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最終章 それが俺達の絆
第447話 決戦・【最盛の凶獅子】⑤
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兄ジフウと同じく、戦いの中でその狂気を完全に解放させたシシバ。
体を軽く揺らめかせ、再び<獅子重録影>を両脇へと立たせた後、目を見開いた笑顔でゼロラへと構える。
「もう小賢しい策はなしや~! 俺とゼロラはん……いっそ死ぬまで殴り合おうやないかぁああ!!」
「どこまでも狂った野郎だ。だが……受けて立ってやるよぉお! シシバァアア!!」
シシバもゼロラも、互いの全霊をかけて最後の勝負へと挑み出る。
もう細かい考えはいらない。
もう相手の様子を伺うようなこともしない。
<灰色のオーラ>を纏ったゼロラと、<赤色のオーラ>を纏ったシシバ。
互いの本能による更なる激闘が、王宮の城門で最終局面を迎えようとしていた――
「この程度か~? ゼロラァアア!!」
シシバは<鬼勁>と<獅子重録影>の合わせ技で、ゼロラを攻め立てる。
「そっちこそ、ただ打撃で攻め続けられると思ってるのか? シシバァアア!!」
ゼロラはシシバの打撃技に対し、組技も交えて反撃する。
ドガガガァア!!
シシバの打撃が響き渡れば――
ズゴォオンッ!!
――ゼロラの叩きつけも響き渡る。
辺りに響き渡るのは、人智を超えた攻防の衝撃音――
両者の全力が大気を震わせ、城門の壁にヒビを入れる。
それほどまでに強大な力の衝突――
完全に人の領域を超えた決戦――
その余波は、城門の上で戦いを傍観していたリフィーにも当然届いていた。
「な、なな、なんなのよ、こいつら……!? あ、ありえない……! こんな力……わたくしやレイキース様でさえも、持ってないですわ……!?」
目の前で繰り広げられる激戦が自身の力を超えるものであることを、リフィーも直感的に理解していた。
この二人の想像を絶する力とその危険性――
それを肌身で感じ取ったリフィーは、その手に火炎魔法を唱え始めた。
「い、今ならあの二人はわたくしに気付いていない……! こ、ここで二人まとめて、消してやりますわ……!」
「ダ、ダメー! パパー! 逃げてー!!」
「や、やめろ、リフィー! くそ! どうにかして、この檻から抜け出す方法は……!?」
リフィーの目論見を理解したミライとリョウは、必死に魔法の檻の中で抵抗する。
だが檻は堅牢で、それぞれの力ではどうしようもない。
魔法の檻は内側にいる者の魔力を吸収する仕掛けとなっており、脱出は叶わない。
二人の必死の懇願も、ゼロラとシシバの耳には届かない――
「こ、これで二人とも消して差し上げますわ……!」
「やめてー!!」
「やめろぉおお!!」
リフィーは作り出した火炎魔法の矛先を、戦っているゼロラとシシバに向けた――
「見つけタゾ。賢者リフィー……!」
――そんなリフィー目がけて、一つの人影が飛んできた。
その目にリフィーに対する憎しみを宿し、それでもその胸には自らの優先すべき行動を抱え、指先からリフィーへと黒い閃光を射出した――
――バシュン!
「あぐぅう!? あ……キャアアア!?」
閃光はリフィーの右肩を貫き、火炎魔法の発射を食い止めた。
さらにそれで体勢を崩したリフィーは、城門の上から崩れ落ちる――
――ドシィイン!!
