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第24章 常なる陰が夢見た未来
第352話 紅の正体
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「こ、この人が魔王軍四天王の一人!? 自分を助けてくれたこともある、この人が!?」
"紅の賢者"の正体にラルフルも驚いている。
かつて俺に行く道をほのめかし、ラルフルの命を救い、俺に<灰色のオーラ>を発現させ、サイバラやギャングレオ盗賊団を陥れた張本人――
それが今俺達の目の前にいる男。"紅の賢者"こと――元魔王軍四天王最後の一人。
【欲望の劫火】――ダンジェロ!
「魔王軍の四天王だって……!? でも、ボクが聞いた伝承だと、【伝説の魔王】と一緒に死んだはず――」
「伝承というものにだって、間違いはあり得るものだ。諸君らの間で言い伝えられてきた、【慈愛の勇者】ユメ様の結末と同じように……な!」
リョウの疑問にも介さず、ダンジェロは右手に宝玉のついた杖を持ちながら、俺の方へと歩み寄ってくる。
魔王軍四天王に関する伝承を信じている者からすれば、こうやってダンジェロが生きていることは不可解な話だ。
だが、俺は不思議と"こいつは生きていても不思議じゃない"と、考えている――
「ようこそ、ゼロラ殿。魔王城の"四天・劫火の間"へ! 卿がここに来るのを、小生は待ちわびていたのだよ……!」
「お前はこんなところで何をして――いや、もうそれを聞くのも野暮かもしれないな」
この男がここにいる目的――
それは深く考える話でもないのだろう。。
このダンジェロという男が考えていることはただ一つ――
『己の欲望を満たす、稀有で面白い出来事との出会い』だけだ。
こいつがそれを行動理念としていることはよく分かっている。
「ハッハッハッ。どうやら卿は"もうひとかけら"というところまで、失った記憶の破片を集めて来たようだな」
「ああ、その通りだ。俺がずっと探し求めてきた過去――その答えがこの先にある」
俺の言葉を聞き、ダンジェロは満足したように話を始めた。
「よかろう……! だが、小生は卿に用があるのだよ。今この場において、卿がどれほど"小生のことも思い出したのか"を、その力を持って確認したい……!」
どうやら、ダンジェロはただではここを通さないらしい。
ダンジェロが両手を広げると辺りの炎の壁は激しさを増し、俺と他の仲間達は完全に分断されてしまった。
――相変わらずの炎の扱いだ。
【欲望の劫火】の二つ名に、嘘偽りも、衰えもなしか――
「ゼロラさん!?」
「安心してくれ。俺もこいつとは、一度きっちり勝負をつけたいと思っていたところだ」
マカロンが俺のことを心配するが、これは俺にとっても都合がいい。
"紅の賢者"の正体が元魔王軍四天王のダンジェロだと分かった今、こいつと戦うことでさらに俺の記憶は明瞭となるだろう。
何よりもダンジェロは今、『俺の記憶が戻る出来事』を楽しみにしているのだろう。
そのために、わざわざここまで出張ってきた。
――そこまでして状況を動かすことを楽しむのが、ダンジェロという男だ。
「気を付けろ! ゼロラ! そいつの実力は尋常じゃない! 見たことのない魔法まで使うぞ!」
「分かってる、ジフウ」
ジフウも警告してくれる。
ジフウはダンジェロと一度戦ったことがあるため、その実力は良く知っているのだろう。
だがおそらく、俺の方がダンジェロの実力をよく知っている――
「ゼロラ殿。準備はよろしいかな?」
「ああ、いつでもいいぜ」
俺はダンジェロに対して構えをとる――
かつての俺ならば、ダンジェロにも余裕で勝てただろう。
だが、今の俺に魔力はない。
あるのはこの身に染みついて残っていた、武術のみ――
それでも俺はこの男と戦って、さらなる記憶の破片を集めるとしよう。
俺が"【零の修羅】ゼロラ"となる前のことを最も知っているこいつからなら、俺も自信をもって"本当の自分"を取り戻せそうだ。
「ハッハッハッ! では、来るがいい! 元魔王軍四天王! 【欲望の劫火】ダンジェロ! 今は亡き【伝説の魔王】ジョウイン公の名のもとに、卿には――我が熱を贈ろう!」
"紅の賢者"の正体にラルフルも驚いている。
かつて俺に行く道をほのめかし、ラルフルの命を救い、俺に<灰色のオーラ>を発現させ、サイバラやギャングレオ盗賊団を陥れた張本人――
それが今俺達の目の前にいる男。"紅の賢者"こと――元魔王軍四天王最後の一人。
【欲望の劫火】――ダンジェロ!
