297 / 476
第21章 開戦前日
第297話 挑戦・ギャングレオ盗賊団頭領
しおりを挟む
「行くでぇ!」
シシバさんは掛け声と共にこちらに向かってきました。
圧倒的なスピードを活かした突進――
「くうぅ!?」
――そこから繰り出された拳を自分はなんとかガードします。
「まだ甘いな」
「え!?」
シシバさんはガードされた拳をひるがえしてさらに連撃を入れてきました!
速い!? その後も一度の攻撃で何度も手数を稼いできます!
「ま、まだです!」
「キシシ! 反応は悪ないな~!」
さらにはラッシュの途中で動きをキャンセルして、こちらの背後や側面に回り込んできます!
自分は守ってばかりで攻められません!
「ハァ、ハァ! な、なんですかその動きは……!?」
「<ジークンドー>っちゅうスタイルらしいわ。俺の我流が多分に入っとるが、これが俺の本来のスタイルや」
<ジークンドー>――
動き自体はかなり直線的ですが、最短の距離を最速で何度も狙い撃つスタイル……!
シシバさん最大の武器であるスピードをこれでもかと活かし、こちらに攻撃の機会など与えずに攻め立ててきます。
一度の動きで二発以上の攻撃……!
これが【隻眼の凶鬼】となる前のシシバさんの姿……!
「本当に速いですね……。自分でも動きを追うのが難しいです……」
「ほーう……? "全く追えない"ってわけやないんやな?」
シシバさんの言う通りです。
確かにシシバさんの動きを目で追うのは苦労しますが、追えないわけではありません。
――王宮を脱出する時に見たシシバさんの動きよりも、捉えることができます!
「そこです!」
「んがぎぃ!?」
自分が背後に振り向きながら放った裏拳――
それはシシバさんの頬に直撃しました。
「あったた~……! や、やっぱ間合いが掴めへんと辛いな~……」
「シシバのカシラ。手合わせッスからね。そこのところ、カシラ自身もお気を付けを」
こちらの裏拳を受けて痛がるシシバさんを見て、近くで見物していたサイバラさんが口を挟みます。
シシバさんが"打たれ弱い"ことは聞いていましたが、自分が思うに"隻眼である"ことも理由に含まれていそうです。
シシバさんは"隻眼"故に"距離感がうまく掴めない"そうですが、そのせいで"必要以上に相手の攻撃のダメージも受ける"ようです。
本来ならある程度身構えられる攻撃でも、シシバさんにとっては"全てが不意打ち"になってしまうようです。
「シシバさん。自分もあまり無理はしない方がいいと思いま――」
「キシシシ! 気にすんなや。もうちーっとだけ、俺に付き合ってもらうでぇ?」
シシバさんはこちらの話も聞かずに、再度戦いの構えをとります。
シシバさんは相変わらず<ジークンドー>による攻撃と、ラッシュをステップでキャンセルしながらの変則的な戦い方を組み合わせてきます。
ですが、自分も負けてはいません!
なんとかシシバさんの動きに食らいついて、攻撃を捌きながら反撃も交えます!
「……ラルフルもいい線きてるッスね。ですが、シシバのカシラの方が上みたいッス」
「ハァ……! ハァ……!」
見物しているサイバラさんが再度口を挟んできました。
サイバラさんが言う通り、いくらハンデを背負っていようと、シシバさんの圧倒的なスピードの方が自分を上回っています。
シシバさんも動きに慣れてきたのか、ガードの質も上がって来ています。
「まあ、こんなもんかいの。そろそろ次の攻防で終わりしよか」
シシバさんはその場で軽くステップを踏みながら、最後の攻撃を仕掛けてきました!
このままでは自分の負け――ですが、このまま終わりません!
「ハァアア!」
「んな!? キャッチやと!?」
自分はシシバさんのキックを腕でキャッチします!
いくらシシバさんのガードの質が上がっていようと、掴んでしまえばこっちのものです!
――そして、この状態からシシバさんに一撃加える技もあります!
「テヤァアア!!」
「うおぉ!?」
「!? あ、あれはオレが使った……!?」
シシバさんの足を掴んだまま、その体を地面へと叩きつけます!
以前自分がサイバラさんに使われた、力任せの投げ技です!
ドガンッ! ズガンッ!
一度――二度――
今の自分にはそれが精一杯でしたが――
「な、なんちゅうこっちゃ……。こんなちっこい体のどこにこないな力が……!?」
――シシバさんには十分なダメージを与えられたようです。
「……自分が一本取った。ということでよろしいでしょうか?」
「あ、ああ……。驚いたわ……。なんちゅう力技や……」
シシバさんはまだ戦えそうでしたが、これはそもそも手合わせです。
潔く負けを認めて、自分との戦いを終えました。
「ホンマ強うなっとるな……。これなら明日の戦いでも期待できそうやわ」
シシバさんは自分の健闘を称えてくれました。
ハンデ有の手合わせだったとはいえ、シシバさんに勝てたことは大きな自信になりました。
――自分は着実に強くなっています。
その自信を胸に、明日は皆さんと一緒に戦い抜く決心がつきました。
シシバさんは掛け声と共にこちらに向かってきました。
圧倒的なスピードを活かした突進――
「くうぅ!?」
――そこから繰り出された拳を自分はなんとかガードします。
「まだ甘いな」
「え!?」
シシバさんはガードされた拳をひるがえしてさらに連撃を入れてきました!
