2 / 31
溺愛喪失後
しおりを挟む
「カロリーナ」
全ての復讐を遂げたエドワードは、自身の屋敷にある薔薇園にひとり立ち、そこに眠る愛するカロリーナに思いを馳せていた。
「終わったよ、カロリーナ」
公爵家は従兄弟へ家督を引き継いだ。
いつでもカロリーナの元へ行く事が出来る。
3年後、この国には多数の魔物が生まれるだろう。
だがその命は長くない。
母体を食い尽くして生まれる魔物は、母体を突き破り出た瞬間にその宿命を終えることになる。
やがて生まれ変わった自分達が暮らす世界。
何年後か何十年後か…その時に、魔物が溢れるような世界では困る。
カロリーナの身を危険に晒すつもりはない。
「カロリーナ、早く君に逢いたい」
その言葉に呼応するかのように薔薇の蔦がゆっくりと伸び始め、エドワードの体に巻き付き全身を覆うように包んでいく。
エドワードは恍惚とした表情で「カロリーナ…」と何度も呟き、やがて姿が見えなくなるまで覆われると、内側から虹色の光が放たれた。
『エディ』
柔らかい響きが木霊する。
愛しい愛しいカロリーナ。
君の為なら俺は何度でもこの命を捧げるよ。
ゆっくりと、呪術の完成の為にエドワードの魔力が吸い取られる。
術者の魔力と命を奪う、禁じられた転生の術。
やがて光の輝きが小さくなると、エドワードを覆っていた蔦がバラバラと解けて崩れ落ちてゆく。
そこにエドワードの姿はなく、人知れず転生の術は完成した。
◆ ◆ ◆
〔20年後〕
「エドウィン、お前の婚約が決まった」
サヴォア侯爵邸の執務室。
そこで執務中の父親に呼ばれ赴くと、嫡男のエドウィンは自身の婚約の決定を告げられた。
「婚約…ですか?」
エドウィンは14歳。
この国の成人年齢は16歳だが、政略結婚にはよくある話。
「お相手はコルベール伯爵家のカトリーナ令嬢だ」
「カトリーナ…」
「週末に顔合わせをする。戻っていいぞ」
有無を言わせぬ物言いで簡潔に決定事項だけを告げられ、父親の執務室を出た。
転生したエドワードが生まれたのは前世で生きた国の隣国で、サヴォアと言う侯爵家。
カロリーナも同じ国、同じ年齢で生まれているのだろうか。
隣国の貴族家督を調べると、今世にもアヴェーヌ家は存在していた。
だがそれ以上の事は分からないまま。
エドワードのように、国も名前も違うのかもしれない。
そもそも貴族ではないかもしれない可能性もある。
自室に戻り、エドウィンは執事から渡された婚約者の絵姿を見た。
カトリーナ…愛する女性に似た名前の婚約者。
絵姿の少女は少しだけカロリーナを思わせる。
「カロリーナ…君なのかい?」
もし生まれ変わりだとしても、自分を覚えているとは限らない。
前世の記憶を持っていない可能性もある。
顔合わせは3日後。
会えばきっと分かるはず…そう思い、エドウィンは目を閉じカロリーナの姿を瞼裏に映した。
◆ ◆ ◆
「はじめまして、エドウィン様」
どこかカロリーナを思わせる容姿をしたカトリーナ。
だがエドウィンには別人だと分かった。
「はじめまして、カトリーナ嬢」
令嬢に対する紳士の礼儀として手の甲に口付けをすると、カトリーナは可愛らしく頬を染めて微笑んだ。
「ご案内して差し上げなさい」
「はい、お父様」
コルベール伯爵邸の庭園をふたりで散策することになり、エドウィンはカトリーナをエスコートする。
腕に絡められた手の感触に違和感を覚え、早くこの場を立ち去りたい思いに駆られながら歩く。
「エドウィン様と婚約だなんて…嬉しいです」
「私との婚約がですか?」
「はい。ずっと憧れていたんです。結婚するならエドウィン様がいいと、お父様にお話ししていたことが現実となるなんて…夢みたい」
