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第19章 光と闇の交差点
第258話 対決・魔幻塔大神官①
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「さア! <ナイトメアハザード>ヨ! あの三人もボクの世界へと誘うんダ!!」
リョウは宙に浮きながら俺達を指さし、自身の周りを回っている七つの黒い魔力の塊をこちらへ飛ばしてきた!
「あれはヤバいで! これまでの闇が凝縮されたようなもんや!」
「マカロン! 頼む!」
「はい!!」
俺の合図を聞いてマカロンが光のバリアを展開する!
俺達三人を覆い隠すバリアだ。リョウの闇の弾丸も通さない!
「クフフフ! マカロンはボクが教えた魔法をちゃんと使えるようになったんだね。嬉しいよ! ――でモ……邪魔しないでくれるかナァアア!!」
リョウは自らの攻撃が通らないのを確認すると、一度七つの魔力の塊を自身の周囲へと戻す。
それにしても、今一瞬だったが――
「一瞬やったが……リョウの奴、元に戻りおったな」
リョウの兄であるシシバも気づいていたようだ。
リョウはマカロンの光魔法を見て本当に一瞬だったが、普段の姿を取り戻していた。
自らがマカロンに教えた光魔法を心から喜んで――
リョウはまだ自らの心の内で、この元凶となった<ナイトメアハザード>という闇と戦っている。
何か切っ掛けさえあれば、元に戻せるはず――
「……シシバ。リョウの兄のお前なら、あいつの魔力の根源を叩く方法も分かるんじゃないか?」
これらの闇はジャコウによってリョウの魔力を源に発動されたものと思われる。
リョウ自身の魔力の源を絶つことができれば止めることができるかもしれないと思い、俺はシシバに尋ねた。
「……方法は一つだけある。リョウは魔力を全開にして戦う時、七つの魔力の塊をいつも周囲に展開させとる。あれはあいつが魔法を使うための最大の媒体であるんと同時に、あいつ自身の魔力の核でもあるんや。あれを叩き潰すことさえできれば――」
シシバが言う『七つの魔力の塊』――
それは【七色魔力の響音】の二つ名を持つ、リョウの象徴とも言うべき七色の魔力。
今は七つ全てが黒一色となっているが、あれらが魔力の核となっていることに変わりはないだろう。
「あの七つの魔力を全部潰せば、リョウを元に戻せそうか?」
「……そこまでの保証はできひん。せやけど、今のリョウを止めることはできるやろ」
シシバも妹が相手だからか慎重になっているところはあるが、それでもリョウを止めようという気持ちは伝わってくる。
「……とにかくやってみよう。マカロン! 俺とシシバの二人に例の光魔法を纏わせることはできるか!?」
「や、やってみせます――いえ! やります!!」
マカロンも二人同時に魔法をかけるのは初めての挑戦なのだろうが、リョウを助けるためにも精一杯気力を振り絞って俺とシシバに光魔法をかける!
キィイイン――
俺とシシバの体がマカロンの光魔法で作られた波動に包まれる。
「ほーう! 話を聞いとる限り、これがリョウの教えとった光魔法っちゅうやつやな!」
「これでリョウの魔力の塊にも対抗できるはずだ!」
「お……お願いします……! リョウさんを……助けて――」
無茶をした反動か、マカロンはその場に座り込んでしまう。
マズい……! これではリョウの攻撃からマカロンを守る術が――
「流石だよ、マカロン! ボクが教えた通りに光魔法を使ってくれて! その力があれば、ボクの魔力の塊を叩くことができる! ボクはマカロンには攻撃しない。――まずは二人から相手してあげるヨ! シシ兄ィイ!! ゼロラ殿ォオ!!」
再び一時的にだがリョウが元の姿に戻った。
『マカロンには攻撃しない』――
それは紛れもなくリョウの本心だ。
今は信じるしかない。リョウの本心がリョウ自身を食い止めてくれることを――
「行くぞ、シシバ! リョウの魔力の塊を――七つ全部叩き潰す!」
「任せろや! リョウ! 文句は後で聞いたるから、ちーっと痛い目見てもらうで!」
俺とシシバはリョウへと飛び掛かった。
狙うはリョウの魔力の核となっている、七つの黒い塊……!
