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第15章 メカトロニクス・ファイト
第206話 対決・元ルクガイア王国騎士団二番隊隊士③
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「上出来だよ! ゼロラ殿!」
左腕のガトリングガンを外されていまだにもがいているフレイムの両肩にある大砲をロギウスが――
ズバン! ズバン!
――刀で斬り落とした。
「なーんてことしやがるんだ!? "八ミンチ砲"は折角サイズも威力も調整が終わったばっかりだってのによ~!?」
想定外の事態に驚くガラス越しのフロスト。
フレイムのメイン武装が全滅したんだ。無理もない。
「フ、フレイム! さっさとその二人を引き剥がして起き上がれ!」
「フ、フオオ!」
ブオンッ! ブオンッ!
フロストの指示を受けてフレイムが残った右腕で俺とロギウスを掴んで放り投げる。
「くそぉ!? 武装だけじゃなく、やはりパワーも本物か!」
「だがこれでフレイムの攻撃手段はなくなったも同然だ!」
俺達は軽々とフレイムに投げ飛ばされたが、なんとか着地には成功する。
俺達と距離を置いたことで、フレイムもようやく立ち上がる。
「くっそ~……! く……クク、クーカカカカ~!」
そんな光景を見て突如笑い出すフロスト。
あまりに想定外の光景に気でも触れたか?
「ロギウス~、ゼロラ~。てめーらまさかこれで、『フレイムの攻撃手段を絶つことができた』、なーんて思ってるんじゃねーだろーな~?」
どうやら気が触れたわけではなく、フレイムにはまだ攻撃手段が残されているようだ。
「今のフレイムに残された攻撃手段――ま、まさか!?」
「そーだ! その『まさか』だよ~! フレイム! <キャノンブレス>発射用意!!」
<キャノンブレス>!? 聞くだけでもヤバそうな響きだ。ロギウスも相当ビビってる。
「フオオーーー……!」
フレイムの口元にあったマスク型の装甲が左右に開き、周囲の空気が吸い込まれていくのが分かる。
普通の人間でいう息を吸い込む動作といったところか。
「あ、あの攻撃だけはマズイ! ゼロラ殿! とにかくフレイムの直線上から離れるんだ!」
今までの攻撃も相当マズかったと思うが、それ以上にマズイのか!?
俺はロギウスの言う通り、急いでフレイムの直線状から離れる――
「<キャノンブレス>! 発射!!」
「オオオオォ!!」
――フロストの合図とともにフレイムの口から放たれる、圧縮されたと思われる"空気の塊"。
直撃こそは避けたものの――
―――カッ!!
ズドォオオン!!
「な!?」
「ぐぅ!?」
――着弾と同時に辺りを覆いつくす閃光、熱風、そして衝撃波。
ギャングレオ盗賊団が使っていたグレネードや、上位魔法使いの爆発魔法をも上回る圧倒的大爆発。
その衝撃は、離れていたはずの俺とロギウスまでをも吹き飛ばした。
「ロ、ロギウス……。無事か……?」
「な、なんとかね……。まさかたった二人の人間相手に<キャノンブレス>まで使ってくるとは思わなかった……」
俺もロギウスも衝撃だけでダメージを受け、一度倒れこんでしまった。
<キャノンブレス>を放ったフレイム本人は、発射地点よりも後ろに下がっている。
あれだけの威力の攻撃だ。フレイム自身も発射時の衝撃を緩和するために、あらかじめ後ろに下がるように設定していたのだろう。
「ク、ク、ク、クーカカカカカ~! どーだ!? この素晴らしい威力は!? これこそがフレイムを【王国最強】たらしめる真骨頂! 最大の切り札! 吸い込んだ空気を体内で高温高圧に圧縮し、一気に放出する"大砲の吐息"! <キャノンブレス>!! 発射の際の衝撃でフレイムの肉体でも後逸してしまうが、宙に浮かせる"ホバリング"があるから緩和可能! その気になれば王都さえも破壊可能な、空気弾頭よ! クーカカカカ!!」
「こんなもの作るから、王国一級の危険人物だなんて呼ばれるんだよ……」
ロギウスの言うことが完全に理解できた。
このフロストという男の科学力は、その気になればこの国に大戦争を仕掛けることができる。
さらには王都を壊滅させることもできそうだ……。
「フレイム! <キャノンブレス>、次弾発射用意!」
「フオオーー……!」
フレイムが再び息を大きく吸い込み始める。
「とにかくあのまま攻撃させるのはマズイ!」
「<キャノンブレス>はあくまでフレイム自身の"息"による攻撃だ! 無理矢理口を塞いで空気を体内に逆流させてやろう!」
ロギウスの言う通り吸い込んだ空気の逃げ道がなくなれば、フレイムの体内に直接ダメージを与えることもできそうだ!
