(完結)漆黒の国と半地下の姫

Ringo

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母乳

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「ははうえ。はい、あげる」

「まぁ、ありがとう」


半地下で暮らすリュリツィア達には、マクシミリアンの狙い通り着々と家族が増えている。


「ただいま、リュリツィア」

「お帰りなさい、マクシム」

「おかえりなさい、ちちうえ」

「ただいま、ライル」


間もなく三歳を迎えるライオネルはだいぶお喋りが上達してきて、その成長の速さには子を持つ使用人達も驚きを隠せずにいる。


「アンジュもいい子にしてたか?」


そして一歳半の娘アンジェラはどこからどう見てもリュリツィアのミニチュア版で、マクシミリアンの溺愛が尋常ではない。


「あぷぅ」

「そうか、お父様も大好きだぞ」


愛娘の発する意味不明の言葉は、漏れなく全てマクシミリアンへの愛の言葉に変換されてしまう。


「きゃふぅ、うぁぁう」

「そうかそうか」


頬を擦り合わせながら楽しそうにしている姿を微笑ましいと思うものの、ちょっぴり焼きもちを妬いてしまうリュリツィア。そんな時に取る解決策はひとつで、これが効果抜群。


「ライル、愛してるわ」

「リリー、ダメ」

「ちちうえ、ひどい!」


マクシミリアンに瓜二つの息子を抱き締めて愛を囁けば、すぐに引き剥がしにかかる。


「リュリツィア、まだ帰ってきて僕が言われてないのにそれはダメだ。許可できない」


息子に全力で嫉妬するマクシミリアンは、リュリツィアを抱き締め文句を言いながら、何度も角度を変えて唇を重ね愛を乞う。


「愛してるわ、マクシム」

「僕も愛してる」


心の中で利用した息子に謝り、夫のいつまでも変わらぬ愛に心を震わせる。


「体調はどう?つらいことはある?」

「大丈夫よ、ありがとう」


まだ膨らみかけのお腹に互いの手を重ね、また自然と近付いた唇が重なっていく。


「ちちうえとははうえ、きょうもなかよし」


満足げに頷いた些か聡明すぎる長男は、ハイハイをする妹を連れてその場から離れた。




* * * * * *




「まだ授乳は続いているのか?」

「はい、まだ充分に与えるに足りるとの事です」

「へぇ、それは何より」


ルリアンナには《王家の習慣》として母乳が出る限り与えるように言い付けており、疑うことなく実践しているとの報告が届けられた。


『そろそろ二人目を…』


上目遣いでそう言われた時に、マクシミリアンを襲ったのは嫌悪感。


───リュリツィアならその場で押し倒すけど


生まれては孕ませ、生まれては孕ませを繰り返して、あっという間に三人目を懐妊中のリュリツィア。四人目は少し間を空けるように言われている為、出産後は避妊薬を用いて思う存分楽しむ予定である。


『まずは母乳が終わってからでしょう。私の母もそうしていました』


母である王妃はふたりの王子とひとりの姫を生んだが、幸いにもそれぞれ五歳ずつ離れているのを確かな前例として利用した。


『それから呼び名ですが、普段からきちんと敬称で呼んでいないと公式の場で癖として出る可能性があります。普段から正しく呼んで頂きたい』

『……分かりましたわ』


『それでは、また来ます』


脳内お花畑のルリアンナは、いくら言っても名前か愛称で呼んでくる。他国の王族や大臣を前にしても変わらないため、その度に『なんだかんだ仲睦まじいのでは?』と思われるのがマクシミリアンには気に食わない。

中には『二人目はそろそろですか?』など邪推をしてくる者もいる。それに対してルリアンナが顔を赤らめるものだから、誤解がまるで真実のように浸透していってしまう。…極一部で。


───薬師長に相談するか


母乳の出を良くする薬だけでは、二人目の子作りを回避するのも時間の問題となる。妊娠させる為に使った特効薬の副作用だけを、あえて効能として発揮させている現状。

出産後、ルリアンナは原因不明の倦怠感に見舞われ、一日の殆どを寝台で過ごしている。

逆にリュリツィアには母乳を徐々に止める副作用なしの薬を毎回飲ませている。何故なのかは、マクシミリアンの我儘の為。


『僕もリリーの母乳を飲みたい』


子に乳首を含ませることには嫉妬してしまうし、子作りの弊害となるなら…と産後すぐから服用させてきたが、四人目の妊娠は少し間を空けるように言われている。


───今回は飲み放題だな


マクシミリアンは、三人目の誕生を今まで以上に心待ちにするようになった。




* * * * * *




「……………美味しい…」

「ふふ、赤ちゃんみたい」


齢二十二歳の大きな赤ちゃんは、今夜も妻の母乳をしっかりと堪能した。

第三子を生んで半年、今回は薬を使用していないからまだまだ飲めると喜んでいる。


「ふぅ……」


乳首から口を離して膝枕に体勢を変え、ふと見上げると愛しい妻の微笑みがあり、手を伸ばして滑らかな頬に触れればスリ…と寄せてくる仕草にマクシミリアンも表情を和らげた。


