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第16章 自分はあの日から変わりました
第220話 決別・ルクガイア王国騎士団団長①
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「オオオオオォ!!」
「ハァアアアア!!」
バルカウス様はまず右手に持った剣で斬りかかってきました。
自分もそれに対して右足での回し蹴りで対抗します。
ガキィイン!
「……拙者の剣を蹴りで止められるほどに進化していたか」
「今の自分はあの頃よりも強い自信があります」
ゼロラさんから教わった<鉄の防御>。自分も大分ものにすることができてきました。
これさえあれば剣による攻撃も怖くありません!
「ならば……次はお主の望み通りの技だ!」
ボォオオ!
バルカウス様の左手から火球が放たれました!
ですが……これも対処可能です!
「ヤァアア!!」
バシィ――!
自分に放たれた火球は、後ろにバク転しながらのキックで蹴り上げることで弾き飛ばせました。
「やはりこの程度の火球も弾けるか……!」
「元々は自分の魔法です。いくらでも対処のしようはあります」
そう、これは本来自分の魔法。自分の魔力で作られたもの。
技術などではなく、感覚でどうすればよいのかは容易く判断できます!
「魔力を奪われ、魔法使いを辞め、武闘家へと転向した……。そのことは聞いていた。だが、ここまで強くなっているとは思わなかったぞ」
バルカウス様はどこか嬉しそうな表情で語り掛けてきます。
どこか憑き物が落ちたような表情……。
やはりバルカウス様もずっと苦しんでいたのでしょう。
逆らえなかったとはいえ、自分から魔力を奪った行為。その自責の念にずっと苛まれてきたのでしょう。
でも今日、こうしてこの場所に約束通り一人で来てくれました。
自分への贖罪のために……。恨めしいはずなのに、自分はどこか嬉しくなりました。
「バルカウス様。このまま戦い続けるよう、お願いします」
「分かっている。拙者の剣とお主の魔法……。その両方で戦い続けるぞ……ラルフル!!」
バルカウス様は炎魔法による攻撃も絡めながら攻めてきてくれます。
自分の持っていた魔法を使い、自分が魔法使いだった過去を乗り越えられるように気を遣って――
ザシュゥ! ガキン! ボカァ! ゴォオ!
自分の打撃とバルカウス様の剣と魔法が何度もぶつかります。
自分は両手両足に<鉄の防御>をかけて、剣も魔法も捌きながら戦います。
――ですが、何かおかしいです。
「ゼェ……ハァ……」
「バルカウス様……。もしかして、弱くなってませんか?」
そう。バルカウス様がかつて自分と旅した時よりも弱くなっているように感じるのです。
バルカウス様は本来生粋の戦士です。
"剣豪"とも呼ばれるほどの豪快な剣技は、他の追随を許さないほどでした。
そこに自分の魔力で得た魔法が加わることで、さらに強くなったように思えたのですが……そうではないようです。
「流石に勘づかれているか……。拙者はお主から魔力を奪い、【伝説の魔王】を倒した後、剣ではなく魔法の鍛錬に集中するようにした。お主から奪った魔力を無駄にしないためにもな……」
そうか……。だからバルカウス様は剣の腕前が落ちてしまったのですね……。
そして――
「――そして、魔法の鍛錬を続けたは良いが、拙者にはそもそも"魔法を扱う才能"がなかったようだ。……いや、他者から奪った魔力で簡単に強くなれるものでもなかったか……。ハハハッ……」
自分が言いたかったことをバルカウス様は自嘲気味に言いました。
だから今のバルカウス様は剣も魔法も中途半端な状態です。おそらくその実力は……ゼロラさんよりもはるかに低いです。
今の自分でも倒せてしまいそうなほどに……。
「だが……ラルフル。拙者は今この時だけは、"魔法戦士"としてお主と戦い抜くと決めている。これは拙者の罪……許されざる罰なのだからな……」
バルカウス様は剣を地面に突き刺し、両手の平を眼前で丸めました。
「そして剣と魔法、この戦いでどちらかのみを選ぶ必要があるならば……拙者は今この場に限り、"魔法"を選ぶ! これは……お主へのせめてもの償いだ!!」
「ハァアアアア!!」
バルカウス様はまず右手に持った剣で斬りかかってきました。
自分もそれに対して右足での回し蹴りで対抗します。
ガキィイン!