俺とロギウスは大急ぎでフレイムの口部分の装甲を閉じさせようとする――
「バーカ。"切り札"ってのは、当然の対策も用意してあるから、"切り札"って言うんだぜ~?」
――そんな俺達に対して放たれる、フロストの余裕の声。
「フレイム! <キャノンブレス>発射中断! 全身の空気排出口を開き、<オーバースチーム>に切り替えろ!」
「オゥン!」
フロストの指示を受けたフレイムは、自ら口部分の装甲を閉じ、代わりに全身にある装甲の一部を開いた。
そこから息を飲み込むように体を丸めた後――
プオーーーーン!!
「これは!? 蒸気!?」
「あ、熱い!? 体の自由が……!?」
突っ込んでいった俺達へ、フレイムの全身から放たれる大量の蒸気。
衝撃によるダメージはないが、その蒸気のあまりの熱さに俺もロギウスも体が痺れて動きを奪われる。
「<キャノンブレス>のチャージ中の隙は計算済みよ~! だからこそ用意した、吸い込んだ息を砲撃ではなく、自らの周囲を守る高温の蒸気へと変換する<オーバースチーム>! "切り札"の弱点をカバーしてこその"切り札"なんだぜ~?」
自らの技術を自慢するようにガラス越しから部屋中に声を響かせるフロスト。
俺達の体は<オーバースチーム>の熱による痺れが抜けきっていない。
何とかこれまでは対抗できていたが、こんな完全無欠の怪物……どうやって倒せというんだ……!?
「さーて、遊びは終いにしよーか! フレイム! <キャノンブレス>再度発射用意! 連中が動けない間に……止めを刺しちまいな~! クーカカカカ~!」
左腕のガトリングガンを外されていまだにもがいているフレイムの両肩にある大砲をロギウスが――
ズバン! ズバン!
――刀で斬り落とした。
「なーんてことしやがるんだ!? "八ミンチ砲"は折角サイズも威力も調整が終わったばっかりだってのによ~!?」
想定外の事態に驚くガラス越しのフロスト。
フレイムのメイン武装が全滅したんだ。無理もない。
「フ、フレイム! さっさとその二人を引き剥がして起き上がれ!」
「フ、フオオ!」
ブオンッ! ブオンッ!
フロストの指示を受けてフレイムが残った右腕で俺とロギウスを掴んで放り投げる。
「くそぉ!? 武装だけじゃなく、やはりパワーも本物か!」
「だがこれでフレイムの攻撃手段はなくなったも同然だ!」
俺達は軽々とフレイムに投げ飛ばされたが、なんとか着地には成功する。
俺達と距離を置いたことで、フレイムもようやく立ち上がる。
「くっそ~……! く……クク、クーカカカカ~!」
そんな光景を見て突如笑い出すフロスト。
あまりに想定外の光景に気でも触れたか?
「ロギウス~、ゼロラ~。てめーらまさかこれで、『フレイムの攻撃手段を絶つことができた』、なーんて思ってるんじゃねーだろーな~?」
どうやら気が触れたわけではなく、フレイムにはまだ攻撃手段が残されているようだ。
「今のフレイムに残された攻撃手段――ま、まさか!?」
「そーだ! その『まさか』だよ~! フレイム! <キャノンブレス>発射用意!!」
<キャノンブレス>!? 聞くだけでもヤバそうな響きだ。ロギウスも相当ビビってる。
「フオオーーー……!」
フレイムの口元にあったマスク型の装甲が左右に開き、周囲の空気が吸い込まれていくのが分かる。
普通の人間でいう息を吸い込む動作といったところか。
「あ、あの攻撃だけはマズイ! ゼロラ殿! とにかくフレイムの直線上から離れるんだ!」
今までの攻撃も相当マズかったと思うが、それ以上にマズイのか!?
俺はロギウスの言う通り、急いでフレイムの直線状から離れる――
「<キャノンブレス>! 発射!!」
「オオオオォ!!」
――フロストの合図とともにフレイムの口から放たれる、圧縮されたと思われる"空気の塊"。
直撃こそは避けたものの――
―――カッ!!
ズドォオオン!!
「な!?」
「ぐぅ!?」
――着弾と同時に辺りを覆いつくす閃光、熱風、そして衝撃波。
ギャングレオ盗賊団が使っていたグレネードや、上位魔法使いの爆発魔法をも上回る圧倒的大爆発。
その衝撃は、離れていたはずの俺とロギウスまでをも吹き飛ばした。
「ロ、ロギウス……。無事か……?」
「な、なんとかね……。まさかたった二人の人間相手に<キャノンブレス>まで使ってくるとは思わなかった……」
俺もロギウスも衝撃だけでダメージを受け、一度倒れこんでしまった。
<キャノンブレス>を放ったフレイム本人は、発射地点よりも後ろに下がっている。
あれだけの威力の攻撃だ。フレイム自身も発射時の衝撃を緩和するために、あらかじめ後ろに下がるように設定していたのだろう。
「ク、ク、ク、クーカカカカカ~! どーだ!? この素晴らしい威力は!? これこそがフレイムを【王国最強】たらしめる真骨頂! 最大の切り札! 吸い込んだ空気を体内で高温高圧に圧縮し、一気に放出する"大砲の吐息"! <キャノンブレス>!! 発射の際の衝撃でフレイムの肉体でも後逸してしまうが、宙に浮かせる"ホバリング"があるから緩和可能! その気になれば王都さえも破壊可能な、空気弾頭よ! クーカカカカ!!」
「こんなもの作るから、王国一級の危険人物だなんて呼ばれるんだよ……」
ロギウスの言うことが完全に理解できた。
このフロストという男の科学力は、その気になればこの国に大戦争を仕掛けることができる。
さらには王都を壊滅させることもできそうだ……。
「フレイム! <キャノンブレス>、次弾発射用意!」
「フオオーー……!」
フレイムが再び息を大きく吸い込み始める。
「とにかくあのまま攻撃させるのはマズイ!」
「<キャノンブレス>はあくまでフレイム自身の"息"による攻撃だ! 無理矢理口を塞いで空気を体内に逆流させてやろう!」
ロギウスの言う通り吸い込んだ空気の逃げ道がなくなれば、フレイムの体内に直接ダメージを与えることもできそうだ!
俺とロギウスは大急ぎでフレイムの口部分の装甲を閉じさせようとする――
「バーカ。"切り札"ってのは、当然の対策も用意してあるから、"切り札"って言うんだぜ~?」
――そんな俺達に対して放たれる、フロストの余裕の声。
「フレイム! <キャノンブレス>発射中断! 全身の空気排出口を開き、<オーバースチーム>に切り替えろ!」
「オゥン!」
フロストの指示を受けたフレイムは、自ら口部分の装甲を閉じ、代わりに全身にある装甲の一部を開いた。
そこから息を飲み込むように体を丸めた後――
プオーーーーン!!
「これは!? 蒸気!?」
「あ、熱い!? 体の自由が……!?」
突っ込んでいった俺達へ、フレイムの全身から放たれる大量の蒸気。
衝撃によるダメージはないが、その蒸気のあまりの熱さに俺もロギウスも体が痺れて動きを奪われる。
「<キャノンブレス>のチャージ中の隙は計算済みよ~! だからこそ用意した、吸い込んだ息を砲撃ではなく、自らの周囲を守る高温の蒸気へと変換する<オーバースチーム>! "切り札"の弱点をカバーしてこその"切り札"なんだぜ~?」
自らの技術を自慢するようにガラス越しから部屋中に声を響かせるフロスト。
俺達の体は<オーバースチーム>の熱による痺れが抜けきっていない。
何とかこれまでは対抗できていたが、こんな完全無欠の怪物……どうやって倒せというんだ……!?
「さーて、遊びは終いにしよーか! フレイム! <キャノンブレス>再度発射用意! 連中が動けない間に……止めを刺しちまいな~! クーカカカカ~!」
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