BLゲームの脇役に転生した筈なのに

おさらい

ここでまず星ネガのストーリー内容についておさらいしていこうと思う。

まず最初に、星ネガは題名通り星がテーマのBLゲームだ。その為キャラクター達の名前は星座等の星関連用語だったりする。


例えば今の俺、アリエスは星座のおひつじ座を意味する。だからか彼はひつじっぽいふわっとした性格で、人当たり良さげな雰囲気から「脇役」なのにも関わらず比較的人気なキャラクターだった。前世の俺は脇役とか見ずに攻略者らの美貌に目を向けてばかりだったのであまり分からないのだが、アンケート調査で一番友達になりたいランキング第1位だったのは覚えてる。

まぁ人気といえど友達止まり。なんて素晴らしいポジなんだ、、！



次は攻略者達だ。


攻略者は全部で5人登場する。

まず1人目は先程も言ったがトーラス・チェルナー、俺のルームメイトだ。

トーラスとはおうし座の事を指していて、アリーが主人公を自分の寮部屋に遊びに招待した時にたまたまラスが居合わせた事で二人は接点を持つ。初対面からすぐ彼の綺麗な顔立ちやお人好しな性格に好意を抱き、攻略者の中でも一番攻略しやすいキャラクターだった。



2人目。
キャンサー・ユラーク。名前はかに座を意味する。

彼は主人公と同じ他校からの新入生で人見知り気質。内気な性格から見た目も暗く、誰にも声を掛ける事が無かった彼だが主人公くんがアリーに会いに行く為にアリーの教室に遊びに来てくれた際、主人公の美貌に惚れ、自ら声を掛ける。（ついでに言うとアリーとキャンサーは同じクラス、主人公は違うクラスだ。）

その後はもう主人公くんに惚れるわ惚れるわで陰気な見た目からどんどんイケメンになっていく。恋する乙女ってやつだな。　因みにキャンサーくんの萌えポイントは敬語かつ眼鏡を掛けているインテリイケメンである事だ。うん、いいわ、目の保養だわ。



3人目は何様俺様会長様。
高等学部2年、生徒会長であるレオ・ヒーズマン。

ここは結構王道設定で自分の言う事を初めて聞かない相手(主人公)を目の当たりにしたことで興味を持っていく。主人公とレオがまずどう出会うかはアリーが誤ってレオに廊下でぶつかってしまうのが原因だ。いやそこは脇役じゃなくて主人公がぶつかる所だろ！と不意に思ってしまった俺は悪く無いと思う。まぁそこは一旦置いといて。

名前はしし座から取ってるだけあって、グイグイくる肉食系男子だ。だからこそ2人の絡みはめちゃくちゃ楽しみでしかない。



攻略者の中では最年長、星ヶ丘学園の先生、ジェミニ・アスター が4人目の攻略対象者だ。

因みに主人公の担任教師である。名前の由来はふたご座から来ており、教師自身も双子生まれ。

知能も美貌も自分よりも遥かに優れている兄を持った彼はいつも兄と比べられていて劣等感を抱いていた時に主人公と会うのだ。ありのままの自分をさらけ出す事が出来た事で救われた恩返しも含め徐々に主人公との距離を詰めていく。

この出会いではアリー自体は登場しない。ただ、先生と主人公が話し合いをする時に共通の話題としてアリーの名前を出すシーンがある。いわば会話を繋げるために必要な道具だな俺は。




そして最後の攻略者、スコーピオ・ワイツマン。

さそり座を意味する彼の名前通りトゲトゲとした不良ボーイであり誰に対しても無愛想。だが1度自分の領域に入れるとこれでもかと言える程あっっまーーーいわんこ系になる。例えるなら苦かったコーヒーに砂糖20杯分入れてる感じ。

なので主人公とのわちゃわちゃシーンはもはや子犬同士が戯れているような感覚なのだが、夜は狼化したといっても過言ではない隠れ肉食系男子なのである。ギャップ殺しというかなんというか。腐男子・腐女子にはたまらない胸きゅんキャラだ。

因みに彼もアリーと主人公が歩いている途中で喧嘩シーンに出くわす事で繋がるキャラだ。




ふぅ。アリーというか俺って本当に大人気だな。とはいえこんなに主人公と攻略者達の関係性を保たせるという重大な役割を担ってる割にゲーム後半になると全くと言って良い程登場しなくなるキャラなのだからビックリだが。まぁだから脇役配置なのだけど。


と校内の階段を登りながら考える。




そして最後は主人公についてだ。


ゲーム内では主人公の描写がない。というのもプレイヤーは主人公目線でプレイしている為、自然と主人公の姿は鏡でも見ない限り見えないのだ。


つまり、主人公はどんな人物であるかは探さない限り分からない、ということ。ただ、攻略者達が主人公を口説く際に綺麗な髪色だの瞳だの話していたので顔のパーツの特徴は覚えているし、何より主人公の名前は「最初から決まっている」ので名前を聞けばすぐわかる。


俺らはゲーム内で言うなら『主人公を自分と置いて動かしているプレイヤー』であって、『主人公自身』では無い。　その為、プレイヤー名は変える事が出来るのだが主人公名は最初から決められていて、変更する事が出来ないのだ。


その彼の名前はシリウス・スプリング。 


シリウス、というのは全天一の輝星のこと。意味はギリシャ語の「焼き焦がすもの」「光り輝くもの」、というなんとも主人公らしい名前だ。　お人好しで正義感が強いキャラクターである彼は攻略者達を知らぬ間に落としていく天才であり、誰もが見惚れる容姿を持っている。



(う～！絶対主人公美人じゃん！！会うの楽しみだなぁ、、)



思わず顔から笑みが溢れる。



因みにキャラクターは好感度が100%になると主人公に告白する仕様になっている。告白を受けるかは主人公の選択次第だ。

どうやったら好感度が100％だって分かるかって？実はこのゲームの攻略対象者は全員ピアスを付けているのだ。そして好感度が上がるにつれてピアスの色が変わる、という設定になっている。始まりは全員白いピアス。友達認識の好感度20～60％がシルバー。好感度が60～80％の場合は親友レベルでオレンジに変わり。そしてラブは80～100％で赤色に。



とまぁゲームのおさらいも終わった事だしアリーの重大さにも気づいた今、俺はやはり今いる攻略者たちとは既に適度かつ近しい距離をとっておかなければいけない事に気づいた。多分一番は今のまま行くと先生と主人公の共通話題になる程印象的な生徒にもなれない事だ。それでは他の攻略者に出会えたとしてもハーレムエンドは目指せない。



(っよし、BLウォッチングをするためにも印象を良くして頑張るぞ！)




といつの間にか到着していた教室の前でグッと気合いを入れた。