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第27章 追憶の番人『殿』
第407話 お姫様だからさ!
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「ロ、ロギウス殿下! 私達はまだ諦めません!」
「しつこいね……。政略結婚目的なら、僕は鼻からお断りだ」
権力目当てにボクとロギウスの婚約を認めない令嬢は、なおも噛みついてくる。
やれやれ、醜いものだよ。
容姿はボクの好みなのに、こういう下心はいけないね。
「いい加減にしたまえ! これ以上、僕とリョウの仲の邪魔をしようものなら――」
あまりのしつこさに、ロギウスも怒り始めちゃったよ。
――なんだろう。
そんなロギウスの姿を見ている、ボクも辛くなってきた。
ロギウスはボクのためにやってくれてるんだろうけど、こんな姿は見たくないね。
ボクの心って、自分で思っていたよりも揺らぎやすいんだね。
――仕方ない。
ここはボクが出ようかな。
「ロギウス。少しボクに任せてくれないかな?」
「リョ、リョウ?」
玉座から立ち上がっていきり立つロギウスを制し、代わりにボクが前に出る。
「リョウの奴……何をするつもりだ?」
「だ、だのむ……。ごれ以上、変なごとはじないでぐれ……。オゲェエエェ……」
「いや、ホンマに変なことだけはせんといてくれや……。ジフウの兄貴の胃がなくなってまう……」
不安が顔に出ている、ゼロラ殿。
とにかく吐きまくる、ジフ兄。
そんなジフ兄を心配する、シシ兄。
三人とも流石に限界だね。特にジフ兄。
でも、大丈夫だよ。
これからボクがこの事態を終息させる。
ボクは仮にもロギウス殿下と結婚を前提とした婚約者――お姫様なんだ。
だから、今のボクの言葉にも"重み"がある。
それで令嬢諸君をどうにかすることだって、できるはずさ。
ボクの思惑通りになれば、この場の全員が"ハッピーエンド"になるはずだね!
「令嬢の諸君。君達の目的はハッキリ言って、『王家との関係を持つこと』なんだよね? 今更誤魔化さなくてもいいよ」
「な、なによ!? あなただって本当は、権力目当てで婚約を受け入れたんじゃないの!?」
「心外だね。ボクは大神官という役職には就いてるけど、流石に王家程大きな権力は身に余るかな~、って思ってる」
もう本心を隠しきれないと悟ったのか、ズケズケと物申してくる。
でも、もうそれで問題ないね。
要するにここにいる彼女達は、『王家との関係を持つこと』ができれば、万事オッケーということだ。
そのためにも、ロギウスと婚約したいわけだね。
だから、婚約者となったボクのことを認めたくない。
だけど、『王家との関係を持つこと』が目的ならば、ロギウスが相手である必要もないよね?
そして、彼女達は容姿についてはボクのストライクゾーンだ。
だから――
「いいことを思いついたよ。ボクが君達を全員、ボクの側室として迎え入れるよ!」
「……え?」
「……ええぇ!?」
令嬢達の表情が一瞬で驚き一色に変わったね。
流石はボクだ。完璧な提案だよ。
ロギウスはボク以外との婚約をしたくないだろうけど、ボクは彼女達を側室とするのはオッケーだ。
そうすれば、ここにいる令嬢は王家との関りを持てる。
ボクは可愛い令嬢を愛でることができる。
ロギウスには説明が必要だけど、これでウィンウィンの関係だね!
「な、なな……何考えてやがるんだぁああ!? あのクソボケ妹は―― ゲバァアア!!??」
「ジフウの兄貴ぃいい!? ア、アカン! 胃の中のもん吐き出し過ぎて、白目向いとる!」
「シシバ! お前の妹だろ!? 一体どういう育て方したんだ!?」
――あれ? 傍観していた三人は喜ばないのかな?
ジフ兄は今にも死にそうだし、シシ兄はゼロラ殿に何故か責任を問われてるし。
おかしいね? これで円満解決のはずなのに――
「そ、それだけはご容赦ください!」
「リョウ大神官――いえ! リョウ殿下の側室になるぐらいなら、私達は身を引きます!」
「ですから! どうか! ご容赦くださいぃい!!」
――あれ? 令嬢達もなぜか、このナイスアイデアを断ってきたよ?
