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第4章 王国の影
第41話 迷子・サイドラルフル
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「困りました……ゼロラさんとはぐれてしまいました……」
自分とゼロラさんがチャン老師の元を出た後、いつの間にかゼロラさんと離れ離れになってしまいました。
いざ一人になると怖いです。自分は恐る恐るゼロラさんを探すために歩き始めました。
「よう、お嬢ちゃん。ここでは見ない顔だな」
どなたかが自分に話しかけてきました。
ボロボロの衣服に不健康そうな顔。そんな男の人が三人、自分を取り囲むように迫ってきました。
「な、なんですか? 自分に何の用ですか?」
「なーに。お嬢ちゃんの身ぐるみを剥ぐだけさ」
身ぐるみを剥ぐ!? つまり裸になれと!?
理解しました。この方達は自分を女性だと間違えて襲おうとしているのですね!
「じ、自分は男なので……」
「そうなのか? だが関係ねえ(金になるなら何でもいい)」
男でも関係ないのですか!?
「もう何日も食ってねえからな(早く金を手に入れて飯を買いたい)」
そんなに女性に飢えているのですか!?
「大人しく剥がされるんだな(とにかく財布よこせ)」
ひぃ~!? このままでは色々表現できない事態になってしまいます!
「こ、こここ、来ないでくださーい!」
このままではまずいです! そう思った自分は三人をフック、アッパー、回し蹴りで無我夢中でノックアウトしてしまいました。
「ゲフッ!? な、なんだこいつ……!? つ、強え……!」
……無我夢中で倒してしまいましたが、意外と何とかなるものですね。
「こ、こういうことはちゃんと健全なお付き合いをしてからでないとダメです!」
「な……なんの話……?」
それだけ言い残して自分はすぐにその場を立ち去りました。
■
慌てて立ち去ったせいか、余計にややこしいところに迷い込んでしまいました。
ここの治安の悪さを甘く見てました。早くゼロラさんと合流しないとまた襲われてしまいます。
「ヒヒヒ。お主のような無能な小僧がこんなところで何をしてるのじゃ?」
考えてる傍からまたかと思いましたが、その声は聞き覚えのある声でした。
「ジャコウ様……!?」
現ルクガイア王国騎士団の軍師であり、現勇者レイキース様の先代、勇者ユメ様のパーティーの一員でもあった魔術師です。
「魔法が使えなくなった身で厚かましくも王宮に勤めさせてもらっていたのに、とうとう追い出されてしまったのかな?」
「自分は今日は休暇なだけです。ジャコウ様こそなぜこのような所に?」
自分はこの人が苦手です。王国内でも上位の魔法の使い手ではあるのですが、逐一自分や身分の低い人間を蔑む発言をしてきます。それでも軍師という役職に就いているせいで誰も逆らうことができず、ただ耐えるしかありません。
「わしか? わしはここに流れ着いた王国騎士団の裏切り者の様子を見に来たのじゃよ」
制裁ですか……。ジャコウ様は自分に都合の悪い人間は容赦なく切り捨てる人です。恐らくその裏切り者という人もジャコウ様に逆らったせいで騎士団を不当に追い出されてしまったのでしょう。
「しかし、都合のいい話だ。わしは以前からお主のことが気に食わなかったのじゃ。卑しい身分でありながらレイキース様のパーティーに加わり、魔力を失ってなお王宮で働いておる。聖女様とも親しいようじゃし、お主を見てると虫唾が走るわい」
ジャコウ様が話しながらこちらに詰め寄ってきます。
「お主のような無駄な努力を重ねる人間を見ていると……イライラするのじゃよ!」
そして持っていた杖から電撃魔法が放たれました。
慌てて避けようとしましたが、広範囲に放たれたせいで身を守るのが精一杯でした。
「うぐぅ!? カハァ……!」
「ここなら死体が一つ増えても問題あるまい……!」
ジャコウ様が邪悪な笑みを浮かべながら次の魔法を放つ準備をしました。
この人は、自分を殺すつもりです……!
