記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第7章 家族

第90話 宿敵・ルクガイア貴族伯爵

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「チェエエストォオオ!!」

 オジャル伯爵が勢い良く斬りかかってきます。前回は不意を突かれて斬られてしまいましたが、今回は違います!

「テイヤァア!」
「ちぇおじゃ!?」

 オジャル伯爵の剣を側転で回避しながら頭目がけての蹴りが入りました! 側転で勢いもついているのでかなり効いたはずです!

「お、おじゃれぇ……! まろの高貴な顔に蹴りを入れるなど……!」
「さすがに一撃では倒せませんか……」

 オジャル伯爵はよろめきながらも再度構えます。自分の体格では勢いがついても倒すまでには至りませんか……!

「避けるだけの術はあるようでおじゃるな。ならばこれはどうでおじゃ!」

 ブン! ブン! ブン!

 今度は小刻みに面を連続で打ってきました。さっきよりも隙が少ない! 避けるだけでチャンスがありません!

「今でおじゃ!」
「え!?」

 これまで縦にばかり振られていたオジャル伯爵の剣が突然軌道を変えて横から襲い掛かってきました! ダメです! 避けれません! ならば!

 ガキン!

「な、なんじゃと!? お主もまろの太刀を素手で止められるでおじゃるか!?」
「言ったでしょう! 前回とは違うんです!」

 ゼロラさんから教わった"鉄の防御"! マスターしておいて正解でした!

「ハァアアア!!」
「お、おじゃあ!?」

 剣を防がれてひるんだオジャル伯爵に一気に畳みかけます!

 ドカッ! ゲシィ! ボカァ!

「おじゃ!? おぶじゃ!? ま、待つでおじゃ!?」

 攻撃の手は緩めません! 反撃の機会なんて与えません!

「お、おのれ~! まろが……このオジャル伯爵がこのような小娘に……!?」

 オジャル伯爵の構えが完全に崩れたのを見て、止めに入ります。
 自分の頭が下になるように回転しながら飛び上がり、オジャル伯爵の脳天目がけて足を持っていきます!

「セイヤァアアア!!!」
「おじゃぼばぁああ!!??」

 全身で遠心力をつけた状態での回転蹴り。今の自分が使える最大威力の技です。
 それを脳天にまともに食らったオジャル伯爵は剣を手放し、地面にたたきつけられました。

「あ……ありえんでおじゃ……。こんな……こんな小娘にまろが……?」

 それだけ言い残すとオジャル伯爵は上げていた顔も地面に伏せてしまいました。完全に気絶したようです。

 ミリアさんだけでなく、お姉ちゃんまで乱暴に扱おうとしたその罪は許せません!
 しっかり反省してください!



 そうだ。こういう勝った時にはカッコイイ決め台詞を言うのがお約束ですね。
 自分は少し考えて言いました。

「自分は小娘ではありません……"男"です!」

 少し間違えた気がしました。
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