悪魔の少年と半端な少女

月夜

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蓮と月

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私は何回もループしているらしい…。

私の記憶は徐々に戻ってくる形式だから、はっきりと断言出来るわけではない。

けれど、蓮の名前と蓮に対する想いだけが頭に残っていた。そして、蓮を召喚する条件も。

どんなに早く会いたくても、15歳にしか会えない。

それは私の魔力の量が問題だと思う。

何故か私の魔力は制限されているからだ。

そういう結論に至った私は毎日魔力の調整をした。

会えないとわかっていても、どうしても会いたい。

そんな想いが私を突き動かし、現在に至る。

元々今日成功するのは決まっていたこと。

だって、過去に何回、いや、何十回。

もしかしたらそれすらを越える回数を繰り返しているのだ。

そして、その分私も死んでいる。

私と蓮。

どちらが先に死ぬのかがぼやけていて、私の推測では、きっと蓮が先だと思っている。

そうじゃなければなぜ私は蓮が死ぬということがわかるのか?

殺した人もわからないし、今は不明なことが多すぎる。

急に黙りこんだ私を心配するかのように

「急に黙っちゃったけど、具合でも悪いの?大丈夫?」
首を傾げて上目遣いで聞いてくる。

…、多分無意識何だろうけど、ある意味破壊力は抜群で、死にかけた。

(ヤバい…、身近にいさせるのが危険すぎる…。)

「うんっ、大丈夫だから。」

私がそういえば、

「なら、よかった。」

そして、また笑顔になる。

(ああ、もうかわいすぎだよ……)

くるくると表情がかわる蓮。

見ているだけで幸せな気持ちになる。

今すぐにでも好きだよといって、だれにも見つからない場所で二人で暮らしたいと思ったって、そんな事をして蓮が少しでも長く生きられるのかといったらそういうわけではない。

そうならばきっと、とっくの昔に幸せになっていて、私の中にこんな記憶があるはずがない。

「ところで、僕を喚んだってことは、叶えたい願いがあるんでしょ?」

そうだった。すっかり忘れてた。

「世界を自分のものにしたいとか?」

蓮の問いにこう答えた。

「私の友達になって!」

そのときの蓮の驚いた顔は、多分、私は死ぬまで忘れないだろう。

今までもこんな顔をしていたのかな。

何て思ったって、そのときまで忘れているという自分の体質を思いだし、私は少し悲しくなった。


その日の夜。

布団を引き出し、私は蓮と一緒に寝ようと思った。

一緒の布団で寝たって良いのに、蓮が

「それはちょっと、ダメじゃないかなぁ…。」

と言ったから蓮が布団で、私は備え付けのベッドで寝ることにした。

すると、ドアを規則正しくノックする音が聞こえる。

下まで降りてドアを開けると、金髪で、青い目を持つ少年がいる。

「こんにちは。先輩、悪魔は無事に召喚できましたか?」

少し高い、けれど耳に響くわけでもない声。

「颯太……。」

彼の名前は神風颯太かみかぜそうた

私の唯一知っている人。

そして、私が7才のときにやって来て私を魔女と呼び、一度は殺そうとした人。

けれど今では『友達』で、仲も良い。

この世界の希望である。

特別な勇者。

「悪魔っていっても、私と同い年でね?」

私の声を遮るかのように、

「名前は?」

少し怒気を孕んだ声で聞く。

「蓮って言うけど…。」

すると颯太は少し悲しげな顔をして、

「やっぱりあいつでしたか…。」

と小声で呟く。

あいつって?

颯太はなんで蓮の事をしっているの?

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