上 下
4 / 30

4

しおりを挟む



「戻ったぞー!!」


 「遅い!!!!」



 やっと戻ってきたよ!ほんとに待った!どれくらい待ったと思う?時計とかないから正確な時間はわかんないけど、体感時間は5時間以上!最初はみかん食べて呑気に待ってたよ?でも、ここってみかんしかないわけ。お茶が冷めないからみかんもずっとなくなんないかなとか思ってたらさ、はいなくなりました。5個あったけど、全部食べちゃったよ。めっちゃ美味しかったけど!それからすることないからぼーっとしてたら、気がついたら寝てました!爆睡ですけど何か?


「まあまあ、落ち着け琥珀。こちらも色々とやることがあったんじゃ。なるべくお主が住みやすいうにと頑張ったんじゃぞ(ドヤァ)」


「まぁそれなら…。っていうかさっきから後ろにいるその人が次の世界の神様ですか?」




 はい。まぁ入ってきた時点でずっといたんだけど、怒りが勝ったわ。ごめんよ。存在軽く無視っちゃって。



「そうじゃった。こっちにおるのがお主の次の人生の世界の神じゃぞ。ほれ、自己紹介でも」


 そう言われた第2の神様はちょっとだるそうに歩いて俺の向かい側に座った。神様は俺の隣。うわぁ、めっちゃぬくぬくしてる。


「はぁ~、気持ちいいなぁ。やっぱり1番居心地いなぁ。こたつはじいさんの所しかないからな…」



え、寝たんだけど。
なんかもうね、( ˘ω˘ ) スヤァ…っていう顔文字つきそうなくらい気持ちよさそうに寝てるよ。神様も寝てたし、何?どんな神様でもこたつには逆らえないってか?隣の神様も、もうこっくりこっくりしてますよ。まぁ起こしますけどね。

スゥ



「おーきーてーーー!!!」



本日2度目の掛け声。ふたりとも起きたけどまだ眠そうだよ…。






「あぁ?あっやべ、俺寝てた?悪い悪い。いつもこれに入るとすぐ寝ちゃうんだよなー。」

「おお、すまぬすまぬ。ついな」


「はぁ…まぁいいですけど。俺から自己紹介させていただきます。白雪琥珀です。うっかり転んで死にました。」


「へぇ~、じいさんから聞いたけどほんとにうっかり死んだんだな。じゃあ次な、俺はウタだ。お前を転生させたいってじいさんが言うから、面白そうだし俺が引き受けた。なんだっけ…あーチート!チートの仕様にするんだろ!俺もやってみたかったからなぁ!」



 チートってそんなにやってみたいものなの?まぁそんなにホイホイチート作ってたら世界が壊れるか。


「魔法についてチートにしたいんじゃが出来るか?あとゴニョゴニョ…」


 ん?なんだ?なんか神様がウタさんの耳に顔近づけて話してる。俺にも聞かせろーー!


「最後なんて言ったんですか?」


ギクッ


「えっと…もう1つの頼みについてな。2つあると言ったであろう?2つ目はお主の容姿についてなんだが…。そのままでも十分男うけゴッホンゴッホンっじゃなくて、十分綺麗だし、何も言うことがないんじゃけど」


 容姿?俺の顔が綺麗?神様何言ってんの?どこにでもいるモブ顔代表だよ?あっ!めっちゃイケメンにしてくれんのかな!!!



