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最終章 それが俺達の絆
第436話 戦闘・当代勇者②
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「……え?」
突然レイキース様が誰かの名前を呼びました。
"紅の賢者"――
その人の正体は確か――
パチンッ
ボォオオオ!!
「ウアアァ!?」
「ラ、ラルフル!?」
それに気づこうとした時、自分の体が炎に包まれました。
お姉ちゃん達も驚いています。
急いで地面を転がって火を消したおかげで、そこまで大きなダメージはありません。
ですが、まさかこの人がいたなんて――
「ハッハッハッ……! 君とはどうにも因果があるな、少年よ」
「なぜあなたが……? あなたは――」
――『元魔王軍四天王、ダンジェロ』。
その疑問を口にしようとした時、さらなる事態が襲い掛かりました――
ガシィ!
「よくもやってくれたな……! <ライトブレーウォ>!!」
「うううぅ!?」
レイキース様が自分の頭に掴みかかってきました。
そして放たれた、<ライトブレーウォ>という術――
自分の視界はどんどんと白い光に覆われて行きます。
まるで自分の意識を内に閉じ込めるような、白い光――
何もない、空っぽの世界が広がっていきます――
この術が……今回の騒動を引き起こした力――
「これで僕の勝ちだ! 残っている<ライトブレーウォ>を全て注ぎ込んだ! 大人しく……【栄光の勇者】レイキースの名のもとに、従えぇえ!!」
レイキース様が歓喜の叫び声を聞きながら、自分の意識は切り離されていきました――
■
「……よし、ラルフル。お前を特別に僕の下僕としてやる。この正義の戦いに戦力として、付き従わせてやる」
「はい……レイキース様」
次にレイキース様の声を聞いた時、自分の意識は戻ってきました。
ただその口から出てくる言葉は、自分が思ってもいない服従の言葉――
「ラ……ラルフル……!? う、嘘だよね……!?」
「目を覚まして! アンタは操られているだけなのよ!?」
お姉ちゃんとミリアさんの声が聞こえます。
すぐにでも顔を向けて、『大丈夫ですよ』と声をかけたいのですが――
「レイキース様……ご命令を」
――自分の口から出たのは、レイキース様への服従の言葉。
どれだけ体を動かそうとしても、言いたいことを言おうとしても、今の自分にはできません。
ただ俯き、レイキース様の言葉を待ってしまっています。
「そ、そんな……! ラルフルが操られてしまっては……!」
「レイキース! その少年を解放しろ! お主の本当の目的は、その少年にはないのだろう!?」
ロギウス殿下と国王陛下の声も聞こえます。
陛下がなんとか助けようと声をかけてくれているのは分かります。
――ですが、自分には逆らうことができません。
「呆気呆気。結局、小生を頼らないと、卿には何もできなかったか」
「黙ってろ、"紅の賢者"。僕に従っている以上、お前も僕の力の一部に過ぎない」
「結構結構。卿にはそれがお似合いだ」
耳に入ってくる話だけを聞く限り、レイキース様は"紅の賢者"の正体に気付いていないのかもしれません。
この人の正体は、元魔王軍四天王、【欲望の劫火】――ダンジェロ。
おそらくレイキース様は、この人にいいように動かされている気がします。
魔王城で一人悪夢にうなされていた、ミライちゃんと同じように――
「さて、勇者レイキースよ。この後はどうするおつもりかな?」
「陛下と殿下には、<絶対王権>の書状を用意させる。他の奴らも、ゼロラを誘き出す餌にはなるだろう」
レイキース様達が更なる悪巧みを考えています。
このままでは、皆さんにも被害が及んでしまいますが――
「おい、お前ら。ラルフルに手を出されたくなかったら、大人しく僕に従え」
「ううぅ……!」
「ラ、ラルフル……」
――やはり、自分は黙って従うことしかできません。
それどころか自分のせいで、皆さんにまで危害が及んでいます。
「……レイキース様。玉座の間に、テレポートでの侵入者を確認しました。かなり高度な魔法の使い手のようです」