「そうだよ! 早くこのボクの魔力の塊を叩き潰してくれ! ――そんなことガ……できるものならネェエエ!!!」
リョウは宙に浮きながら俺達を指さし、自身の周りを回っている七つの黒い魔力の塊をこちらへ飛ばしてきた!
「あれはヤバいで! これまでの闇が凝縮されたようなもんや!」
「マカロン! 頼む!」
「はい!!」
俺の合図を聞いてマカロンが光のバリアを展開する!
俺達三人を覆い隠すバリアだ。リョウの闇の弾丸も通さない!
「クフフフ! マカロンはボクが教えた魔法をちゃんと使えるようになったんだね。嬉しいよ! ――でモ……邪魔しないでくれるかナァアア!!」
リョウは自らの攻撃が通らないのを確認すると、一度七つの魔力の塊を自身の周囲へと戻す。
それにしても、今一瞬だったが――
「一瞬やったが……リョウの奴、元に戻りおったな」
リョウの兄であるシシバも気づいていたようだ。
リョウはマカロンの光魔法を見て本当に一瞬だったが、普段の姿を取り戻していた。
自らがマカロンに教えた光魔法を心から喜んで――
リョウはまだ自らの心の内で、この元凶となった<ナイトメアハザード>という闇と戦っている。
何か切っ掛けさえあれば、元に戻せるはず――
「……シシバ。リョウの兄のお前なら、あいつの魔力の根源を叩く方法も分かるんじゃないか?」
これらの闇はジャコウによってリョウの魔力を源に発動されたものと思われる。
リョウ自身の魔力の源を絶つことができれば止めることができるかもしれないと思い、俺はシシバに尋ねた。
「……方法は一つだけある。リョウは魔力を全開にして戦う時、七つの魔力の塊をいつも周囲に展開させとる。あれはあいつが魔法を使うための最大の媒体であるんと同時に、あいつ自身の魔力の核でもあるんや。あれを叩き潰すことさえできれば――」
シシバが言う『七つの魔力の塊』――
それは【七色魔力の響音】の二つ名を持つ、リョウの象徴とも言うべき七色の魔力。
今は七つ全てが黒一色となっているが、あれらが魔力の核となっていることに変わりはないだろう。
「あの七つの魔力を全部潰せば、リョウを元に戻せそうか?」
「……そこまでの保証はできひん。せやけど、今のリョウを止めることはできるやろ」
シシバも妹が相手だからか慎重になっているところはあるが、それでもリョウを止めようという気持ちは伝わってくる。
「……とにかくやってみよう。マカロン! 俺とシシバの二人に例の光魔法を纏わせることはできるか!?」
「や、やってみせます――いえ! やります!!」
マカロンも二人同時に魔法をかけるのは初めての挑戦なのだろうが、リョウを助けるためにも精一杯気力を振り絞って俺とシシバに光魔法をかける!
キィイイン――
俺とシシバの体がマカロンの光魔法で作られた波動に包まれる。
「ほーう! 話を聞いとる限り、これがリョウの教えとった光魔法っちゅうやつやな!」
「これでリョウの魔力の塊にも対抗できるはずだ!」
「お……お願いします……! リョウさんを……助けて――」
無茶をした反動か、マカロンはその場に座り込んでしまう。
マズい……! これではリョウの攻撃からマカロンを守る術が――
「流石だよ、マカロン! ボクが教えた通りに光魔法を使ってくれて! その力があれば、ボクの魔力の塊を叩くことができる! ボクはマカロンには攻撃しない。――まずは二人から相手してあげるヨ! シシ兄ィイ!! ゼロラ殿ォオ!!」
再び一時的にだがリョウが元の姿に戻った。
『マカロンには攻撃しない』――
それは紛れもなくリョウの本心だ。
今は信じるしかない。リョウの本心がリョウ自身を食い止めてくれることを――
「行くぞ、シシバ! リョウの魔力の塊を――七つ全部叩き潰す!」
「任せろや! リョウ! 文句は後で聞いたるから、ちーっと痛い目見てもらうで!」
俺とシシバはリョウへと飛び掛かった。
狙うはリョウの魔力の核となっている、七つの黒い塊……!
「そうだよ! 早くこのボクの魔力の塊を叩き潰してくれ! ――そんなことガ……できるものならネェエエ!!!」
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