦力の足しになるだろう。
傭兵も中々強いらしいじゃないか。
そりゃ、一人ひとりじゃだめでも、複数集めれば何とかなるでしょう。
「戦力とかは気にする心配は無いよ。そもそも勝ち目無いし。てかさ、戦力を埋めたところで何とかなると思ったの?」
理久が反対側から凪にくっ付きながら言う。
少しどけてくれればいいのに。
どける気なんて全くないよとでも言いたげにふん、といった。
「てかさぁ、よくメイサイに挑もうと思ったね?少し考えれば分かるじゃん。雫死ぬ前提でも勝てっこないって。蛇責めなんて目にないくらいの戦力を持っているんだから」
幼い子供でも分かる事だよ、と言い捨てた。
理久は意外と国の戦力に詳しかった。
だから言い切ることができた。
 
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