速い!? その後も一度の攻撃で何度も手数を稼いできます!
「ま、まだです!」
「キシシ! 反応は悪ないな~!」
さらにはラッシュの途中で動きをキャンセルして、こちらの背後や側面に回り込んできます!
自分は守ってばかりで攻められません!
「ハァ、ハァ! な、なんですかその動きは……!?」
「<ジークンドー>っちゅうスタイルらしいわ。俺の我流が多分に入っとるが、これが俺の本来のスタイルや」
<ジークンドー>――
動き自体はかなり直線的ですが、最短の距離を最速で何度も狙い撃つスタイル……!
シシバさん最大の武器であるスピードをこれでもかと活かし、こちらに攻撃の機会など与えずに攻め立ててきます。
一度の動きで二発以上の攻撃……!
これが【隻眼の凶鬼】となる前のシシバさんの姿……!
「本当に速いですね……。自分でも動きを追うのが難しいです……」
「ほーう……? "全く追えない"ってわけやないんやな?」
シシバさんの言う通りです。
確かにシシバさんの動きを目で追うのは苦労しますが、追えないわけではありません。
――王宮を脱出する時に見たシシバさんの動きよりも、捉えることができます!
「そこです!」
「んがぎぃ!?」
自分が背後に振り向きながら放った裏拳――
それはシシバさんの頬に直撃しました。
「あったた~……! や、やっぱ間合いが掴めへんと辛いな~……」
「シシバのカシラ。手合わせッスからね。そこのところ、カシラ自身もお気を付けを」
こちらの裏拳を受けて痛がるシシバさんを見て、近くで見物していたサイバラさんが口を挟みます。
シシバさんが"打たれ弱い"ことは聞いていましたが、自分が思うに"隻眼である"ことも理由に含まれていそうです。
シシバさんは"隻眼"故に"距離感がうまく掴めない"そうですが、そのせいで"必要以上に相手の攻撃のダメージも受ける"ようです。
本来ならある程度身構えられる攻撃でも、シシバさんにとっては"全てが不意打ち"になってしまうようです。
「シシバさん。自分もあまり無理はしない方がいいと思いま――」
「キシシシ! 気にすんなや。もうちーっとだけ、俺に付き合ってもらうでぇ?」
シシバさんはこちらの話も聞かずに、再度戦いの構えをとります。
シシバさんは相変わらず<ジークンドー>による攻撃と、ラッシュをステップでキャンセルしながらの変則的な戦い方を組み合わせてきます。
ですが、自分も負けてはいません!
なんとかシシバさんの動きに食らいついて、攻撃を捌きながら反撃も交えます!
「……ラルフルもいい線きてるッスね。ですが、シシバのカシラの方が上みたいッス」
「ハァ……! ハァ……!」
見物しているサイバラさんが再度口を挟んできました。
サイバラさんが言う通り、いくらハンデを背負っていようと、シシバさんの圧倒的なスピードの方が自分を上回っています。
シシバさんも動きに慣れてきたのか、ガードの質も上がって来ています。
「まあ、こんなもんかいの。そろそろ次の攻防で終わりしよか」
シシバさんはその場で軽くステップを踏みながら、最後の攻撃を仕掛けてきました!
このままでは自分の負け――ですが、このまま終わりません!
「ハァアア!」
「んな!? キャッチやと!?」
自分はシシバさんのキックを腕でキャッチします!
いくらシシバさんのガードの質が上がっていようと、掴んでしまえばこっちのものです!
――そして、この状態からシシバさんに一撃加える技もあります!
「テヤァアア!!」
「うおぉ!?」
「!? あ、あれはオレが使った……!?」
シシバさんの足を掴んだまま、その体を地面へと叩きつけます!
以前自分がサイバラさんに使われた、力任せの投げ技です!
ドガンッ! ズガンッ!
一度――二度――
今の自分にはそれが精一杯でしたが――
「な、なんちゅうこっちゃ……。こんなちっこい体のどこにこないな力が……!?」
――シシバさんには十分なダメージを与えられたようです。
「……自分が一本取った。ということでよろしいでしょうか?」
「あ、ああ……。驚いたわ……。なんちゅう力技や……」
シシバさんはまだ戦えそうでしたが、これはそもそも手合わせです。
潔く負けを認めて、自分との戦いを終えました。
「ホンマ強うなっとるな……。これなら明日の戦いでも期待できそうやわ」
シシバさんは自分の健闘を称えてくれました。
ハンデ有の手合わせだったとはいえ、シシバさんに勝てたことは大きな自信になりました。
――自分は着実に強くなっています。
その自信を胸に、明日は皆さんと一緒に戦い抜く決心がつきました。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
討妖の執剣者 ~魔王宿せし鉐眼叛徒~ (とうようのディーナケアルト)
LucifeR
ファンタジー
その日、俺は有限(いのち)を失った――――
どうも、ラーメンと兵器とHR/HM音楽のマニア、顔出しニコ生放送したり、ギャルゲーサークル“ConquistadoR(コンキスタドール)”を立ち上げたり、俳優やったり色々と活動中(有村架純さん/東山紀之さん主演・TBS主催の舞台“ジャンヌダルク”出演)の中学11年生・LucifeRです!