「お主が想像してることは分かるが、イケメンにはしないぞ。頼みっていうのは、容姿はそのままで髪色と瞳の色をいじらせてほしいんじゃ(あちらの世界でとても貴重な色にな)」


 イケメンにしてくれるんじゃないのか…。まあこの顔で今まで生きてきたし、今更変えられてもな。それにしても色かぁ。じゃあアニメでよくある金髪青眼とか赤髪とかかな!黒は忌避するとかあるしな。



「全然いいですよ。ウタさん、ひとつ聞きたいんですけど、そっちの世界では黒髪とか黒目は忌避されたりするんですか?」


「ほとんどねぇな。どっかの宗教が黒髪黒目は<魔のものだ>とか言ってるけどほんとに少数派だし。色々な色があるから黒もその1種ってだけだよ(貴重な色もあるけど)」


「そうですか。で、俺はどんな色にされるんですか?金髪青眼とか、赤髪とかですか!!」


「それなんじゃけど、こっちのおまかせにしてもらえないか。あっちの世界に行ってから確認してほしい。」


「いいですけど。さすがにド派手なピンクとかは嫌ですからね」



「分かった。ありがとうな。じゃあ魔法のことについても、ウタと話し合うからもうしばらくお主は寝て待っておれ」


パチンッ


 神様が指をならしたかと思うと、急な睡魔に襲われた。俺抜きで話し合っちゃうの?とか思ったけど、 睡魔には勝てなかった。お二人さん、任せたぞー。






                                 ***


「ふむ、寝たようじゃな。じゃあさっそく決めていこうとするか。わしの名付けて!『琥珀、BLモテモテ計画!』」

「うわ、そのまんま。まぁその計画なら俺の世界がピッタリだよなぁ。俺の世界は男が多いし同性愛が普通だからな。琥珀のこの儚げ美人顔ならほとんどのやつはストライクゾーンいくだろうからな。しかも本人は自覚なし。」

「じゃろじゃろ!琥珀には悪いが、男にモテモテになってもらうぞ。ちゃんとチートもつけるし、許してなぁ~。色についてなんじゃが、そっちの世界の貴重な色はなんじゃったかな」

「髪の毛は白銀一択だな!白銀は神の御使いみつかいとまで言われるほどに貴重だし、ここで何千年といないはずだ。瞳の色はそうだなぁ、オッドイアイとか面白くね?」

「おぉ!ナイスあいであじゃ!瞳の色は黄金色とかどうじゃ?」

「金か?うん、いいな。もう片方は…シルバーにするか。髪の色が白銀だし、目が少し明るい色でもバランスがいいはずだ。うーん、ちょっと見てみたいな。よし。」 




ブツブツブツブツ
ボンッ



 そこには琥珀そっくりの人間がいた。いや、魂は入っていないため正確には人形と言った方がいいかもしれない。
 琥珀そっくりと言っても、先程提案された色に変わっている。黒髪黒目のときは艶のある儚げ美人だったが、変わった髪色と瞳の色によって言葉通り神秘的な人間が出来上がっていた。
 白銀の髪の毛は光を受けるとキラキラと輝いている。金とシルバーの瞳の色は、見つめられるだけで、時が止まるかと思うくらいに見惚れてしまいそうだった。


「これはなんていうか…。とんでもねぇのが出来上がったな…大丈夫か?」

「……はっ!すっかり見とれてしまったわい。神が認めた美しさだぞ。これでモッテモテじゃな。ふっふっふっふっふっふ(ニタァ)」



「(いや…多分こんな見た目してたら誘拐監禁とかめっちゃされるぞ。家から出して貰えるか?まぁ面白そうだから言わねぇけど。こういう所、じいさん抜けてんだよなぁ。モテモテどころじゃねえよ。崇められるぞ。)」

「よしっ、あとはチートについてだな。魔法に全振りでいいか?まぁなんでかこいつの中に鑑定とかの知識があるみたいだし、激レアスキルとかてんこ盛りにすれば、自分の身も守れるだろうしな」

「そうじゃな」


 こうして琥珀の異世界転生についてどんどんきまっていくのであった。
        







                        ***
 


 「_____きろー!琥珀ーー!!!」



「んぁ?神様?決まったんですか?」


「あぁ、今から転生の準備を行う。また赤ん坊からスタートするわけじゃが、最初から記憶があったら色々と困ることがあるかもしれぬから、お主の記憶は5歳で戻るようにしてある。お主にとっては、新しい自分に突然前世の記憶が入るわけじゃから少し混乱するかもしれないが、まぁ頑張ってくれ」


