8 / 26
第一部
8、皇后のお茶会にて
しおりを挟む
高官たちの間でも噂になる程に素流は皇后の下をよく訪れている。
皇后その人から招待を受ける日もあれば、素流からお伺いを立てる日もあるが、割合的には素流が誘われる方が多い。
「あの、皇后さま、こう連日も同然にお邪魔してしまって本当にご迷惑ではないのですか? 沢山のお話を聞けるのは嬉しいのですけども」
皇后の宮での午後のお茶の時間。
今日も招いた素流からの問いかけに、女装皇后蓮博風は涼やかに微笑んだ。
ここには宮女たちの目と耳があるので当然男の声は出さない。
故にいつも裏声だが、四年も女装皇后をやっていれば裏声などお手のものだった。
「ええ、本当に変に気を遣わないで淑妃。わらわとしても色々とあなたの参考になれば嬉しいですもの。ホホホホ」
設定としては病持ちの皇后なので、周囲に今日も体調良好だと示すためにわざとらしく明るく「ホホホホ」なんて笑い声を立てる自分をちょっとやり過ぎかとも思いつつ、博風は素流とほのぼのと茶を飲んでいられる時間が嫌いではなかった。
しかもこの頃では途中で必ずもう一人が席に加わるのだから、博風としては腹を抱えて笑いたい気分だったりする。
因みに、以前はいくら親しいとは言え、彼とここまで頻繁に顔を合わせてなどいなかった。
ちょうどその時、外からの音を聞きつけた博風は部屋の入口へと目を向けた。
「あらあら、今日もまた陛下が足を運んで下さったみたいだわ」
「凄いですね。陛下の訪れをこの場の誰よりも早く気付くなんて! やっぱりさすが皇后さまと皇帝陛下の間には、赤き血潮が滾るような運命の結び付きがあるのですね!」
以前は素流のこの手の比喩に首を傾げていた博風も、最近ようやくその意味に気が付いてこれまた腹が捩れそうになったものだった。
素流は自分と一翔をその手の方面、つまりは断袖の仲だと思っているに違いない。
確かに素流の立場で考えてみればそのための側室と思われても仕方がなかった。
(一翔と私が組んづ解れつする? ハハハ絶っっっ対ない)
こうやって素流から応援される度に当初は余程訂正してやろうかと思っていた博風は、しかし今ではこのままで行くのも面白いかもしれないと放置を決め込んでいた。
扉の開閉と共に、最早勝手知ったる場所だとして宦官や宮女による先導も必要なく廊下を闊歩し、一人胸を張って部屋に入ってきたのは、紛れもないこの国唯一無二の綺羅星たる皇帝楊一翔だ。
よく裾を引っかける素流と違って幼い頃から長い裾には慣れている彼は、これまた長い脚で貴人用の袍の裾を捌き、博風と素流のいる数人掛けの円卓まで悠然とやってくる。
そしていつものようにどこか不機嫌に椅子に腰かけた。
皇后仕えの宮女たちはもう心得たもので手際よく皇帝の分の茶器と菓子を用意する。
程なく淹れられた茶をちびちびと口に運ぶ一翔は、しかし博風と素流との雑談に耳を傾けるだけで口を挟んでくることはほとんどない。
そんな一翔を素流は自分の菓子をつまみながら盗み見た。
(この人、今日もつまらなそうな顔してるなあ)
嫌々ならわざわざ同席しなければいいのにと最初の頃はそう思っていたのだが、こう足繁く通う理由を考えてみれば答えは単純明快、彼は愛する皇后に会うために来ているのだと素流は理解した。
(夜だって本当は皇后さまとイチャイチャしたいのに、周囲から急っ突かれて仕方がなく私の所に来てるんだろうなあ。鍛練時に見に来るのだってそうなんだろうし、世の恋人たちみたいに好きな相手だけに会っていられないなんて、皇帝って大変だよねえ)
そんな風に思えば二人の逢瀬の時間を無為に邪魔している自分が申し訳なくなってきて、とうとうこの日素流は思い切って途中で席を立った。
これまでは失礼に当たるかもしれないと遠慮していたのだが、その遠慮の方向を変えたのだ。つまりは二人に遠慮した。せめて昼間だけでも一緒に過ごしてほしかった。
「あの、お二人でごゆっくりどうぞ。私はそのー、ええとー……そうそう鍛錬があるので失礼します」
そんな適当な言い訳を口に椅子から腰を上げた素流の手を一翔が捕まえた。
先日の夜のような強引さはなく、むしろ控えめだ。彼は困惑しているようだった。
「下手な演技などして、どうした? 鍛錬ならば昼前にしておろうに」
「えっと~……」
言い訳がまずかった。
すぐに見破られる嘘をついた自分の間抜けさに、素流はちょっと目を泳がせた。