おかしいね……。ボクの側室になれば、目的も果たされるのに――
「流石はリョウだ。自らの人間性を利用し、令嬢達が断ることも計算に入れた、大胆な提案……! あなたは聡明だ。やはり、僕の目に狂いはなかった!」
「え? いや? ボクはそんなつもりじゃ――」
さらにはロギウスにまで勘違いされちゃったよ。
ボクは本気だったんだけどね……。
令嬢達を側室に迎え入れれば、ボクのお姫様生活もバラ色だと思ったのに……。
「ジフウ! しっかりしろ! 気をしっかり持て! 死ぬでない!」
「へ……陛下……。すいません……。俺は……ここまでみたいです……」
「くっ……! よくぞここまで耐えてくれた! ゼロラ殿! シシバ殿! 至急、ジフウを医務室へ連れて行ってくれ! 後のことは余がなんとかする!」
「わ、分かりました! シシバ! 急ぐぞ! ジフウを死なせるな!」
「今、バクトはんも呼んでくるからな! 死ぬんやないで!」
あっちはあっちで陛下まで加わって、なんだか大変そうだね。
うーん……。どうしてこうなっちゃったのかな?
「令嬢の諸君! もういいだろう! これ以上の答弁は不要だ! お引き取り願いたい!」
「わ、分かっております! 陛下!」
「私達も、リョウ殿下の毒牙にはかかりたくありませんので!」
陛下の一声で、押し寄せてきた令嬢達も全員帰っちゃったね。
ちょっと残念。
「リョウ大神官――いや、もうリョウと呼ぼう。一応……その……助かった。ジフウは深い傷を負ってしまったが……」
その後、陛下はボクにお礼を言ってくれた。
でも、なんだかその表情は複雑だね。
陛下はボクの思惑を理解してくれたのかな?
ジフ兄はあんなことになっちゃったけど、結果オーライってことでいいよね。
「リョウ。改めて余からも頼む。ロギウスを傍で支えてやってくれ」
そしてボクへと頭を下げる。
ボクもロギウスの告白を受け入れた以上、責任もってやっていくよ。
今回のようなことがあっても、ボクがロギウスを支えるよ。
だって、ボクはもう……この国のお姫様だからね!
「しつこいね……。政略結婚目的なら、僕は鼻からお断りだ」
権力目当てにボクとロギウスの婚約を認めない令嬢は、なおも噛みついてくる。
やれやれ、醜いものだよ。
容姿はボクの好みなのに、こういう下心はいけないね。
「いい加減にしたまえ! これ以上、僕とリョウの仲の邪魔をしようものなら――」
あまりのしつこさに、ロギウスも怒り始めちゃったよ。
――なんだろう。
そんなロギウスの姿を見ている、ボクも辛くなってきた。
ロギウスはボクのためにやってくれてるんだろうけど、こんな姿は見たくないね。
ボクの心って、自分で思っていたよりも揺らぎやすいんだね。
――仕方ない。
ここはボクが出ようかな。
「ロギウス。少しボクに任せてくれないかな?」
「リョ、リョウ?」
玉座から立ち上がっていきり立つロギウスを制し、代わりにボクが前に出る。
「リョウの奴……何をするつもりだ?」
「だ、だのむ……。ごれ以上、変なごとはじないでぐれ……。オゲェエエェ……」
「いや、ホンマに変なことだけはせんといてくれや……。ジフウの兄貴の胃がなくなってまう……」
不安が顔に出ている、ゼロラ殿。
とにかく吐きまくる、ジフ兄。
そんなジフ兄を心配する、シシ兄。
三人とも流石に限界だね。特にジフ兄。
でも、大丈夫だよ。
これからボクがこの事態を終息させる。
ボクは仮にもロギウス殿下と結婚を前提とした婚約者――お姫様なんだ。
だから、今のボクの言葉にも"重み"がある。
それで令嬢諸君をどうにかすることだって、できるはずさ。
ボクの思惑通りになれば、この場の全員が"ハッピーエンド"になるはずだね!
