秋風の色

梅川 ノン

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7章 初めての恋心

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「ねえ、あき君」
 離れの寝室で蒼が声掛ける。
「なあに、あお君」
 抱きついて応える彰久。唇を奪われるのを阻止しながら、蒼は続ける。
「なお君と尚希君、何かあったのかかな」
「あっただろうね、少し関係が進んだんじゃないかな」
「やっぱりそう思った。僕もそれを感じたんだ。お付き合いする感じなのかな?」
「多分ね。結構前からお互い、気持ちはあっただろうから。まあ、なおは年のこともあって控えてたんだじゃないのかな。彼、二十歳になったから、まあ、そういうことじゃないのかな」
 彰久は、蒼しか眼中にないように見えて、意外と把握しているところがある。どちらかと言えば、蒼の方が鈍いところがあるのだった。
「そうなんだ、うまくいけば嬉しいな。尚希君はほんと良い子だから」
「なおがうまくやるよ。あいつは経験豊富だから、心配いらない。そんなことより、僕のことを考えて」
「考えてるよ」
「僕だけのことだよ。ここは二人の愛の巣なんだから、僕以外の男の名前は出さないっで! 僕だけだよ。ねっ!」
「あき君……あき君だけだよ」
 彰久は、蒼の唇を奪うように口付ける。そして、激しく貪るように、その口を己のものにしていく。ここで、愛の巣で、他の男の名前を口にした罰だというように――。
「あっ、あ……あきっ」
 彰久が唇を離すと、蒼は艶めいた喘ぎを漏らす。その唇は、赤く染まり、濡れている。その様は煽情的で、彰久の情欲を誘った。
 蒼の乳首に手をやり、それを摘まみ、転がすと、蒼の喘ぎが甘さを増す。そして、彰久に抱きつき、その肩に顔をのせる。蒼が、彰久を欲するときの仕種。
「あお、どうするの? 僕が欲しい?」
「うん……ほ、欲しい……」
 蒼の秘所に手をやると、そこは既にトロトロになっている。これでは僕が欲しいはずだ。彰久は奮い立った。番に求められて燃えない男は男じゃない。無論アルファでもない。
 彰久は自身の昂ぶりに手をやる。そう、そこはいきり立つように昂っている。
 最愛の蒼の秘所。何度も己を受け入れてくれた、大切なそこへ、昂った己の中心を当てると、吸い込まれるように中へ入っていく。
 僕だけの場所。何度入っても、心地よい、最高の場所。
「あっ、あき……っ」
「うん、入ったよ。気持ち良い。最高だ! 僕だけの、僕だけのあお」
 彰久は動く。蒼の感じる場所を、刺激するように動いていく。その動きは、徐々に激しさを増す。
 それに伴い、蒼の喘ぎも、甘く激しくなる。そして、愛する人の中へ、己の精を迸らせる。アルファの長い射精。
 蒼は愛する彰久の精を、陶酔の中で受け止める。もう、この精を受け止めても、子供を授かることはない。けれど、それでも、受け止めるだけで幸せだった。
 既に、春久という、愛の結晶を授かったからかもしれない。春久を授かったことさえ、奇跡だったのだから。
「あき、あっ、愛してる」
「僕もだよ、愛してるよ、あお」
 蒼は、最愛の彰久の愛の言葉を耳に、陶酔の極みに達した。



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