でも、二人を応援すると決めているのでやはりここは自分が退席するのが一番だと思い直す。
「私は折角のお二人の時間を邪魔したくないのです」
「何……?」
「私がいると陛下は心置きなく皇后さまとの甘い時間を過ごせないと思いまして」
「何……だと?」
ぶはっと珍しく皇后が茶を噴きかけて激しく噎せた。
あわや持病の癪かと宮女たちが慌てたように集まって背中を摩る。素流も傍で気遣いたかったが一翔に手を掴まれているので動けない。
何故か一翔は眼差しを胡乱なものにしていた。
「淑妃」
「はい?」
滑舌もハッキリと呼ばれ、素流はまた自分は彼を怒らせてしまったのだろうかと思えば、気が塞いだ。
仮にも夫である相手を不愉快にさせたいわけではないのだ。トラブルなくそれなりに過ごせればいいと思っているのに、全く世の中は思うようにいかない。
「陛下、そのように心にもなく怒ったようにされては、淑妃も気まずく思いますよ」
「朕は別に怒っているわけではない」
もう既にその表情が不機嫌丸出しなのだとは素流は思ったが口には出さなかった。
彼はよく素流が二人を取り持つ発言をすると表情を曇らせる。
「いいから、そなたもここにいろ」
「え、ええと……」
「わらわも淑妃にはお開きまでここにいてほしいのですけれど?」
「あ、はいじゃあお言葉に甘えて」
「……何故に皇后の言葉には素直に従うのだ。そなたは朕の妃であって皇后の妃ではないだろうに」
「それはそうですけど、ふふっ皇后さまのお妃だなんて可笑しな言い方ですね」
思わず小さく微笑むと、一翔から何故か口に菓子を放り込まれた。
「んむぐ!?」
「いつもそうして笑って甘い菓子でも頬張っておれば良いのだ、そなたは」
吐き出すわけにもいかず、仕方なく茶と共に飲み込んでいると、皇后がくすくすと笑っている。
場の雰囲気は和やかだ。
素流は一翔の表情に険がないことに些かホッとして表情を緩めると、椅子に腰を落ち着けるのだった。
その後彼と二人一緒に皇后の宮を出て屋根付きの屋外廊下を並んで歩いた。
公務が立て込んでいたりするとさっさと先に行ってしまうのだが、今日はそうではなかった。
動きにくい贅沢な服には未だに慣れず汚さないようにと気を遣えば自然とゆっくりになる素流の歩調に、彼はわざわざ合わせてくれている。きっと素流に何か話があるのだろう。
「ほとんど毎日呼び付けられて皇后の宮を訪れて、面倒ではないのか?」
「まさか。それに私からお伺いを立てる日もありますし。皇后さまは色々とためになるお話をされるので勉強になっています」
「ためになる話か……。朕の居ない所ではどのような話をする?」
「え? ええとそれは~……」
素流は内心あたふたとして少し頬を赤くした。
「言えぬのか? それにどうして頬を染める? ……まさか朕の居ぬ間に二人で何か人に言えぬような行いを?」
「人に言えない? いえ人に言えないわけではないんですけど……」
眉間にしわを一本刻む一翔へ、素流はこれはきっと皇后と仲が良い自分への嫉妬だと考え微笑ましく思い、逡巡の末に口を開いた。
「――閨事に関して、です」
「………………は?」
かなりの間があった。
皇后その人から招待を受ける日もあれば、素流からお伺いを立てる日もあるが、割合的には素流が誘われる方が多い。
「あの、皇后さま、こう連日も同然にお邪魔してしまって本当にご迷惑ではないのですか? 沢山のお話を聞けるのは嬉しいのですけども」
皇后の宮での午後のお茶の時間。
今日も招いた素流からの問いかけに、女装皇后蓮博風は涼やかに微笑んだ。
ここには宮女たちの目と耳があるので当然男の声は出さない。
故にいつも裏声だが、四年も女装皇后をやっていれば裏声などお手のものだった。
「ええ、本当に変に気を遣わないで淑妃。わらわとしても色々とあなたの参考になれば嬉しいですもの。ホホホホ」
設定としては病持ちの皇后なので、周囲に今日も体調良好だと示すためにわざとらしく明るく「ホホホホ」なんて笑い声を立てる自分をちょっとやり過ぎかとも思いつつ、博風は素流とほのぼのと茶を飲んでいられる時間が嫌いではなかった。
しかもこの頃では途中で必ずもう一人が席に加わるのだから、博風としては腹を抱えて笑いたい気分だったりする。
因みに、以前はいくら親しいとは言え、彼とここまで頻繁に顔を合わせてなどいなかった。
ちょうどその時、外からの音を聞きつけた博風は部屋の入口へと目を向けた。
「あらあら、今日もまた陛下が足を運んで下さったみたいだわ」