「……僕もリリーと同じ瞳が欲しいな」

「あら、わたくしはマクシムの瞳が欲しいわ」

「トリスが羨ましいよ」


第三子の息子トリスタンは髪色と面立ちこそマクシミリアンに似ているが、瞳の色はリュリツィアと同じものを引き継いでおり、その事が羨ましくて仕方ない。


「…でも、やっぱりこのままでいいわ」

「どうして?」

「大好きな色だから、いつでも見ていたいの。交換してしまったら見られないでしょう?」


幸せそうに微笑む様子に、膝枕をしてもらっていたマクシミリアンは勢いよくリュリツィアを押し倒して組み敷いた。


「…僕もリリーの瞳の色、大好きだよ」


優しく瞼へ口付けを落とす。

リュリツィア用に作られた避妊薬には遅効性の媚薬も含まれており、母乳を吸われる事でじわじわとその身を温めていた。

もぞ…と足を擦り合わせる様子にマクシミリアンは口角をあげ、唇を塞いだ。





──────────
(マクシミリアン視点)




焦らすようにゆっくりと服を脱がせていき、やがて露になった美しい裸体。

体中に散らばる赤い独占欲の印に笑みが溢れる。

僕のリュリツィアに対する思いの深さを理解している使用人達は何も言わないが、子供達は何か悪い病気なのかと心配していたっけ。


「リュリツィア…綺麗だよ…愛してる……」


少しでも薄くなってしまった印には上書きをしないと満足出来ない。


「…僕のリュリツィア…僕だけのリリー」

「ん……マクシミリアン…わたくしのもの……」

「誰にも渡さない…誰にも触らせない…この綺麗な髪の毛一本僕のものだ。大きな瞳も。僕の声を聞く耳も。ぷるぷるの唇も。この大きな胸も。細い腰も。スラリと伸びる足も。そして…いつも僕を悦ばせてくれる…ここも」

「ひゃぁんっ!」

「全部僕だけのものだよ」


上から下へ、ゆっくりと全身に口付けを落として独占欲の印を残し、最後に辿り着いた秘められし場所にある小さく可愛らしい粒を強く吸った。


「あぁっ!マク……ッ」

「ダメ、我慢して」


溢れる蜜を思い切り啜って軽く達したところに、休みなく舌を差し込んで舐め回したり、秘豆を噛ったりすればイキっぱなしとなるのは、長い付き合いで分かったこと。


「……可愛い」


もっとよがらせたくて、ぐちょぐちょに蜜を溢れさせている秘所に指を最初から二本差し込むと、きゅうっと締め付けてきた。


「もっと気持ちよくしてあげる」


口淫を施しながら指を巧みに動かして中を弄り、知り尽くしたポイントを刺激してあげればリュリツィアはもう快楽の世界から戻ってこられない。


「ダメッ、いや……っ、あぁっ!だめぇ!」

「やだよ、もっとイって」

「や、いや…ぁっ、だめ、だめ、マクシムッ!」


逃げようとする腰をガッチリ掴んで思い切り啜ったり舐め回したりを繰り返していたら、腰を浮かせて押し付けてきた。

…………滾る。


「いやっ…、や……やめ……いや……あぁぁぁ、だめぇ!出ちゃう!出ちゃう!!やめて!!」

「イって。出していいよ、飲んであげる」

「やぁっ!だめ!いやっ…っだ……だめ……出る…出ちゃ……あ、あ、、あぁぁぁぁぁ!!」

「……ん」


ぐりぐりと口淫を強請るように秘部を押し付けられ、透明な液体が勢いよく飛び出してきた。それを僕は溢さないように秘豆を口で覆って次々に嚥下していく。


「あぁぁぁ、だめ!…っだっ…めぇ……ぁ…」

「…………………………美味しい…」

「あぁぁんっ!いやぁ……っ……!」


最後に指で中を抉りながら思い切り秘部を啜ってやると、盛大に達した。ここ最近リュリツィアの感度の上がりっぷりが凄い。


「リリー……リュリツィア…」


軽く気をやってしまったリュリツィアに早く目覚めて欲しくて、


「リリー…起きて、リリー」


ぐっちゅ、ぐっちゅとわざとらしく音をたてて抽挿し、抑えきれずに先端から溢れる白濁を垂れ流しながら、一気に突き入れたい思いを堪える。


「リュリツィア…」


気をやってしまったリュリツィアを好き放題に攻める事は多々あるが、最初だけはお互いに気持ちよく感じながら交わりたい。


「リリー……」

「……ん…あっ…あ…」


ゆっくりと意識があがってきたリュリツィアを刺激しすぎないように、けれど気持ちよくしてあげられるように気を付けながら抽挿の深さを変えつつ突けば、スルリと背に回される手。

華奢で小さな手に抱き締められると、どうしようもないほどの庇護欲を煽られてしまう。


「…気持…ちいい……大好き…」

「僕も大好き」


何度も何度も口付けを繰り返し、知り尽くしたポイントを徹底的に攻めるように腰を振るのは殆ど無意識に近い。

華やかな表舞台から引きずり下ろし、日の光りさえまともに入らない場所に閉じ込めたにも関わらず、ただ僕に愛される為だけの空間で『貴方の力になりたい』と言ってくれる。

いつか在るべき位置に戻してやりたい。

可愛い僕だけのリュリツィア。

腕の中で甘く啼く姿にいつだって心が震える。

君が愛しくて堪らない。

いつまでも僕に翻弄されていてほしい。



「リュリツィア、いつまでも一緒だよ」



翻弄されているのは僕の方かもしれないな。






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