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契約
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「それで、どうやって契約すればいいの?」
僕は雫に聞く。
痛いのだったら嫌だなぁなんて思った。
「うーん、痛いのと辛いのどっちがいい?」
「え?どっちも辛いじゃん。」
だったら嫌だな、なんて思う。
だって辛いのとか痛いのとか嫌いだし。
「まぁ、実際には痛くもないし、辛くもないし、何ともないんだけど。」
「じゃあ、何でそんなこと言ったの?」
「ただ、行ってみたかっただけ。どんな反応するのか気になったんだもん。」
なんて言ってみせる。
うーん、雫ってよく分からん。
そんな質問無意味だと思うんだけどなぁ。
まぁ、いいや。
「じゃあ、どうするの?」
「方法は簡単だよ。僕に君がキスするだけ。」
「そっか。キスするだけかぁ...とっても簡単だね!って言うと思ったか!!」
「そう?僕は簡単だけど。」
「そりゃあ、雫は僕のこと好きみたいだし....てか、好きな人にする方が緊張しそうだけどな..」
「何回もしたし..って、そんな驚かないで、嘘だから。」
「嘘、か。まぁ、いいけど。キスってもう少しロマンチックなところでやる物じゃないの?」
「ここもメルヘンだけどなぁ...」
「海沿いとか、夕暮れ時とか。」
「ふむふむ。おーい!絵美ちょっとこっち来てくれない?」
「雫、呼んだ?」
すっと、まるで雫のかげにでも忍んでいたかのようにすぐ現れた絵美はドヤ顔でそういった。
なんか、残念だなぁ....
もしかして、雫のストーカーなのかなぁ.....
「私はまだマシな方よ。あんたのとこの颯太に比べたらね。」
「え?颯太って誰?」
「まさか、颯太まで忘れたの!?絶対覚えてると思ったのに!!」
颯太。
新しい名前。
聞いたことないはずなのに、何故か懐かしいと感じる名前。
絵美はどこからかスマホを取り出し、僕にある画像をみせる。
なんか、妙に近代的だな...
そこに写っていたのは、金髪碧眼の男の子。
綺麗な白い肌で、まるで人形のような顔立ちで、僕と笑顔で写っている。
まぁ、僕は少し呆れたかのような表情だけど。
その顔を見た瞬間、僕の脳裏にある映像が浮かび上がる。
美しい花畑の中、二人で笑い合う。
さっきの男の子の体には鎖が巻き付いていて、僕はその子と何か話している。
「僕はこんな感じのところで死にたいなぁ、なんて思ってたんだよねぇ。」
「先輩は死にませんよ?」
「まぁ、信じているよ。彼氏の〇〇〇の言うことだし。」
「...改めて彼氏って言われると、照れますね。」
「本当のことなのに?」
「まぁ...それにしても先輩は彼氏と彼女....どっちに当たるんでしょうか?」
「僕は彼氏がいいかなぁ....出来たら、だけどね。」
幸せそうだ。
でも、何だかこれは、束の間の幸せのような、そんな気がした。
僕は雫に聞く。
痛いのだったら嫌だなぁなんて思った。
「うーん、痛いのと辛いのどっちがいい?」
「え?どっちも辛いじゃん。」
だったら嫌だな、なんて思う。
だって辛いのとか痛いのとか嫌いだし。
「まぁ、実際には痛くもないし、辛くもないし、何ともないんだけど。」
「じゃあ、何でそんなこと言ったの?」
「ただ、行ってみたかっただけ。どんな反応するのか気になったんだもん。」
なんて言ってみせる。
うーん、雫ってよく分からん。
そんな質問無意味だと思うんだけどなぁ。
まぁ、いいや。
「じゃあ、どうするの?」
「方法は簡単だよ。僕に君がキスするだけ。」
「そっか。キスするだけかぁ...とっても簡単だね!って言うと思ったか!!」
「そう?僕は簡単だけど。」
「そりゃあ、雫は僕のこと好きみたいだし....てか、好きな人にする方が緊張しそうだけどな..」
「何回もしたし..って、そんな驚かないで、嘘だから。」
「嘘、か。まぁ、いいけど。キスってもう少しロマンチックなところでやる物じゃないの?」
「ここもメルヘンだけどなぁ...」
「海沿いとか、夕暮れ時とか。」
「ふむふむ。おーい!絵美ちょっとこっち来てくれない?」
「雫、呼んだ?」
すっと、まるで雫のかげにでも忍んでいたかのようにすぐ現れた絵美はドヤ顔でそういった。
なんか、残念だなぁ....
もしかして、雫のストーカーなのかなぁ.....
「私はまだマシな方よ。あんたのとこの颯太に比べたらね。」
「え?颯太って誰?」
「まさか、颯太まで忘れたの!?絶対覚えてると思ったのに!!」
颯太。
新しい名前。
聞いたことないはずなのに、何故か懐かしいと感じる名前。
絵美はどこからかスマホを取り出し、僕にある画像をみせる。
なんか、妙に近代的だな...
そこに写っていたのは、金髪碧眼の男の子。
綺麗な白い肌で、まるで人形のような顔立ちで、僕と笑顔で写っている。
まぁ、僕は少し呆れたかのような表情だけど。
その顔を見た瞬間、僕の脳裏にある映像が浮かび上がる。
美しい花畑の中、二人で笑い合う。
さっきの男の子の体には鎖が巻き付いていて、僕はその子と何か話している。
「僕はこんな感じのところで死にたいなぁ、なんて思ってたんだよねぇ。」
「先輩は死にませんよ?」
「まぁ、信じているよ。彼氏の〇〇〇の言うことだし。」
「...改めて彼氏って言われると、照れますね。」
「本当のことなのに?」
「まぁ...それにしても先輩は彼氏と彼女....どっちに当たるんでしょうか?」
「僕は彼氏がいいかなぁ....出来たら、だけどね。」
幸せそうだ。
でも、何だかこれは、束の間の幸せのような、そんな気がした。
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