「凄いですね。陛下の訪れをこの場の誰よりも早く気付くなんて! やっぱりさすが皇后さまと皇帝陛下の間には、赤き血潮が滾るような運命の結び付きがあるのですね!」
以前は素流のこの手の比喩に首を傾げていた博風も、最近ようやくその意味に気が付いてこれまた腹が捩れそうになったものだった。
素流は自分と一翔をその手の方面、つまりは断袖の仲だと思っているに違いない。
確かに素流の立場で考えてみればそのための側室と思われても仕方がなかった。
(一翔と私が組んづ解れつする? ハハハ絶っっっ対ない)
こうやって素流から応援される度に当初は余程訂正してやろうかと思っていた博風は、しかし今ではこのままで行くのも面白いかもしれないと放置を決め込んでいた。
扉の開閉と共に、最早勝手知ったる場所だとして宦官や宮女による先導も必要なく廊下を闊歩し、一人胸を張って部屋に入ってきたのは、紛れもないこの国唯一無二の綺羅星たる皇帝楊一翔だ。
よく裾を引っかける素流と違って幼い頃から長い裾には慣れている彼は、これまた長い脚で貴人用の袍の裾を捌き、博風と素流のいる数人掛けの円卓まで悠然とやってくる。
そしていつものようにどこか不機嫌に椅子に腰かけた。
皇后仕えの宮女たちはもう心得たもので手際よく皇帝の分の茶器と菓子を用意する。
程なく淹れられた茶をちびちびと口に運ぶ一翔は、しかし博風と素流との雑談に耳を傾けるだけで口を挟んでくることはほとんどない。
そんな一翔を素流は自分の菓子をつまみながら盗み見た。
(この人、今日もつまらなそうな顔してるなあ)
嫌々ならわざわざ同席しなければいいのにと最初の頃はそう思っていたのだが、こう足繁く通う理由を考えてみれば答えは単純明快、彼は愛する皇后に会うために来ているのだと素流は理解した。
(夜だって本当は皇后さまとイチャイチャしたいのに、周囲から急っ突かれて仕方がなく私の所に来てるんだろうなあ。鍛練時に見に来るのだってそうなんだろうし、世の恋人たちみたいに好きな相手だけに会っていられないなんて、皇帝って大変だよねえ)
そんな風に思えば二人の逢瀬の時間を無為に邪魔している自分が申し訳なくなってきて、とうとうこの日素流は思い切って途中で席を立った。
これまでは失礼に当たるかもしれないと遠慮していたのだが、その遠慮の方向を変えたのだ。つまりは二人に遠慮した。せめて昼間だけでも一緒に過ごしてほしかった。
「あの、お二人でごゆっくりどうぞ。私はそのー、ええとー……そうそう鍛錬があるので失礼します」
そんな適当な言い訳を口に椅子から腰を上げた素流の手を一翔が捕まえた。
先日の夜のような強引さはなく、むしろ控えめだ。彼は困惑しているようだった。
「下手な演技などして、どうした? 鍛錬ならば昼前にしておろうに」
「えっと~……」
言い訳がまずかった。
すぐに見破られる嘘をついた自分の間抜けさに、素流はちょっと目を泳がせた。
でも、二人を応援すると決めているのでやはりここは自分が退席するのが一番だと思い直す。
「私は折角のお二人の時間を邪魔したくないのです」
「何……?」
「私がいると陛下は心置きなく皇后さまとの甘い時間を過ごせないと思いまして」
「何……だと?」
ぶはっと珍しく皇后が茶を噴きかけて激しく噎せた。
あわや持病の癪かと宮女たちが慌てたように集まって背中を摩る。素流も傍で気遣いたかったが一翔に手を掴まれているので動けない。
何故か一翔は眼差しを胡乱なものにしていた。
「淑妃」
「はい?」
滑舌もハッキリと呼ばれ、素流はまた自分は彼を怒らせてしまったのだろうかと思えば、気が塞いだ。
仮にも夫である相手を不愉快にさせたいわけではないのだ。トラブルなくそれなりに過ごせればいいと思っているのに、全く世の中は思うようにいかない。
「陛下、そのように心にもなく怒ったようにされては、淑妃も気まずく思いますよ」
「朕は別に怒っているわけではない」
もう既にその表情が不機嫌丸出しなのだとは素流は思ったが口には出さなかった。
彼はよく素流が二人を取り持つ発言をすると表情を曇らせる。
「いいから、そなたもここにいろ」
「え、ええと……」
「わらわも淑妃にはお開きまでここにいてほしいのですけれど?」
「あ、はいじゃあお言葉に甘えて」
「……何故に皇后の言葉には素直に従うのだ。そなたは朕の妃であって皇后の妃ではないだろうに」