「『高度な魔法の使い手』……。おそらくは、リョウ大神官だな。よし、僕はこいつらを連れて、玉座の間へと向かう。<絶対王権>の書状にも用があるしな」
「では、わたくしは如何様に?」
「お前は"魔王の娘"を攫ってこい。リョウ大神官と"魔王の娘"……。この二人を揃えておけば、ゼロラの戦力を削ぐこともできる」
「かしこまりました。"魔王の娘"はおそらく、王都から離れた宿場村にいます。わたくしならテレポートですぐに向かえます」
「ああ、頼んだ。しっかり連れてこい」
レイキース様の命令に従い、リフィー様はテレポートで姿を消しました。
このままでは、"魔王の娘"と言われているミライちゃんの身も危ないです。
「では、小生はこの少女の身柄を預かるとしよう。小生には彼女こそ、最大の利用価値があるのでね……!」
「好きにしろ。王宮のエントランスにでも待機し、ゼロラを迎え撃て」
「ま、待って! この人は―― ムグゥ!?」
さらにはお姉ちゃんまで元魔王軍四天王のダンジェロによって口を塞がれ、連れ去られてしまいました。
こんなことになっているのに、自分には何もできません。
ただ黙ってこの状況に耐えるだけ――
「おい、ラルフル。お前は僕と一緒に来い。陛下に殿下に聖女。この三人を連れてくるんだ」
「…………」
「……おい? 聞いてるのか?」
「……かしこまりました」
頑張ってほんのちょっと抵抗してみましたが、少しの間声を出さないのが精一杯です。
自分の体は勝手に動いてしまいます――
「さあ、早くついてこい。"正義"のためにも、お前らは動いてもらうぞ」
「ぐぅ……!? ラルフルにこんなことをして――」
「ミリア様……今は落ち着きましょう。どうにかして、機会を伺います」
「皆……すまぬ……!」
ミリアさんもロギウス殿下も国王陛下も、苦虫を潰したような顔をしながら、自分とレイキース様に連れていかれます。
このままではいけません。
どうにかしてこの状況を打開する必要があります。
――自分も今はただ耐えましょう。
まだこうして内側に意識が残っている以上、機会が訪れればまだ打つ手はあります――
突然レイキース様が誰かの名前を呼びました。
"紅の賢者"――
その人の正体は確か――
パチンッ
ボォオオオ!!
「ウアアァ!?」
「ラ、ラルフル!?」
それに気づこうとした時、自分の体が炎に包まれました。
お姉ちゃん達も驚いています。
急いで地面を転がって火を消したおかげで、そこまで大きなダメージはありません。
ですが、まさかこの人がいたなんて――
「ハッハッハッ……! 君とはどうにも因果があるな、少年よ」
「なぜあなたが……? あなたは――」
――『元魔王軍四天王、ダンジェロ』。
その疑問を口にしようとした時、さらなる事態が襲い掛かりました――
ガシィ!
「よくもやってくれたな……! <ライトブレーウォ>!!」
「うううぅ!?」
レイキース様が自分の頭に掴みかかってきました。
そして放たれた、<ライトブレーウォ>という術――
自分の視界はどんどんと白い光に覆われて行きます。
まるで自分の意識を内に閉じ込めるような、白い光――
何もない、空っぽの世界が広がっていきます――
この術が……今回の騒動を引き起こした力――
「これで僕の勝ちだ! 残っている<ライトブレーウォ>を全て注ぎ込んだ! 大人しく……【栄光の勇者】レイキースの名のもとに、従えぇえ!!」
レイキース様が歓喜の叫び声を聞きながら、自分の意識は切り離されていきました――
■
「……よし、ラルフル。お前を特別に僕の下僕としてやる。この正義の戦いに戦力として、付き従わせてやる」
「はい……レイキース様」
次にレイキース様の声を聞いた時、自分の意識は戻ってきました。
ただその口から出てくる言葉は、自分が思ってもいない服従の言葉――
「ラ……ラルフル……!? う、嘘だよね……!?」
「目を覚まして! アンタは操られているだけなのよ!?」
お姉ちゃんとミリアさんの声が聞こえます。
すぐにでも顔を向けて、『大丈夫ですよ』と声をかけたいのですが――
「レイキース様……ご命令を」
