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おまけ小噺〜シーラ&アンドレアス〜

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(シーラside)



目の前に立つ男が、何やら「ふふふ…」と不気味な笑いを漏らしている。

そして徐にプチプチと上着とシャツの釦を外し始め…「じゃじゃーん!!」と振り向き、見事に割れた腹筋を晒した。

アホか…と言いたい。いや、言う。


「馬鹿なの?」

「酷いや姉さん!!やっと6つに割れたのに!!」

「そこじゃない。今この瞬間、誰かが入ってきてこの状況を見たらどう思うかって話しよ」

「あっ……!!」


普段は澄ました顔で王太子をやっている、前世で弟だったアンドレアス殿下。

次期国王として抜かりはないはずなのに、不意に抜けるところが怜史らしい。


「で?なんだって今さら腹筋を割ったの?」


さりげなく扉の施錠を確認する私など気にも留めず、ウリカの呆れたような視線にも我関せずで、アンディはいそいそと釦を止めている。

まぁ凡その予想はつくんだけど。


「…だってセリナが……喜ぶかなって」


頬を染めないで欲しい。

弟夫婦の閨事情なんぞ知りたくもないのに。

甥姪が増えるのは大歓迎だけど。


「ほら…そろそろ解禁だからさ」

「……それ、わざわざ姉に言うこと?」

「だってさぁ!!」


妻であり王太子妃のアクセリナ殿下は、やたらと私の腹筋を褒めちぎる。

そして無類の隊服好き。


着てるからそうじゃないかと思ってたよ」

「……てへ♡」


アンディが着ているのは漆黒の隊服。

体のラインに沿って作られているから、少しでも弛もうものなら不格好となる。

それにしてもまぁ…The王子様な金髪に鮮やかなブルーアイズだこと。


「テレテレしないでよ、気持ち悪いから」

「酷い!!」


何はともあれ、仲良きことは美しきかな。

来年の今頃には、また可愛い甥or姪が生まれていることだろう。






✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼






(アンドレアスside)



まるで足に羽根でも生えたかのように、軽いステップなんか踏みつつ寝室へと向かう。

愛するセリナが第二子たる長女を産み、漸く医師から閨の解禁が申し渡された。

いや、別になくてもいいんだよ?

たとえ交われ無いとして、セリナに向ける僕の愛情に変わりはないから。

でもさ。


「お待たせ、僕の可愛い人」

「っ……!!」


お気に入りの隊服で現れてみれば、真っ赤に頬を染めてモジモジするんだから、据え膳食わぬは男の恥ってもんよ。


「セリナ」

「…っ、アン、アンディ」


普段の閨でもセリナは敏感だけど、きっちり着こなす隊服で迫ると度合いが違う。

すぐに目を蕩けさせて、舌を絡めている内にふにゃふにゃと体から力が抜けていく。

そして何より………


「ビッショビショ」


濡れ方が半端なくて、他の人がどうか分からないけど痛いくらいに締め付けてくる。

ベルトを緩めてカッチカチのモノだけ取り出し、そのまま脱がずに挿入すれば抱き着いてきた。

セリナの中は温かい。

僕の為に作られたの?って聞きたくなるほどに奥行きもピッタリで、コツンコツンと当たる感じも堪らなく好き。


「あ、あの……アンディ…」

「なぁに?」

「………避妊薬を…」


予想だにしない発言に固まっていると、何故かセリナは恥ずかしそうに身動ぎ視線を逸らした。

これは一体…


「なんで?」


少し不機嫌な声音になったのも仕方ない。

だって僕は何人でも欲しいのに、それを否定するような事を言うんだから。


「…その…………少しの間……」


ぼそっと続いた台詞に僕のジュニアは歓喜し、思わず漏れてしまった………のはセリナのせい。

だけど僕にとってセリナ自身が媚薬。

幾らだって出すことが出来る。


「じゃぁ…純度の高い薬を用意させないとね」


もう暫くは夫婦の営みを充実させたいだなんて、そんな可愛い事を言われたら受け入れるしかないじゃないか。

幸いにも男女の子供がいるし?

どちらも健康優良児だ。

……ちょっとふっくらし過ぎなほど。

だけど姉さんは『子供らしくていい』と可愛がってくれるし、僕も小さい頃はふくふくしていたというから大丈夫…なはず。


「ちょっと今夜は手加減出来そうにないから、覚悟しておいてね」


みっちり埋まったモノで奥を突けば、愛する妻は可愛く啼いた。

どうしようかな……3年くらい空ける?

僕達はまだ若いし、そのくらい空けても何ら問題はないんだから。


「存分に楽しもうか、奥さん」


襟元の釦を何個か外して喉元を晒すと、僕を咥えるセリナの中が締まって蜜が溢れた。

ほんっと…この服に限って脱がずにやるの好きだよね、セリナって。

そのせいでズボンの股周辺が、大変な事になってるんだけど。

満足するまでこのまま抱くけど、その後はちゃんと裸で抱き合いたい。


「愛してるよ、セリナ」


君は僕の希望なんだ。






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