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怪鳥との決闘編

ep85 工場を守り、仇敵をぶちのめす!

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「タケゾー! 今どうなってる!?」
【デザイアガルダはやっぱり、借金の返済に使われたお前の工場に向かってるみたいだ。俺の方は物陰からバレないように様子を伺ってる】

 アタシはロッドで飛行しながら、タケゾーとも電話をして状況を確認する。
 タケゾーが言ってた通り、デザイアガルダの狙いはアタシの実家だった工場だ。
 あの工場を好き勝手させるわけにはいかない。今は差し押さえ物件でも、あそこはアタシの大切な場所だ。

「でも、どうしてデザイアガルダは工場を……!?」
【確か、デザイアガルダは大凍亜連合と繋がってるんだよな? 隼の持ってるUSBメモリを探し出すために、無理矢理乗り込むつもりとか?】
「あんな馬鹿デカい鳥にそんなことされたら、工場がメチャクチャになるじゃん!? 急いで止めないと!」

 タケゾーとの話を聞く限り、状況自体は非常によろしくない。
 デザイアガルダの狙いはタケゾーの推理から読み取れるが、そのために工場を荒らされるのだけは我慢ならない。

 ――もうアタシが所有者でなくても、あの工場での狼藉だけは許せない。

「タケゾー。悪いんだけど、このことは警察に報告するのは待ってくれないかな」
【今度こそ、デザイアガルダを完全に打ちのめすつもりだな?】
「その通りさ。下手に警察に介入されると邪魔になっちゃう。今回はアタシも、最初からトップギアで飛ばすからね……!」
【……分かった。どのみち、デザイアガルダの相手だけは隼じゃないと無理だ。ここは俺もお前を頼らせてもらう。何か俺にできることはあるか?】

 タケゾーもアタシの気持ちを言葉少なに汲み取り、警察への報告は避けてくれる。
 アタシが本気でデザイアガルダの相手をすれば、警察の方も巻き込みかねない。
 ここまで何度も逃げられた相手だ。今度という今度は逃がさないためにも、万全の対策を施したい。
 タケゾーも協力の意を述べてくれるが、むしろタケゾーにも離れていてもらった方が――



「……そうだ。タケゾーって、今はバイクに乗ってるんだよね? だったらさ、少しお願いがあって――」



 ――そう思ったが、アタシも過去の戦いから一つ気になることがある。
 それへの対策のためにも、タケゾーには一肌脱いでもらおう。





「どこダ!? 一体、どこにあるんダァ!?」
「何やってんだい! デザイアガルダァア!!」

 アタシが工場の上空まで飛んでいくと、そこには報告通りデザイアガルダの姿があった。
 しかも忌まわしいことに、工場の屋根目がけてソニックブームを放ち、強引に中への侵入を試みている。
 工場な屋根は頑丈な素材でできているため、ソニックブームでも簡単には貫けない。
 だがその様子を見る限り、やはりUSBメモリを探していると見るのが妥当だ。

 ――それにしても、アタシの思い出の場所にこんな仕打ちをするのは許せない。

「どりゃぁああ!!」
「ゲガフッ!? また貴様カ! 空色の魔女! 相変わらず足癖の悪い女ダ!」
「そっちこそ、相変わらず盗難癖が抜けてないね! こっちもこの場所だけは死守させてもらうよ!」

 前口上もなしに、アタシは飛行のスピードを落とさずにデザイアガルダの顔面を蹴り飛ばす。
 もう魔女っぽくなかろうが、足癖が悪かろうが関係ない。空色の魔女に課せられた最大の使命は、この仇敵たる怪鳥を打ち倒すこと。

 ――今この時こそ、それを成し遂げてみせる。

「貴様にとってこの場所は関係なかろウ! おとなしく引っ込んでおレ! 小娘が大人の邪魔をするナ!」
「鳥年齢の人間換算なんて知らないね! ここはアタシにとって特別な意味のある場所だ! あんたこそお呼びじゃないんだよ!」

 デザイアガルダはこれまで同様、翼を大きく広げて羽根の弾丸を飛ばしてくる。
 だが、こいつは何度も戦ってきた相手だ。そんな動きはもう読めてる。
 情報制御コンタクトレンズである場所を簡易マーキングしながら、まずはロッドから飛び上がって羽根の弾丸を回避しつつ――

「そら! 捕らえたぞ!」
「ゲガッ!? な、何をすル!?」

 ――デザイアガルダの首根っこをアタシの両足で挟み込む。
 無論、それだけで終わらせる気などない。
 今度はあらかじめマーキングしておいた工場敷地内にある庭目がけて――

「おんどりゃぁああ!!」
「ゲギャァアア!?」


 ブゥウンッ! ドガァァアンッ!!


 ――フランケンシュタイナーでデザイアガルダを投げ飛ばす。
 魔女っぽくないとかどうでもいい。この戦い方がアタシに一番合っている。
 それに空中戦ならば、鳥であるデザイアガルダの方に分がある。こっちの狙いは地上戦だ。

「ぼ、暴力的な魔女ガァ……!」
「まっだまだぁああ!!」

 庭に叩きつけられたデザイアガルダも体勢を立て直し、再び空へ飛び立とうとする。
 だが、こっちもそうさせるわけにはいかない。地上戦のこともあるが、下手に工場の上空で戦って被害を出したくない。

 まだデザイアガルダの上空にいたアタシは、宙に浮かぶデバイスロッドを両手で掴みながら体を回転させる。
 さながら新体操の鉄棒競技のように遠心力をかけ、デザイアガルダの方に体が向いたところで手を放す。


 スギャァァアンッ!!


「ゲボホォ!? こ……小癪ナァァアア!!」

 そしてそのまま、デザイアガルダの懐にライダーキックで突撃。
 かなりのダメージを入れられたが、それでもデザイアガルダはまだ立ち上がってくる。



 ――それならそれで、こっちも攻め手を緩めない。



「こっちももう、あんたとはアディオスしたいもんでねぇえ!!」
「つ、杖が――ゲババババァ!?」

 アタシはトラクタービームで空中にあったデバイスロッドを引き寄せ、そのまま帯電させてデザイアガルダへとぶつける。
 それにより、デザイアガルダは完全にダウン。工場敷地内の庭の真ん中で、翼を大きく広げて仰向けに倒れた。

 自分でも惚れ惚れしたくなる流れるような波状攻撃だが、今はそんな余韻に浸る気になれない。
 タケゾー父を殺した怪鳥相手に、アタシも慈悲をかけたくない。



 ――それに、まだ戦いは終わっていない。



 ヒュゥウウン!


 その予想通り、何かが風を切る音を響かせながら、アタシの方へと飛んできた。
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