――自分の口から出たのは、レイキース様への服従の言葉。
どれだけ体を動かそうとしても、言いたいことを言おうとしても、今の自分にはできません。
ただ俯き、レイキース様の言葉を待ってしまっています。
「そ、そんな……! ラルフルが操られてしまっては……!」
「レイキース! その少年を解放しろ! お主の本当の目的は、その少年にはないのだろう!?」
ロギウス殿下と国王陛下の声も聞こえます。
陛下がなんとか助けようと声をかけてくれているのは分かります。
――ですが、自分には逆らうことができません。
「呆気呆気。結局、小生を頼らないと、卿には何もできなかったか」
「黙ってろ、"紅の賢者"。僕に従っている以上、お前も僕の力の一部に過ぎない」
「結構結構。卿にはそれがお似合いだ」
耳に入ってくる話だけを聞く限り、レイキース様は"紅の賢者"の正体に気付いていないのかもしれません。
この人の正体は、元魔王軍四天王、【欲望の劫火】――ダンジェロ。
おそらくレイキース様は、この人にいいように動かされている気がします。
魔王城で一人悪夢にうなされていた、ミライちゃんと同じように――
「さて、勇者レイキースよ。この後はどうするおつもりかな?」
「陛下と殿下には、<絶対王権>の書状を用意させる。他の奴らも、ゼロラを誘き出す餌にはなるだろう」
レイキース様達が更なる悪巧みを考えています。
このままでは、皆さんにも被害が及んでしまいますが――
「おい、お前ら。ラルフルに手を出されたくなかったら、大人しく僕に従え」
「ううぅ……!」
「ラ、ラルフル……」
――やはり、自分は黙って従うことしかできません。
それどころか自分のせいで、皆さんにまで危害が及んでいます。
「……レイキース様。玉座の間に、テレポートでの侵入者を確認しました。かなり高度な魔法の使い手のようです」
「『高度な魔法の使い手』……。おそらくは、リョウ大神官だな。よし、僕はこいつらを連れて、玉座の間へと向かう。<絶対王権>の書状にも用があるしな」
「では、わたくしは如何様に?」
「お前は"魔王の娘"を攫ってこい。リョウ大神官と"魔王の娘"……。この二人を揃えておけば、ゼロラの戦力を削ぐこともできる」
「かしこまりました。"魔王の娘"はおそらく、王都から離れた宿場村にいます。わたくしならテレポートですぐに向かえます」
「ああ、頼んだ。しっかり連れてこい」
レイキース様の命令に従い、リフィー様はテレポートで姿を消しました。
このままでは、"魔王の娘"と言われているミライちゃんの身も危ないです。
「では、小生はこの少女の身柄を預かるとしよう。小生には彼女こそ、最大の利用価値があるのでね……!」
「好きにしろ。王宮のエントランスにでも待機し、ゼロラを迎え撃て」
「ま、待って! この人は―― ムグゥ!?」
さらにはお姉ちゃんまで元魔王軍四天王のダンジェロによって口を塞がれ、連れ去られてしまいました。
こんなことになっているのに、自分には何もできません。
ただ黙ってこの状況に耐えるだけ――
「おい、ラルフル。お前は僕と一緒に来い。陛下に殿下に聖女。この三人を連れてくるんだ」
「…………」
「……おい? 聞いてるのか?」
「……かしこまりました」
頑張ってほんのちょっと抵抗してみましたが、少しの間声を出さないのが精一杯です。
自分の体は勝手に動いてしまいます――
「さあ、早くついてこい。"正義"のためにも、お前らは動いてもらうぞ」
「ぐぅ……!? ラルフルにこんなことをして――」
「ミリア様……今は落ち着きましょう。どうにかして、機会を伺います」
「皆……すまぬ……!」
ミリアさんもロギウス殿下も国王陛下も、苦虫を潰したような顔をしながら、自分とレイキース様に連れていかれます。
このままではいけません。
どうにかしてこの状況を打開する必要があります。
――自分も今はただ耐えましょう。
まだこうして内側に意識が残っている以上、機会が訪れればまだ打つ手はあります――
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