「――ッ!? な、なんだ!?」
「誰かが落ちたんか!? リフィーか!?」
激闘を繰り広げていたゼロラとシシバも、近くで起こった物音に気付き、互いに攻撃をやめる。
土煙の中からわずかに見える姿から、リフィーが落ちてきたことはすぐに理解できた。
ゼロラもシシバもその姿を見て、一度落ち着き冷静になる。
それぞれの体から溢れ出ていた<灰色のオーラ>と<赤色のオーラ>も収まり、この決戦も中断された。
「誰かがやったのか……?」
「そうなんやろうが……一体誰や?」
「邪魔をしてスマナイ。ワタシも今優先スベキは、この賢者を倒すコトダト思ったカラナ」
勝負の横槍よりも事態が気になっていたゼロラとシシバだったが、そこにリフィーを突き落とした張本人が空から降りてきた。
ミライがラルフルから貰った帽子をかぶり、その姿かたちもミライと同じ。
ただ髪は白く、目つきは鋭い。
この決戦の場に駆け付けてきたのは、ゼロラもよく知る"もう一人のミライ"――
「お前……ミライか……? <ナイトメアハザード>の時の……?」
「ウム。マタ会ったナ、父ヨ。本来の"ワタシ"がコノ帽子を大事にトッテクレタのが、功を奏シタ」
体を軽く揺らめかせ、再び<獅子重録影>を両脇へと立たせた後、目を見開いた笑顔でゼロラへと構える。
「もう小賢しい策はなしや~! 俺とゼロラはん……いっそ死ぬまで殴り合おうやないかぁああ!!」
「どこまでも狂った野郎だ。だが……受けて立ってやるよぉお! シシバァアア!!」
シシバもゼロラも、互いの全霊をかけて最後の勝負へと挑み出る。
もう細かい考えはいらない。
もう相手の様子を伺うようなこともしない。
<灰色のオーラ>を纏ったゼロラと、<赤色のオーラ>を纏ったシシバ。
互いの本能による更なる激闘が、王宮の城門で最終局面を迎えようとしていた――
「この程度か~? ゼロラァアア!!」
シシバは<鬼勁>と<獅子重録影>の合わせ技で、ゼロラを攻め立てる。
「そっちこそ、ただ打撃で攻め続けられると思ってるのか? シシバァアア!!」
ゼロラはシシバの打撃技に対し、組技も交えて反撃する。
ドガガガァア!!
シシバの打撃が響き渡れば――
ズゴォオンッ!!
――ゼロラの叩きつけも響き渡る。
辺りに響き渡るのは、人智を超えた攻防の衝撃音――
両者の全力が大気を震わせ、城門の壁にヒビを入れる。
それほどまでに強大な力の衝突――
完全に人の領域を超えた決戦――
その余波は、城門の上で戦いを傍観していたリフィーにも当然届いていた。
「な、なな、なんなのよ、こいつら……!? あ、ありえない……! こんな力……わたくしやレイキース様でさえも、持ってないですわ……!?」
目の前で繰り広げられる激戦が自身の力を超えるものであることを、リフィーも直感的に理解していた。
この二人の想像を絶する力とその危険性――
それを肌身で感じ取ったリフィーは、その手に火炎魔法を唱え始めた。
「い、今ならあの二人はわたくしに気付いていない……! こ、ここで二人まとめて、消してやりますわ……!」
「ダ、ダメー! パパー! 逃げてー!!」
「や、やめろ、リフィー! くそ! どうにかして、この檻から抜け出す方法は……!?」
リフィーの目論見を理解したミライとリョウは、必死に魔法の檻の中で抵抗する。
だが檻は堅牢で、それぞれの力ではどうしようもない。
魔法の檻は内側にいる者の魔力を吸収する仕掛けとなっており、脱出は叶わない。
二人の必死の懇願も、ゼロラとシシバの耳には届かない――
「こ、これで二人とも消して差し上げますわ……!」
「やめてー!!」
「やめろぉおお!!」
リフィーは作り出した火炎魔法の矛先を、戦っているゼロラとシシバに向けた――
「見つけタゾ。賢者リフィー……!」
――そんなリフィー目がけて、一つの人影が飛んできた。
その目にリフィーに対する憎しみを宿し、それでもその胸には自らの優先すべき行動を抱え、指先からリフィーへと黒い閃光を射出した――
――バシュン!
「あぐぅう!? あ……キャアアア!?」
閃光はリフィーの右肩を貫き、火炎魔法の発射を食い止めた。
さらにそれで体勢を崩したリフィーは、城門の上から崩れ落ちる――
――ドシィイン!!
「――ッ!? な、なんだ!?」
「誰かが落ちたんか!? リフィーか!?」
激闘を繰り広げていたゼロラとシシバも、近くで起こった物音に気付き、互いに攻撃をやめる。
土煙の中からわずかに見える姿から、リフィーが落ちてきたことはすぐに理解できた。
ゼロラもシシバもその姿を見て、一度落ち着き冷静になる。
それぞれの体から溢れ出ていた<灰色のオーラ>と<赤色のオーラ>も収まり、この決戦も中断された。
「誰かがやったのか……?」
「そうなんやろうが……一体誰や?」
「邪魔をしてスマナイ。ワタシも今優先スベキは、この賢者を倒すコトダト思ったカラナ」
勝負の横槍よりも事態が気になっていたゼロラとシシバだったが、そこにリフィーを突き落とした張本人が空から降りてきた。
ミライがラルフルから貰った帽子をかぶり、その姿かたちもミライと同じ。
ただ髪は白く、目つきは鋭い。
この決戦の場に駆け付けてきたのは、ゼロラもよく知る"もう一人のミライ"――
「お前……ミライか……? <ナイトメアハザード>の時の……?」
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