自分とゼロラさんがチャン老師の元を出た後、いつの間にかゼロラさんと離れ離れになってしまいました。
いざ一人になると怖いです。自分は恐る恐るゼロラさんを探すために歩き始めました。
「よう、お嬢ちゃん。ここでは見ない顔だな」
どなたかが自分に話しかけてきました。
ボロボロの衣服に不健康そうな顔。そんな男の人が三人、自分を取り囲むように迫ってきました。
「な、なんですか? 自分に何の用ですか?」
「なーに。お嬢ちゃんの身ぐるみを剥ぐだけさ」
身ぐるみを剥ぐ!? つまり裸になれと!?
理解しました。この方達は自分を女性だと間違えて襲おうとしているのですね!
「じ、自分は男なので……」
「そうなのか? だが関係ねえ(金になるなら何でもいい)」
男でも関係ないのですか!?
「もう何日も食ってねえからな(早く金を手に入れて飯を買いたい)」
そんなに女性に飢えているのですか!?
「大人しく剥がされるんだな(とにかく財布よこせ)」
ひぃ~!? このままでは色々表現できない事態になってしまいます!
「こ、こここ、来ないでくださーい!」
このままではまずいです! そう思った自分は三人をフック、アッパー、回し蹴りで無我夢中でノックアウトしてしまいました。
「ゲフッ!? な、なんだこいつ……!? つ、強え……!」
……無我夢中で倒してしまいましたが、意外と何とかなるものですね。
「こ、こういうことはちゃんと健全なお付き合いをしてからでないとダメです!」
「な……なんの話……?」
それだけ言い残して自分はすぐにその場を立ち去りました。
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慌てて立ち去ったせいか、余計にややこしいところに迷い込んでしまいました。
ここの治安の悪さを甘く見てました。早くゼロラさんと合流しないとまた襲われてしまいます。
「ヒヒヒ。お主のような無能な小僧がこんなところで何をしてるのじゃ?」
考えてる傍からまたかと思いましたが、その声は聞き覚えのある声でした。
「ジャコウ様……!?」
現ルクガイア王国騎士団の軍師であり、現勇者レイキース様の先代、勇者ユメ様のパーティーの一員でもあった魔術師です。
「魔法が使えなくなった身で厚かましくも王宮に勤めさせてもらっていたのに、とうとう追い出されてしまったのかな?」
「自分は今日は休暇なだけです。ジャコウ様こそなぜこのような所に?」
自分はこの人が苦手です。王国内でも上位の魔法の使い手ではあるのですが、逐一自分や身分の低い人間を蔑む発言をしてきます。それでも軍師という役職に就いているせいで誰も逆らうことができず、ただ耐えるしかありません。
「わしか? わしはここに流れ着いた王国騎士団の裏切り者の様子を見に来たのじゃよ」
制裁ですか……。ジャコウ様は自分に都合の悪い人間は容赦なく切り捨てる人です。恐らくその裏切り者という人もジャコウ様に逆らったせいで騎士団を不当に追い出されてしまったのでしょう。
「しかし、都合のいい話だ。わしは以前からお主のことが気に食わなかったのじゃ。卑しい身分でありながらレイキース様のパーティーに加わり、魔力を失ってなお王宮で働いておる。聖女様とも親しいようじゃし、お主を見てると虫唾が走るわい」
ジャコウ様が話しながらこちらに詰め寄ってきます。
「お主のような無駄な努力を重ねる人間を見ていると……イライラするのじゃよ!」
そして持っていた杖から電撃魔法が放たれました。
慌てて避けようとしましたが、広範囲に放たれたせいで身を守るのが精一杯でした。
「うぐぅ!? カハァ……!」
「ここなら死体が一つ増えても問題あるまい……!」
ジャコウ様が邪悪な笑みを浮かべながら次の魔法を放つ準備をしました。
この人は、自分を殺すつもりです……!
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