本作は“小説カキコ”様で、私が発表していた長編(小説大会2014 シリアス・ダーク部門4位入賞作)を加筆修正、挿絵を付けての転載です。
作者本人による重複投稿になります。
挿絵:白狼識さん
表紙:ラプターちゃん
† † † † † † †
文明の発達した現代社会ではあるが、解明できない事件は今なお多い。それもそのはず、これらを引き起こす存在は、ほとんどの人間には認識できないのだ。彼ら怪魔(マレフィクス)は、古より人知れず災いを生み出してきた。
時は2026年。これは、社会の暗部(かげ)で闇の捕食者を討つ、妖屠たちの物語である。
† † † † † † †
タイトル・・・主人公がデスペルタルという刀の使い手なので。
サブタイトルは彼の片目が魔王と契約したことにより鉐色となって、眼帯で封印していることから「隻眼」もかけたダブルミーニングです。
悪魔、天使などの設定はミルトンの“失楽園”をはじめ、コラン・ド・プランシーの“地獄の事典”など、キリス〇ト教がらみの文献を参考にしました。「違う学説だと云々」等、あるとは思いますが、フィクションを元にしたフィクションと受け取っていただければ幸いです。
天使、悪魔に興味のある方、厨二全開の詠唱が好きな方は、良かったら読んでみてください!
http://com.nicovideo.jp/community/co2677397
https://twitter.com/satanrising
ご感想、アドバイス等お待ちしています!
Fate/grand orderのフレンド申請もお待ちしていますw
※)アイコン写真はたまに変わりますが、いずれも本人です。
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
学年一の不良が図書館で勉強してた。
山法師
恋愛
春休み。4月になったら高校2年になる成川光海(なりかわみつみ)は、2年の予習をしようと、図書館に来た。そしてそこで、あり得ないものを見る。
同じクラスの不良、橋本涼(はしもとりょう)が、その図書館で、その学習席で、勉強をしていたのだ。
「勉強、教えてくんねぇ?」
橋本に頼まれ、光海は渋々、橋本の勉強を見ることに。
何が、なんで、どうしてこうなった。
光海がそう思う、この出会いが。入学して、1年経っての初の関わりが。
光海の人生に多大な影響を及ぼすとは、当の本人も、橋本も、まだ知らない。
◇◇◇◇◇◇◇◇
なるべく調べて書いていますが、設定に緩い部分が少なからずあります。ご承知の上、温かい目でお読みくださると、有り難いです。
◇◇◇◇◇◇◇◇
他サイトでも掲載しています。
呪われ姫の絶唱
朝露ココア
ファンタジー
――呪われ姫には近づくな。
伯爵令嬢のエレオノーラは、他人を恐怖させてしまう呪いを持っている。
『呪われ姫』と呼ばれて恐れられる彼女は、屋敷の離れでひっそりと人目につかないように暮らしていた。
ある日、エレオノーラのもとに一人の客人が訪れる。
なぜか呪いが効かない公爵令息と出会い、エレオノーラは呪いを抑える方法を発見。
そして彼に導かれ、屋敷の外へ飛び出す。
自らの呪いを解明するため、エレオノーラは貴族が通う学園へと入学するのだった。
父と母は転生者!そして私は悪役令嬢・・らしいです?
naturalsoft
ファンタジー
皆様初めまして。
私はミスレイン公爵家の長女、シオン・ミスレインです。兄妹に1つ上のお兄様がいます。私はごく平凡な貴族の御令嬢で、少し魔法が使える程度の者ですが、私のお父様とお母様がとても素晴らしい方で私の自慢の両親なのです。
【私の婚約破棄】などと言う状況よりも、皆様に私の敬愛する両親のお話しをしましょう!大好きなお父様、お母様の話しを聞いて下さい!
そして、敬愛する両親を罵倒した愚か者の末路をお楽しみ下さいませ。フフフ・・・
【不定期更新】です。他の小説の合間に読んで貰えると嬉しいです。
(愚者の声で作中に参加してます)
同作品
『悪役令嬢戦記!大切な人のために戦います』
と、コラボしています。同じ世界観で絡んできます。
素人の執筆で至らない所が多々あるかと思いますが生暖かい目で読んで頂けたらと思います。
5/3:HOTランキング23位ありがとうございます!
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる