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season2
裁きの始まり
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トレーシアの奇行を問題視した貴族院は、実家の伯爵家に対して処分の選択を迫った。
ひとつはトレーシアを除籍し、精神的な問題を抱える者を抱える施設への生涯幽閉。
もうひとつは、伯爵家が責任を持って生涯に渡り監視をつけた状態で自宅幽閉とするもの。
どちらにしても多額の慰謝料が発生することになるが、後者の場合、監視の為に国から派遣される者を配置しなければならないことと、その者への支払い義務は伯爵家に生じるため、金銭的な負担を考慮すれば財政が傾いている伯爵家が選べるのは前者しかない。
初めこそ、伯爵家は恋心を拗らせただけのよくある話だと主張し続け、むしろ弱い立場の女性を冷たくあしらう僕にこそ否があるのだとして、養うに困らない財力もあることから責任を取るべきだと申し立てをしてきた。
「娘からは、モリス子爵との関係は亡きコーレス男爵との婚姻前からだと聞き及んでおります。共に婚姻を結んでからも男女の関係を続けておきながら、いざ娘が助けを求めると逃げようとするモリス子爵には憤然やるかたない思いしかありません。しっかりと責任を取ってもらいたい!」
貴族同士の争いを裁く場で、伯爵は鼻息荒く責任の所在が誰にあるのかを声高々に繰り広げた。
頻りに口にする『婚姻前からある男女の関係』であるが、それを証言する者はおらず、またそれを証明する物もない。
それらを役員達から指摘されれば、苦しい言い訳を繰り返す。
「娘との逢瀬には秘密裏に手紙が交わされ、確認後はすぐに処分するように命じられたと」
「では、その逢瀬とやらはどちらで行われていたのだ?貴殿からはなにひとつ報告を受けていないが、頻繁に…それも長期に渡り逢瀬を続けていたのならば、使用していた宿などの従業員から証言もとれるであろう?」
「それはっ…娘としては秘匿すべき想いから常に胸を痛めてついていくだけであり、何処でといった詳細は…その…覚えていないと……」
証言などとれるわけがない。
逢瀬など持ったこともないし、秘匿するべき手紙のやり取りもしていないのだから。
「モリス子爵からは、充分すぎるほどの証拠と証言があがっている。一方的な想いを綴ったにすぎないとされるトレーシア嬢から送り付けられた多数の手紙と、それを立証するに値する付きまとい等の証言。此度の申し立てとなる原因となった、私物の無断搬送とその拒否も、携わった業者の者からしっかりと書面で提出されている」
「それは…っ、秘匿されるべきものであるからして…子爵としても表面上だけ……娘からは、奥方から嫌がらせも受けていると!!」
その言葉に反応したのは、今は降嫁して侯爵夫人となっている元王女のプリシラ様だ。
実直で聡明な女性として名高いプリシラ様は、降嫁される以前よりこうして裁きの場によく顔を出している。
「ちょっと宜しいかしら?」
細い腕をすっとあげて、凛と響く声に全員の視線を集めると朗らかな笑みを見せた。
「シャンク侯爵夫人、どうぞ」
「ありがとうございます。伯爵、その嫌がらせとは如何なものですの?」
まさかの元王女からの問い掛けに、やはり証拠のない嫌がらせの詳細は口頭でしか示せない状況に陥った伯爵は、流れ落ちる冷や汗を必死で拭いながらしどろもどろに話続ける。
曰く、本来なら結ばれるべきであったふたりの仲を卑しい平民如きが邪魔をし、下品な平民が故の手練手管で僕を篭絡し、致し方なくビノワへ嫁いだものの互いの想いは消えることなく、むしろ熱く燃え上がる一方だった。
ビノワの急死により枷がなくなったから、これで表だって結ばれる事が出来るようになったのに、図々しくも僕の妻として居座り続けるナディアが潤沢な資産を我が物顔で使い、ならずものを雇って僕に近付くなとトレーシアを脅したり、様々な夜会とお茶会で咎めることを吹聴された…と。
……ありえない…
あまりに酷い言いがかりの内容に怒りが沸き、それまで優しく抱き寄せていたナディアの腰をグイッと強く引き寄せた。
伯爵の言い分を黙って聞いていたプリシラ様は、夫であるシャンク侯爵の色で作られた扇の先を口元にあてて、僅かの間なにか考える素振りを見せてから、バサリと扇を広げて口元を覆い切れ長の目をすぅっと細めた。
「おかしいですわね。亡きコーレス男爵との婚姻は夫人からの熱烈な申し出より決まったもの…と記憶しております。婚約が整う以前より、コーレス男爵を熱心に…それはもう必死とも言えるご様子で追いかけていらっしゃったのを、幾度となくお見掛けしておりますわよ?」
「そ、それは────」
「かと思えば、見目の良い者や財力のある男性への付きまといがあり困っていると、やめさせてほしいと、その者達の婚約者や配偶者より度々抗議されておりましたよね?」
その話は僕も知っている。
だからこそ、次はお前が狙われたのか…と同情的な声が多かったのだが、中にはそれを面白がる者が少なからず存在することから、話は膨れ上がって大袈裟なものへと進化してしまった。
「かく言うわたくしの愛する旦那様もその被害に見舞われたことがございますの。殿方の中には、そういった…秘匿の恋?にお熱をあげて、むしろ積極的にお相手していた方もいらっしゃるようですけれど」
細められた目でその場をぐるりと見渡すと、何人かの男性がビクリと体を震わせた。
恐らく、彼らは関係を持ったのだろう…呆れてものが言えない。
「伯爵はご存知ないのかもしれませんが、夫人は婚約者であったその頃より、その奔放さ故に一体誰の子をその腹に宿すのだろうか…とよく話題にものぼりましたのよ」
「なっ、そんなことは────」
「それに、今回の被害者とされるモリス子爵については王家としても落ち度がないことを確認しておりますの。勿論、ナディア夫人がされたという嫌がらせもないとハッキリ証明出来ますわ」
プリシラ様の『王家が証明する』と言う言葉に、その場がざわめきを見せる。
そう…今回、僕の提出した証拠のほかにも王家から援護射撃とも言える証拠があがっていると聞かされていて、けれどその詳細はその場で明らかにすると秘されていた。
「わたくし、非道徳的なことが大嫌いですの」
プリシラ様の一層低い声が会場に響く。
「神に誓いし者がいるにも関わらず、その者を蔑ろにする不貞行為は特に」
「………っ、、………」
「けれど、しがらみの多い貴族同士の結婚がそのような結果を生むことも承知しております。中には強く想い合っているものを、無理やり引き裂かれた者も確かにいるのでしょう」
会場にいる何人かが、顔を俯かせたり何かを思い切なげに表情を変えた。
心底愛するナディアと結婚出来た僕は幸せ者なのだと、改めて実感する。
「とは言え、だからこそ貴族で在る意味をきちんと理解した上で責任ある行動を取るべきなのではないですか?何故、その婚姻を結ぶ必要があったのか。何故、血を繋ぐ必要があるのか」
「それは…そうですが……」
「たとえ政略的なものでも…たとえそこに燃えるような愛がなくとも…家のため、領民のために結ばれたならば…結ばれる必要があったのならば、互いの存在を尊重して認め合い、民の為に尽力して後継し、繁栄を続けることが貴族としての義務なのではないのですか?」
静まり返っている会場に、ごくりと息を飲む様子や感嘆の溜め息が広がった。
その発端であるプリシラ様を熱い視線で見つめているのは、夫であるシャンク侯爵その人。
強い政略的な意味合いで結ばれた事で有名なふたりであるが、共に事業を手掛けて成功させる手腕は他国にも知れ渡っており、結婚当初こそビジネスパートナーとしての雰囲気が強かったものの、ふたりの子を儲けた今では鴛鴦夫婦とまで呼ばれる相思相愛ぶりを発揮している。
「少し話が逸れましたけれど、だからこそわたくしは欲だけで走る不貞が大嫌いですし、まして拒絶されているにも関わらず、爵位を笠に着たりして押し迫るような者はもっと大嫌いですの」
「それでは…まるで娘が…」
「コーレス夫人は相手にその気がないとみるや、女性であることを利用してお相手を不利に陥れようとしたこともありますわよね?それも一度や二度ではなく」
「そ、、、」
「中には確かな証拠を示せずに、泣き寝入りした方もいらっしゃると把握しております。コーレス男爵が婚約者として、夫として頭を下げていらっしゃるご様子をわたくしもお見かけしたことがありますの。お子様がお生まれになった時に、ご自身の色と容姿を色濃く受け継いでいることに深く安堵されていたことも存じておりますわ」
自分によく似た子供が生まれたと、嬉しそうに話していたビノワの顔が思い出されて、胸が苦しくなった。
ビノワはあの時、どんな気持ちで子供の誕生を喜んでいたのだろうか。
「何が言いたいのかと言うとね、わたくし、人様の迷惑を省みずに一方的に迫ったり、不貞を続けるコーレス夫人のことが大嫌い」
「なっ……!!」
元王女であり、その優秀さから未だ継承権を持つプリシラ様にハッキリと嫌悪を示され、伯爵は顔を赤くして立ち上がった。
「ですからわたくし、そのように色んな意味で緩くていらっしゃる夫人の被害者を、可能な限り少しでも減らすべく、元王女の権力を行使することに致しましたのよ」
そう言い切ると、広げられていた扇を閉じて、形のいい唇に弧を描いて極上の笑みを見せた。
ひとつはトレーシアを除籍し、精神的な問題を抱える者を抱える施設への生涯幽閉。
もうひとつは、伯爵家が責任を持って生涯に渡り監視をつけた状態で自宅幽閉とするもの。
どちらにしても多額の慰謝料が発生することになるが、後者の場合、監視の為に国から派遣される者を配置しなければならないことと、その者への支払い義務は伯爵家に生じるため、金銭的な負担を考慮すれば財政が傾いている伯爵家が選べるのは前者しかない。
初めこそ、伯爵家は恋心を拗らせただけのよくある話だと主張し続け、むしろ弱い立場の女性を冷たくあしらう僕にこそ否があるのだとして、養うに困らない財力もあることから責任を取るべきだと申し立てをしてきた。
「娘からは、モリス子爵との関係は亡きコーレス男爵との婚姻前からだと聞き及んでおります。共に婚姻を結んでからも男女の関係を続けておきながら、いざ娘が助けを求めると逃げようとするモリス子爵には憤然やるかたない思いしかありません。しっかりと責任を取ってもらいたい!」
貴族同士の争いを裁く場で、伯爵は鼻息荒く責任の所在が誰にあるのかを声高々に繰り広げた。
頻りに口にする『婚姻前からある男女の関係』であるが、それを証言する者はおらず、またそれを証明する物もない。
それらを役員達から指摘されれば、苦しい言い訳を繰り返す。
「娘との逢瀬には秘密裏に手紙が交わされ、確認後はすぐに処分するように命じられたと」
「では、その逢瀬とやらはどちらで行われていたのだ?貴殿からはなにひとつ報告を受けていないが、頻繁に…それも長期に渡り逢瀬を続けていたのならば、使用していた宿などの従業員から証言もとれるであろう?」
「それはっ…娘としては秘匿すべき想いから常に胸を痛めてついていくだけであり、何処でといった詳細は…その…覚えていないと……」
証言などとれるわけがない。
逢瀬など持ったこともないし、秘匿するべき手紙のやり取りもしていないのだから。
「モリス子爵からは、充分すぎるほどの証拠と証言があがっている。一方的な想いを綴ったにすぎないとされるトレーシア嬢から送り付けられた多数の手紙と、それを立証するに値する付きまとい等の証言。此度の申し立てとなる原因となった、私物の無断搬送とその拒否も、携わった業者の者からしっかりと書面で提出されている」
「それは…っ、秘匿されるべきものであるからして…子爵としても表面上だけ……娘からは、奥方から嫌がらせも受けていると!!」
その言葉に反応したのは、今は降嫁して侯爵夫人となっている元王女のプリシラ様だ。
実直で聡明な女性として名高いプリシラ様は、降嫁される以前よりこうして裁きの場によく顔を出している。
「ちょっと宜しいかしら?」
細い腕をすっとあげて、凛と響く声に全員の視線を集めると朗らかな笑みを見せた。
「シャンク侯爵夫人、どうぞ」
「ありがとうございます。伯爵、その嫌がらせとは如何なものですの?」
まさかの元王女からの問い掛けに、やはり証拠のない嫌がらせの詳細は口頭でしか示せない状況に陥った伯爵は、流れ落ちる冷や汗を必死で拭いながらしどろもどろに話続ける。
曰く、本来なら結ばれるべきであったふたりの仲を卑しい平民如きが邪魔をし、下品な平民が故の手練手管で僕を篭絡し、致し方なくビノワへ嫁いだものの互いの想いは消えることなく、むしろ熱く燃え上がる一方だった。
ビノワの急死により枷がなくなったから、これで表だって結ばれる事が出来るようになったのに、図々しくも僕の妻として居座り続けるナディアが潤沢な資産を我が物顔で使い、ならずものを雇って僕に近付くなとトレーシアを脅したり、様々な夜会とお茶会で咎めることを吹聴された…と。
……ありえない…
あまりに酷い言いがかりの内容に怒りが沸き、それまで優しく抱き寄せていたナディアの腰をグイッと強く引き寄せた。
伯爵の言い分を黙って聞いていたプリシラ様は、夫であるシャンク侯爵の色で作られた扇の先を口元にあてて、僅かの間なにか考える素振りを見せてから、バサリと扇を広げて口元を覆い切れ長の目をすぅっと細めた。
「おかしいですわね。亡きコーレス男爵との婚姻は夫人からの熱烈な申し出より決まったもの…と記憶しております。婚約が整う以前より、コーレス男爵を熱心に…それはもう必死とも言えるご様子で追いかけていらっしゃったのを、幾度となくお見掛けしておりますわよ?」
「そ、それは────」
「かと思えば、見目の良い者や財力のある男性への付きまといがあり困っていると、やめさせてほしいと、その者達の婚約者や配偶者より度々抗議されておりましたよね?」
その話は僕も知っている。
だからこそ、次はお前が狙われたのか…と同情的な声が多かったのだが、中にはそれを面白がる者が少なからず存在することから、話は膨れ上がって大袈裟なものへと進化してしまった。
「かく言うわたくしの愛する旦那様もその被害に見舞われたことがございますの。殿方の中には、そういった…秘匿の恋?にお熱をあげて、むしろ積極的にお相手していた方もいらっしゃるようですけれど」
細められた目でその場をぐるりと見渡すと、何人かの男性がビクリと体を震わせた。
恐らく、彼らは関係を持ったのだろう…呆れてものが言えない。
「伯爵はご存知ないのかもしれませんが、夫人は婚約者であったその頃より、その奔放さ故に一体誰の子をその腹に宿すのだろうか…とよく話題にものぼりましたのよ」
「なっ、そんなことは────」
「それに、今回の被害者とされるモリス子爵については王家としても落ち度がないことを確認しておりますの。勿論、ナディア夫人がされたという嫌がらせもないとハッキリ証明出来ますわ」
プリシラ様の『王家が証明する』と言う言葉に、その場がざわめきを見せる。
そう…今回、僕の提出した証拠のほかにも王家から援護射撃とも言える証拠があがっていると聞かされていて、けれどその詳細はその場で明らかにすると秘されていた。
「わたくし、非道徳的なことが大嫌いですの」
プリシラ様の一層低い声が会場に響く。
「神に誓いし者がいるにも関わらず、その者を蔑ろにする不貞行為は特に」
「………っ、、………」
「けれど、しがらみの多い貴族同士の結婚がそのような結果を生むことも承知しております。中には強く想い合っているものを、無理やり引き裂かれた者も確かにいるのでしょう」
会場にいる何人かが、顔を俯かせたり何かを思い切なげに表情を変えた。
心底愛するナディアと結婚出来た僕は幸せ者なのだと、改めて実感する。
「とは言え、だからこそ貴族で在る意味をきちんと理解した上で責任ある行動を取るべきなのではないですか?何故、その婚姻を結ぶ必要があったのか。何故、血を繋ぐ必要があるのか」
「それは…そうですが……」
「たとえ政略的なものでも…たとえそこに燃えるような愛がなくとも…家のため、領民のために結ばれたならば…結ばれる必要があったのならば、互いの存在を尊重して認め合い、民の為に尽力して後継し、繁栄を続けることが貴族としての義務なのではないのですか?」
静まり返っている会場に、ごくりと息を飲む様子や感嘆の溜め息が広がった。
その発端であるプリシラ様を熱い視線で見つめているのは、夫であるシャンク侯爵その人。
強い政略的な意味合いで結ばれた事で有名なふたりであるが、共に事業を手掛けて成功させる手腕は他国にも知れ渡っており、結婚当初こそビジネスパートナーとしての雰囲気が強かったものの、ふたりの子を儲けた今では鴛鴦夫婦とまで呼ばれる相思相愛ぶりを発揮している。
「少し話が逸れましたけれど、だからこそわたくしは欲だけで走る不貞が大嫌いですし、まして拒絶されているにも関わらず、爵位を笠に着たりして押し迫るような者はもっと大嫌いですの」
「それでは…まるで娘が…」
「コーレス夫人は相手にその気がないとみるや、女性であることを利用してお相手を不利に陥れようとしたこともありますわよね?それも一度や二度ではなく」
「そ、、、」
「中には確かな証拠を示せずに、泣き寝入りした方もいらっしゃると把握しております。コーレス男爵が婚約者として、夫として頭を下げていらっしゃるご様子をわたくしもお見かけしたことがありますの。お子様がお生まれになった時に、ご自身の色と容姿を色濃く受け継いでいることに深く安堵されていたことも存じておりますわ」
自分によく似た子供が生まれたと、嬉しそうに話していたビノワの顔が思い出されて、胸が苦しくなった。
ビノワはあの時、どんな気持ちで子供の誕生を喜んでいたのだろうか。
「何が言いたいのかと言うとね、わたくし、人様の迷惑を省みずに一方的に迫ったり、不貞を続けるコーレス夫人のことが大嫌い」
「なっ……!!」
元王女であり、その優秀さから未だ継承権を持つプリシラ様にハッキリと嫌悪を示され、伯爵は顔を赤くして立ち上がった。
「ですからわたくし、そのように色んな意味で緩くていらっしゃる夫人の被害者を、可能な限り少しでも減らすべく、元王女の権力を行使することに致しましたのよ」
そう言い切ると、広げられていた扇を閉じて、形のいい唇に弧を描いて極上の笑みを見せた。
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