「はーい。分かりました。」

  

 俺もいよいよ転生かぁ。あっそうだ……。



「神様、俺チートにしてくれました?ハーレムとか出来ます?」



「しっかりチートにしておいたぞ!ハーレムも作れるじゃろうな!(お主が中心の逆ハーじゃがな!)」



「そうですか!ありがとうございます!」


「準備出来たぞー!琥珀ーこっちに座ってくれ。」


台座みたいなところに案内されて座ったらまた強烈な睡魔が襲ってきた。これで転生するのか。最後に挨拶くらいはしておかないとな…


「色々とありがとうございました。新しい世界で頑張りたいと思います。」



「記憶が戻ったら、教会に来い。お前が祈ればこっちに声が届いて、会うことができる。そんときは他の奴にも合わせてやるよ。」

「元気でな。お主のことはしっかり見守っておるからな。」

 定番の教会か、おっけーです。あぁ、もう目も開けてらんない。おやすみなさい…。


こうして琥珀の異世界ライフは始まった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息、主人公に媚びを売る

枝豆
BL
前世の記憶からこの世界が小説の中だと知るウィリアム しかも自分はこの世界の主人公をいじめて最終的に殺される悪役令息だった。前世の記憶が戻った時には既に手遅れ このままでは殺されてしまう!こうしてウィリアムが閃いた策は主人公にひたすら媚びを売ることだった n番煎じです。小説を書くのは初めてな故暖かな目で読んで貰えると嬉しいです 主人公がゲスい 最初の方は攻めはわんころ 主人公最近あんま媚び売ってません。 主人公のゲスさは健在です。 不定期更新 感想があると喜びます 誤字脱字とはおともだち

悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ
BL
『魅惑のプリンセス』というタイトルの乙女ゲームに転生した俺。転生したのはいいけど、悪役令嬢の双子の兄だった。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

無自覚美少年のチート劇~ぼくってそんなにスゴいんですか??~

白ねこ
BL
ぼくはクラスメイトにも、先生にも、親にも嫌われていて、暴言や暴力は当たり前、ご飯もろくに与えられない日々を過ごしていた。 そんなぼくは気づいたら神さま(仮)の部屋にいて、呆気なく死んでしまったことを告げられる。そして、どういうわけかその神さま(仮)から異世界転生をしないかと提案をされて―――!? 前世は嫌われもの。今世は愛されもの。 自己評価が低すぎる無自覚チート美少年、爆誕!!! **************** というようなものを書こうと思っています。 初めて書くので誤字脱字はもちろんのこと、文章構成ミスや設定崩壊など、至らぬ点がありすぎると思いますがその都度指摘していただけると幸いです。 暇なときにちょっと書く程度の不定期更新となりますので、更新速度は物凄く遅いと思います。予めご了承ください。 なんの予告もなしに突然連載休止になってしまうかもしれません。 この物語はBL作品となっておりますので、そういうことが苦手な方は本作はおすすめいたしません。 R15は保険です。

弟に殺される”兄”に転生したがこんなに愛されるなんて聞いてない。

浅倉
BL
目を覚ますと目の前には俺を心配そうに見つめる彼の姿。 既視感を感じる彼の姿に俺は”小説”の中に出てくる主人公 ”ヴィンセント”だと判明。 そしてまさかの俺がヴィンセントを虐め残酷に殺される兄だと?! 次々と訪れる沢山の試練を前にどうにか弟に殺されないルートを必死に進む。 だがそんな俺の前に大きな壁が! このままでは原作通り殺されてしまう。 どうにかして乗り越えなければ! 妙に執着してくる”弟”と死なないように奮闘する”兄”の少し甘い物語___ ヤンデレ執着な弟×クールで鈍感な兄 ※固定CP ※投稿不定期 ※初めの方はヤンデレ要素少なめ

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️ 第12回BL小説大賞に参加中! よろしくお願いします🙇‍♀️

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

処理中です...