「それはそうですけど、ふふっ皇后さまのお妃だなんて可笑しな言い方ですね」
思わず小さく微笑むと、一翔から何故か口に菓子を放り込まれた。
「んむぐ!?」
「いつもそうして笑って甘い菓子でも頬張っておれば良いのだ、そなたは」
吐き出すわけにもいかず、仕方なく茶と共に飲み込んでいると、皇后がくすくすと笑っている。
場の雰囲気は和やかだ。
素流は一翔の表情に険がないことに些かホッとして表情を緩めると、椅子に腰を落ち着けるのだった。
その後彼と二人一緒に皇后の宮を出て屋根付きの屋外廊下を並んで歩いた。
公務が立て込んでいたりするとさっさと先に行ってしまうのだが、今日はそうではなかった。
動きにくい贅沢な服には未だに慣れず汚さないようにと気を遣えば自然とゆっくりになる素流の歩調に、彼はわざわざ合わせてくれている。きっと素流に何か話があるのだろう。
「ほとんど毎日呼び付けられて皇后の宮を訪れて、面倒ではないのか?」
「まさか。それに私からお伺いを立てる日もありますし。皇后さまは色々とためになるお話をされるので勉強になっています」
「ためになる話か……。朕の居ない所ではどのような話をする?」
「え? ええとそれは~……」
素流は内心あたふたとして少し頬を赤くした。
「言えぬのか? それにどうして頬を染める? ……まさか朕の居ぬ間に二人で何か人に言えぬような行いを?」
「人に言えない? いえ人に言えないわけではないんですけど……」
眉間にしわを一本刻む一翔へ、素流はこれはきっと皇后と仲が良い自分への嫉妬だと考え微笑ましく思い、逡巡の末に口を開いた。
「――閨事に関して、です」
「………………は?」
かなりの間があった。
0
お気に入りに追加
866
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました
吉高 花
恋愛
◆転生&ループの中華風ファンタジー◆
第15回恋愛小説大賞「中華・後宮ラブ賞」受賞しました!ありがとうございます!
かつて散々腐れ縁だったあいつが「俺たち、もし三十になってもお互いに独身だったら、結婚するか」
なんてことを言ったから、私は密かに三十になるのを待っていた。でもそんな私たちは、仲良く一緒にトラックに轢かれてしまった。
そして転生しても奴を忘れられなかった私は、ある日奴が綺麗なお嫁さんと仲良く微笑み合っている場面を見てしまう。
なにあれ! 許せん! 私も別の男と幸せになってやる!
しかしそんな決意もむなしく私はまた、今度は馬車に轢かれて逝ってしまう。
そして二度目。なんと今度は最後の人生をループした。ならば今度は前の記憶をフルに使って今度こそ幸せになってやる!
しかし私は気づいてしまった。このままでは、また奴の幸せな姿を見ることになるのでは?
それは嫌だ絶対に嫌だ。そうだ! 後宮に行ってしまえば、奴とは会わずにすむじゃない!
そうして私は意気揚々と、女官として後宮に潜り込んだのだった。
奴が、今世では皇帝になっているとも知らずに。
※タイトル試行錯誤中なのでたまに変わります。最初のタイトルは「ループの二度目は後宮で ~逃げるための後宮でしたが、なぜか奴が皇帝になっていました~」
※設定は架空なので史実には基づいて「おりません」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
魔力なしと虐げられた令嬢は孤高の騎士団総長に甘やかされる
橋本彩里(Ayari)
恋愛
五歳で魔力なしと判定され魔力があって当たり前の貴族社会では恥ずかしいことだと蔑まれ、使用人のように扱われ物置部屋で生活をしていた伯爵家長女ミザリア。
十六歳になり、魔力なしの役立たずは出て行けと屋敷から追い出された。
途中騎士に助けられ、成り行きで王都騎士団寮、しかも総長のいる黒狼寮での家政婦として雇われることになった。
それぞれ訳ありの二人、総長とミザリアは周囲の助けもあってじわじわ距離が近づいていく。
命を狙われたり互いの事情やそれにまつわる事件が重なり、気づけば総長に過保護なほど甘やかされ溺愛され……。
孤高で寡黙な総長のまっすぐな甘やかしに溺れないようにとミザリアは今日も家政婦業に励みます!
※R15については暴力や血の出る表現が少々含まれますので保険としてつけています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる