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第14章 まどろむ世界のその先へ
第179話 夢の中で
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――ここはどこだ?
俺はこんなところで何をしているのだ?
辺り一面、暗闇の世界――
そうだ。俺はレイキースと戦って二度も体を刺し貫かれたのだった。
なら……ここは死後の世界か?
俺は……死んだのか?
そうでなければこの状況に納得できない。
あの後、ラルフルとシシバは逃げ切れたのだろうか?
他の皆は無事なのだろうか?
ラルフルは俺が死ぬ間際に泣いてたな……。
マカロンやリョウも悲しんでないだろうか……?
もう考えても仕方ないことのはずなのに、俺の頭はそんなことばかり考えてしまう。
「『自分は死んだ』……。そう考えていませんか?」
突如俺の耳に何者かの声が入ってくる。
俺の考えていることを手に取るように理解する、澄んだ女性の声。
「ああ、そうだ。俺は……死んだのだろう?」
俺はその声に問い返してみた。
「あなたはいつになっても――誰になっても……自らの命を投げ出してしまうのですね」
そんな声と共に俺の目の前に輝く光のオーラを纏った人影が現れる。
ぼやけていてはっきりと姿を確認できないが、この人影こそが声の主なのだろう。
だが何故だろう。俺にはこの声がひどく懐かしい。
記憶を失っているはずの俺が懐かしさを感じたことなど初めてだ。
懐かしくて、暖かくて、優しい声。
この人影は……俺の失われた過去と関係のある人物か。
「お前は……誰なんだ?」
俺は人影に尋ねるも、首を横に振られて答えを得ることはできなかった。
「今ここで私が何者か言ったら……あなたは私と一緒について来るのでしょうね」
それはついて行くだろう。
俺はもう死んだ身だ。
ならば……俺を知っている人間について行きたい。
「だから……答えられません。あなたには……まだあなたを必要としてくれる大勢の人間がいます」
人影は俺を諭すように語り掛ける。
『――ラさん! ゼロラさん!!』
『――がい――起きて! お願いだから――目を覚まして!!』
人影以外の声が俺の耳に入る。
この声は……ラルフルとマカロン……?
「聞こえてるのですね? あなたの帰りを必死に待つ――必死に呼びかける声が」
ああ……そうだ。
俺は帰らなければいけない。
『みんなで一緒に帰ってくる』。その約束を果たすためにも。
俺がそう決意した瞬間。辺りの空間がひび割れ始める。
そうだ……俺はまだ死ねない。
待っている皆のためにも、国王と交わした約束も含め、俺は再び立ち上がらなければいけない。
崩壊を始めた空間の中で、俺と目の前の人影がどんどんと離れていく。
「教えてくれ! お前は誰なんだ!? 俺は……そもそも誰なんだ!?」
最後にどうしても確認したかった、失われた俺の過去の答え。
俺は人影に必死に叫んだ。
だが人影は口を人差し指で押さえ、答えを言う事はなかった。
「大丈夫。あなたの過去にはいずれ、あなた自身が辿り着きます」
決して"答え"を言う事のないその人影だったが、俺は非情と思うことはなかった。
この人影は……俺とかなり近い間柄にいた存在だ。
それだけは確かであると感じることができた。
「それと……――――も頼みますね?」
最後の人影の言葉は聞き取れなかったが、そのまま俺の目の前から消えていった――
■
「うぅ……」
俺は目を開けた。
気が付けばいつも見慣れた天井が目の前にある。
ここは……俺の部屋か?
「ゼロラさん……。 ッ!!? お、お姉ちゃん!? ゼロラさんが――ゼロラさんが!!」
横を見るとラルフルが泣きながら俺の傍にいた。
そしてもう一人、俺の手を握って俯いていた人物が――
「ゼロラ……さん……? 気が付いて……?」
――マカロンだ。
ひどくやつれて涙を溢れさせながら俺の手を優しく握ってくれていた。
そうか……俺は……まだ生きているんだな。
「おはよう……。いや、ただいまかな?」
俺はこんなところで何をしているのだ?
辺り一面、暗闇の世界――
そうだ。俺はレイキースと戦って二度も体を刺し貫かれたのだった。
なら……ここは死後の世界か?
俺は……死んだのか?
そうでなければこの状況に納得できない。
あの後、ラルフルとシシバは逃げ切れたのだろうか?
他の皆は無事なのだろうか?
ラルフルは俺が死ぬ間際に泣いてたな……。
マカロンやリョウも悲しんでないだろうか……?
もう考えても仕方ないことのはずなのに、俺の頭はそんなことばかり考えてしまう。
「『自分は死んだ』……。そう考えていませんか?」
突如俺の耳に何者かの声が入ってくる。
俺の考えていることを手に取るように理解する、澄んだ女性の声。
「ああ、そうだ。俺は……死んだのだろう?」
俺はその声に問い返してみた。
「あなたはいつになっても――誰になっても……自らの命を投げ出してしまうのですね」
そんな声と共に俺の目の前に輝く光のオーラを纏った人影が現れる。
ぼやけていてはっきりと姿を確認できないが、この人影こそが声の主なのだろう。
だが何故だろう。俺にはこの声がひどく懐かしい。
記憶を失っているはずの俺が懐かしさを感じたことなど初めてだ。
懐かしくて、暖かくて、優しい声。
この人影は……俺の失われた過去と関係のある人物か。
「お前は……誰なんだ?」
俺は人影に尋ねるも、首を横に振られて答えを得ることはできなかった。
「今ここで私が何者か言ったら……あなたは私と一緒について来るのでしょうね」
それはついて行くだろう。
俺はもう死んだ身だ。
ならば……俺を知っている人間について行きたい。
「だから……答えられません。あなたには……まだあなたを必要としてくれる大勢の人間がいます」
人影は俺を諭すように語り掛ける。
『――ラさん! ゼロラさん!!』
『――がい――起きて! お願いだから――目を覚まして!!』
人影以外の声が俺の耳に入る。
この声は……ラルフルとマカロン……?
「聞こえてるのですね? あなたの帰りを必死に待つ――必死に呼びかける声が」
ああ……そうだ。
俺は帰らなければいけない。
『みんなで一緒に帰ってくる』。その約束を果たすためにも。
俺がそう決意した瞬間。辺りの空間がひび割れ始める。
そうだ……俺はまだ死ねない。
待っている皆のためにも、国王と交わした約束も含め、俺は再び立ち上がらなければいけない。
崩壊を始めた空間の中で、俺と目の前の人影がどんどんと離れていく。
「教えてくれ! お前は誰なんだ!? 俺は……そもそも誰なんだ!?」
最後にどうしても確認したかった、失われた俺の過去の答え。
俺は人影に必死に叫んだ。
だが人影は口を人差し指で押さえ、答えを言う事はなかった。
「大丈夫。あなたの過去にはいずれ、あなた自身が辿り着きます」
決して"答え"を言う事のないその人影だったが、俺は非情と思うことはなかった。
この人影は……俺とかなり近い間柄にいた存在だ。
それだけは確かであると感じることができた。
「それと……――――も頼みますね?」
最後の人影の言葉は聞き取れなかったが、そのまま俺の目の前から消えていった――
■
「うぅ……」
俺は目を開けた。
気が付けばいつも見慣れた天井が目の前にある。
ここは……俺の部屋か?
「ゼロラさん……。 ッ!!? お、お姉ちゃん!? ゼロラさんが――ゼロラさんが!!」
横を見るとラルフルが泣きながら俺の傍にいた。
そしてもう一人、俺の手を握って俯いていた人物が――
「ゼロラ……さん……? 気が付いて……?」
――マカロンだ。
ひどくやつれて涙を溢れさせながら俺の手を優しく握ってくれていた。
そうか……俺は……まだ生きているんだな。
「おはよう……。いや、ただいまかな?」
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