「魔王軍の四天王だって……!? でも、ボクが聞いた伝承だと、【伝説の魔王】と一緒に死んだはず――」
「伝承というものにだって、間違いはあり得るものだ。諸君らの間で言い伝えられてきた、【慈愛の勇者】ユメ様の結末と同じように……な!」
リョウの疑問にも介さず、ダンジェロは右手に宝玉のついた杖を持ちながら、俺の方へと歩み寄ってくる。
魔王軍四天王に関する伝承を信じている者からすれば、こうやってダンジェロが生きていることは不可解な話だ。
だが、俺は不思議と"こいつは生きていても不思議じゃない"と、考えている――
「ようこそ、ゼロラ殿。魔王城の"四天・劫火の間"へ! 卿がここに来るのを、小生は待ちわびていたのだよ……!」
「お前はこんなところで何をして――いや、もうそれを聞くのも野暮かもしれないな」
この男がここにいる目的――
それは深く考える話でもないのだろう。。
このダンジェロという男が考えていることはただ一つ――
『己の欲望を満たす、稀有で面白い出来事との出会い』だけだ。
こいつがそれを行動理念としていることはよく分かっている。
「ハッハッハッ。どうやら卿は"もうひとかけら"というところまで、失った記憶の破片を集めて来たようだな」
「ああ、その通りだ。俺がずっと探し求めてきた過去――その答えがこの先にある」
俺の言葉を聞き、ダンジェロは満足したように話を始めた。
「よかろう……! だが、小生は卿に用があるのだよ。今この場において、卿がどれほど"小生のことも思い出したのか"を、その力を持って確認したい……!」
どうやら、ダンジェロはただではここを通さないらしい。
ダンジェロが両手を広げると辺りの炎の壁は激しさを増し、俺と他の仲間達は完全に分断されてしまった。
――相変わらずの炎の扱いだ。
【欲望の劫火】の二つ名に、嘘偽りも、衰えもなしか――
「ゼロラさん!?」
「安心してくれ。俺もこいつとは、一度きっちり勝負をつけたいと思っていたところだ」
マカロンが俺のことを心配するが、これは俺にとっても都合がいい。
"紅の賢者"の正体が元魔王軍四天王のダンジェロだと分かった今、こいつと戦うことでさらに俺の記憶は明瞭となるだろう。
何よりもダンジェロは今、『俺の記憶が戻る出来事』を楽しみにしているのだろう。
そのために、わざわざここまで出張ってきた。
――そこまでして状況を動かすことを楽しむのが、ダンジェロという男だ。
「気を付けろ! ゼロラ! そいつの実力は尋常じゃない! 見たことのない魔法まで使うぞ!」
「分かってる、ジフウ」
ジフウも警告してくれる。
ジフウはダンジェロと一度戦ったことがあるため、その実力は良く知っているのだろう。
だがおそらく、俺の方がダンジェロの実力をよく知っている――
「ゼロラ殿。準備はよろしいかな?」
「ああ、いつでもいいぜ」
俺はダンジェロに対して構えをとる――
かつての俺ならば、ダンジェロにも余裕で勝てただろう。
だが、今の俺に魔力はない。
あるのはこの身に染みついて残っていた、武術のみ――
それでも俺はこの男と戦って、さらなる記憶の破片を集めるとしよう。
俺が"【零の修羅】ゼロラ"となる前のことを最も知っているこいつからなら、俺も自信をもって"本当の自分"を取り戻せそうだ。
「ハッハッハッ! では、来るがいい! 元魔王軍四天王! 【欲望の劫火】ダンジェロ! 今は亡き【伝説の魔王】ジョウイン公の名のもとに、卿には――我が熱を贈ろう!」
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