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7章 初めての恋心
⑤
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ベッドに横になっても、眼はさえたままだった。
悶々として眠れない。
先生が僕のこと好きなんて……未だに信じられない思いだ。
で、でも本当なら嬉しい。
本当だよね……先生は嘘をつくような人ではない。
でも、どうしてだろう? 僕のどこが良いのだろう……全然分からない。
女の子たちの言葉が頭に浮かぶ。だが、それは明確に否定してくれた。
体目当て……それは違うと思う。そう思いたい。先生はそんな人ではない。
第一、自分の体にそんな魅力があるとは思えない。単に若いだけだ。
尚希は自分の唇に触れる。
今日、尚久に触れられ、舐められ、吸われた唇。未だ、熱を帯びているようだ。
尚久の唇は熱く、柔らかだった。後は……覚えていない。
キスって、大人のキスって……ああいうのなんだ。
先生は、今までどれくらい経験したんだろう……三十過ぎた大人の男性なんだから、一杯経験したんだろうな……。
それに比べて自分の経験値の無さ。
でも、それでいいと言った。自分が教えるからと……。
先生を信じよう。
尚希の結論はそれだった。そう思ったら、少し安心できる。安心できると、漸く眠たくなる。
尚希はそのまま眠りについた。夜はかなり深くなっていた。
「あっ、なっくん!」
尚希が北畠家の門をくぐり抜けると、離れの方からきた春久に声掛けられた。蒼も一緒にいる。
「はっくん、蒼先生、こんにちは。離れにいたの?」
「うん、宿題してた。終わったから母屋に来たよ」
「そうか、はっくんは偉いね! 勉強頑張ってるんだ」
満面の笑みで頷く春久と手を繋いで、母屋に入る。
「尚希君、何か良いことあった?」
蒼がにこやかな笑顔で聞く。
「えっ、良いこと!?」
「うん、なんだか今日はいつもより明るいっていうか、幸せそうだなって思ったから」
そっ、それは――尚希は戸惑った。なっ、なんで分るんだろう――。尚希はドギマギする。
答えない尚希に、蒼は気を悪くしたふうでもなく、ニコニコしている。
無論、蒼が尚希の秘密を知っているわけではない。
そこへ、雪哉も姿を見せる。
「雪哉先生、こんにちは、お邪魔しています」
「尚希君、いらっしゃい」
雪哉が、尚希の顔をまじまじと見る。なっ、何……。
「何か、良いことあった? 顔が穏やかで、幸せそうだ」
「母さんも同じですね。僕も同じことを思って聞いたところです」
えっ! な、なにこの人たち……なんで分るんだ! どっ、どうしよう……。
「あっ、そうだ! この間のテストの点が良かったので、多分……だからだと思います」
「そうか! そんなに良かったの? 凄いね、頑張ったんだ!」
「なっくん、すごい~」
蒼と雪哉だけでなく、春久にも褒められて、面映ゆいが、尚希はほっとする。これで、ごまかせる。
尚久とのことを皆に、話せるほどの勇気は、尚希にはこれっぽっちも無い。
「何が凄いんだ?」
尚希の来宅を察した尚久が、リビングへ入ってくる。
「尚希君、テスト頑張ったんですって。良い成績だったようだよ」
尚久の登場に、更にドギマギして、咄嗟に声の出ない尚希に代わって蒼が応える。
「へーっ、そうか偉いじゃないか」
そう言って、尚希の頭を撫でる。尚希は、益々赤くなる。尚久の手の温もりが熱くて、心臓に悪い。
悶々として眠れない。
先生が僕のこと好きなんて……未だに信じられない思いだ。
で、でも本当なら嬉しい。
本当だよね……先生は嘘をつくような人ではない。
でも、どうしてだろう? 僕のどこが良いのだろう……全然分からない。
女の子たちの言葉が頭に浮かぶ。だが、それは明確に否定してくれた。
体目当て……それは違うと思う。そう思いたい。先生はそんな人ではない。
第一、自分の体にそんな魅力があるとは思えない。単に若いだけだ。
尚希は自分の唇に触れる。
今日、尚久に触れられ、舐められ、吸われた唇。未だ、熱を帯びているようだ。
尚久の唇は熱く、柔らかだった。後は……覚えていない。
キスって、大人のキスって……ああいうのなんだ。
先生は、今までどれくらい経験したんだろう……三十過ぎた大人の男性なんだから、一杯経験したんだろうな……。
それに比べて自分の経験値の無さ。
でも、それでいいと言った。自分が教えるからと……。
先生を信じよう。
尚希の結論はそれだった。そう思ったら、少し安心できる。安心できると、漸く眠たくなる。
尚希はそのまま眠りについた。夜はかなり深くなっていた。
「あっ、なっくん!」
尚希が北畠家の門をくぐり抜けると、離れの方からきた春久に声掛けられた。蒼も一緒にいる。
「はっくん、蒼先生、こんにちは。離れにいたの?」
「うん、宿題してた。終わったから母屋に来たよ」
「そうか、はっくんは偉いね! 勉強頑張ってるんだ」
満面の笑みで頷く春久と手を繋いで、母屋に入る。
「尚希君、何か良いことあった?」
蒼がにこやかな笑顔で聞く。
「えっ、良いこと!?」
「うん、なんだか今日はいつもより明るいっていうか、幸せそうだなって思ったから」
そっ、それは――尚希は戸惑った。なっ、なんで分るんだろう――。尚希はドギマギする。
答えない尚希に、蒼は気を悪くしたふうでもなく、ニコニコしている。
無論、蒼が尚希の秘密を知っているわけではない。
そこへ、雪哉も姿を見せる。
「雪哉先生、こんにちは、お邪魔しています」
「尚希君、いらっしゃい」
雪哉が、尚希の顔をまじまじと見る。なっ、何……。
「何か、良いことあった? 顔が穏やかで、幸せそうだ」
「母さんも同じですね。僕も同じことを思って聞いたところです」
えっ! な、なにこの人たち……なんで分るんだ! どっ、どうしよう……。
「あっ、そうだ! この間のテストの点が良かったので、多分……だからだと思います」
「そうか! そんなに良かったの? 凄いね、頑張ったんだ!」
「なっくん、すごい~」
蒼と雪哉だけでなく、春久にも褒められて、面映ゆいが、尚希はほっとする。これで、ごまかせる。
尚久とのことを皆に、話せるほどの勇気は、尚希にはこれっぽっちも無い。
「何が凄いんだ?」
尚希の来宅を察した尚久が、リビングへ入ってくる。
「尚希君、テスト頑張ったんですって。良い成績だったようだよ」
尚久の登場に、更にドギマギして、咄嗟に声の出ない尚希に代わって蒼が応える。
「へーっ、そうか偉いじゃないか」
そう言って、尚希の頭を撫でる。尚希は、益々赤くなる。尚久の手の温もりが熱くて、心臓に悪い。
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