「令嬢の諸君。君達の目的はハッキリ言って、『王家との関係を持つこと』なんだよね? 今更誤魔化さなくてもいいよ」
「な、なによ!? あなただって本当は、権力目当てで婚約を受け入れたんじゃないの!?」
「心外だね。ボクは大神官という役職には就いてるけど、流石に王家程大きな権力は身に余るかな~、って思ってる」
もう本心を隠しきれないと悟ったのか、ズケズケと物申してくる。
でも、もうそれで問題ないね。
要するにここにいる彼女達は、『王家との関係を持つこと』ができれば、万事オッケーということだ。
そのためにも、ロギウスと婚約したいわけだね。
だから、婚約者となったボクのことを認めたくない。
だけど、『王家との関係を持つこと』が目的ならば、ロギウスが相手である必要もないよね?
そして、彼女達は容姿についてはボクのストライクゾーンだ。
だから――
「いいことを思いついたよ。ボクが君達を全員、ボクの側室として迎え入れるよ!」
「……え?」
「……ええぇ!?」
令嬢達の表情が一瞬で驚き一色に変わったね。
流石はボクだ。完璧な提案だよ。
ロギウスはボク以外との婚約をしたくないだろうけど、ボクは彼女達を側室とするのはオッケーだ。
そうすれば、ここにいる令嬢は王家との関りを持てる。
ボクは可愛い令嬢を愛でることができる。
ロギウスには説明が必要だけど、これでウィンウィンの関係だね!
「な、なな……何考えてやがるんだぁああ!? あのクソボケ妹は―― ゲバァアア!!??」
「ジフウの兄貴ぃいい!? ア、アカン! 胃の中のもん吐き出し過ぎて、白目向いとる!」
「シシバ! お前の妹だろ!? 一体どういう育て方したんだ!?」
――あれ? 傍観していた三人は喜ばないのかな?
ジフ兄は今にも死にそうだし、シシ兄はゼロラ殿に何故か責任を問われてるし。
おかしいね? これで円満解決のはずなのに――
「そ、それだけはご容赦ください!」
「リョウ大神官――いえ! リョウ殿下の側室になるぐらいなら、私達は身を引きます!」
「ですから! どうか! ご容赦くださいぃい!!」
――あれ? 令嬢達もなぜか、このナイスアイデアを断ってきたよ?
おかしいね……。ボクの側室になれば、目的も果たされるのに――
「流石はリョウだ。自らの人間性を利用し、令嬢達が断ることも計算に入れた、大胆な提案……! あなたは聡明だ。やはり、僕の目に狂いはなかった!」
「え? いや? ボクはそんなつもりじゃ――」
さらにはロギウスにまで勘違いされちゃったよ。
ボクは本気だったんだけどね……。
令嬢達を側室に迎え入れれば、ボクのお姫様生活もバラ色だと思ったのに……。
「ジフウ! しっかりしろ! 気をしっかり持て! 死ぬでない!」
「へ……陛下……。すいません……。俺は……ここまでみたいです……」
「くっ……! よくぞここまで耐えてくれた! ゼロラ殿! シシバ殿! 至急、ジフウを医務室へ連れて行ってくれ! 後のことは余がなんとかする!」
「わ、分かりました! シシバ! 急ぐぞ! ジフウを死なせるな!」
「今、バクトはんも呼んでくるからな! 死ぬんやないで!」
あっちはあっちで陛下まで加わって、なんだか大変そうだね。
うーん……。どうしてこうなっちゃったのかな?
「令嬢の諸君! もういいだろう! これ以上の答弁は不要だ! お引き取り願いたい!」
「わ、分かっております! 陛下!」
「私達も、リョウ殿下の毒牙にはかかりたくありませんので!」
陛下の一声で、押し寄せてきた令嬢達も全員帰っちゃったね。
ちょっと残念。
「リョウ大神官――いや、もうリョウと呼ぼう。一応……その……助かった。ジフウは深い傷を負ってしまったが……」
その後、陛下はボクにお礼を言ってくれた。
でも、なんだかその表情は複雑だね。
陛下はボクの思惑を理解してくれたのかな?
ジフ兄はあんなことになっちゃったけど、結果オーライってことでいいよね。
「リョウ。改めて余からも頼む。ロギウスを傍で支えてやってくれ」
そしてボクへと頭を下げる。
ボクもロギウスの告白を受け入れた以上、責任もってやっていくよ。
今回のようなことがあっても、ボクがロギウスを支えるよ。
だって、ボクはもう……この国のお姫様だからね!
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