「……拙者の剣を蹴りで止められるほどに進化していたか」
「今の自分はあの頃よりも強い自信があります」
ゼロラさんから教わった<鉄の防御>。自分も大分ものにすることができてきました。
これさえあれば剣による攻撃も怖くありません!
「ならば……次はお主の望み通りの技だ!」
ボォオオ!
バルカウス様の左手から火球が放たれました!
ですが……これも対処可能です!
「ヤァアア!!」
バシィ――!
自分に放たれた火球は、後ろにバク転しながらのキックで蹴り上げることで弾き飛ばせました。
「やはりこの程度の火球も弾けるか……!」
「元々は自分の魔法です。いくらでも対処のしようはあります」
そう、これは本来自分の魔法。自分の魔力で作られたもの。
技術などではなく、感覚でどうすればよいのかは容易く判断できます!
「魔力を奪われ、魔法使いを辞め、武闘家へと転向した……。そのことは聞いていた。だが、ここまで強くなっているとは思わなかったぞ」
バルカウス様はどこか嬉しそうな表情で語り掛けてきます。
どこか憑き物が落ちたような表情……。
やはりバルカウス様もずっと苦しんでいたのでしょう。
逆らえなかったとはいえ、自分から魔力を奪った行為。その自責の念にずっと苛まれてきたのでしょう。
でも今日、こうしてこの場所に約束通り一人で来てくれました。
自分への贖罪のために……。恨めしいはずなのに、自分はどこか嬉しくなりました。
「バルカウス様。このまま戦い続けるよう、お願いします」
「分かっている。拙者の剣とお主の魔法……。その両方で戦い続けるぞ……ラルフル!!」
バルカウス様は炎魔法による攻撃も絡めながら攻めてきてくれます。
自分の持っていた魔法を使い、自分が魔法使いだった過去を乗り越えられるように気を遣って――
ザシュゥ! ガキン! ボカァ! ゴォオ!
自分の打撃とバルカウス様の剣と魔法が何度もぶつかります。
自分は両手両足に<鉄の防御>をかけて、剣も魔法も捌きながら戦います。
――ですが、何かおかしいです。
「ゼェ……ハァ……」
「バルカウス様……。もしかして、弱くなってませんか?」
そう。バルカウス様がかつて自分と旅した時よりも弱くなっているように感じるのです。
バルカウス様は本来生粋の戦士です。
"剣豪"とも呼ばれるほどの豪快な剣技は、他の追随を許さないほどでした。
そこに自分の魔力で得た魔法が加わることで、さらに強くなったように思えたのですが……そうではないようです。
「流石に勘づかれているか……。拙者はお主から魔力を奪い、【伝説の魔王】を倒した後、剣ではなく魔法の鍛錬に集中するようにした。お主から奪った魔力を無駄にしないためにもな……」
そうか……。だからバルカウス様は剣の腕前が落ちてしまったのですね……。
そして――
「――そして、魔法の鍛錬を続けたは良いが、拙者にはそもそも"魔法を扱う才能"がなかったようだ。……いや、他者から奪った魔力で簡単に強くなれるものでもなかったか……。ハハハッ……」
自分が言いたかったことをバルカウス様は自嘲気味に言いました。
だから今のバルカウス様は剣も魔法も中途半端な状態です。おそらくその実力は……ゼロラさんよりもはるかに低いです。
今の自分でも倒せてしまいそうなほどに……。
「だが……ラルフル。拙者は今この時だけは、"魔法戦士"としてお主と戦い抜くと決めている。これは拙者の罪……許されざる罰なのだからな……」
バルカウス様は剣を地面に突き刺し、両手の平を眼前で丸めました。
「そして剣と魔法、この戦いでどちらかのみを選ぶ必要があるならば……拙者は今この場に限り、"魔法"を選ぶ! これは……お主へのせめてもの償いだ!!」
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