カロリーナ以外と結婚など考えられないエドウィンは、どうすればこの婚約を解消できるか頭を働かせている。
そんな事には気付かないカトリーナ。
著しく成長した双丘をエドウィンの腕に押し付けた。
「成人したらすぐに婚儀を行うとお父様が仰っておりました。エドウィン様となら子供もたくさん欲しいです」
頬を赤らめながら寄り添うカトリーナの話を、エドウィンは冷えた心で聞いていた。
今すぐにこの腕を振り払いたい…その一心だ。
「私達の結婚はサヴォア侯爵様のお力にもなれることにもなるし、お父様には感謝しておりますの」
そう、金策に走り回るほどに困窮し始めていたサヴォア侯爵家は、この婚姻でコルベール伯爵家から莫大な支度金を受け取ることになっている。
家督の為には受け入れるしかない事だとエドウィンも理解している。
だが本能がそれを拒否してやまない。
「それに…」と、さらに強く双丘を押し付けてカトリーナはエドウィンの顔を見上げる。
「子供は婚儀の前でも構わないとお父様が…」
その言葉と仕草にエドウィンの下半身は震えた。
それはカトリーナとの行為に期待してのものではない。
カロリーナ以外の女性との行為に畏怖したのだ。
「エドウィン様…」
カトリーナが顔をあげたまま目を閉じて、口付けを待っている。
エドウィンはその唇に人差し指を宛てた。
「今あなたに口付けをしてしまったら、この場で全てを奪いたくなる」
阿波擦れな女には効果的だろうと微笑んで見せれば、カトリーナは欲情を隠さずに頬を緩めてエドウィンの指に口付けをした。
「楽しみですわ」
エドウィンは首肯しながらも、早く手を打たなければと苦慮する。
サヴォア家への援助を嵩にかけ、強制的にカトリーナの思惑が実行されてしまうかもしれない。
帰りの馬車の中でエドウィンは宙を眺め、今世でカロリーナとの再会は成されぬものなのだと悟り、絶望した。
◆ ◆ ◆
「エドウィン様…」
「…っ、なにをしたっ…」
「愛し合う為のお薬を少し…ですわ」
思うように婚約を解消出来ず、カトリーナからの誘いを躱し続けてきたエドウィンだったが、業を煮やしたカトリーナが遂に行動を起こした。
「半年ですわ、エドウィン様」
「…っ、、くっ…なにがだっ!」
「半年も、あなたは私に口付けのひとつもくださらない」
初めての顔合わせから半年、エドウィンは何かと理由を付けてカトリーナへの接触を躱し続けてきたのだ。
露出の高いドレスを身に纏うようになった事も、明らかな狙いを持っているが故だと理解していた。
少しでもエドウィンと接触を図りたいカトリーナは自室へ誘うようになっていったが、それもうまく躱され続ける始末。
遂には使用人達にも協力を仰ぎ、訪問の約束をした当日、エドウィンが到着したその場でカトリーナが床に伏していると伝え、半ば無理矢理に自室へと赴かせた。
体調が悪いならと気を使い辞そうするエドウィンに、お茶だけでもと留めさせ…媚薬入りのお茶を供して含ませた。
「子は早くとも構わないと言われているのでしょう?」
父親のサヴォア侯爵は、子供が出来ることでこの婚姻が間違いなく結ばれるとカトリーナの思惑に荷担している。
それほどまでに、サヴォア家の財政は困窮しているのだ。
「かはっ…、、」
「お辛いかしら?少し強めのお薬ですから、徐々に体の自由も効かなくなると聞いてはおりますの」
カトリーナは少しずつ薄い装束を脱いでいく。
足に力が入らずにソファーから立ち上げることが出来なくなったエドウィンは、近付いてくるカトリーナを睨み付ける。
「ご安心なさって。手足の自由は効かなくなりますが、男性の機能は失われないと約束されておりますから」
「くそ…っ、触るな!」
カトリーナはエドウィンの上着を脱がせ、シャツのボタンに手をかけて外し始めた。
その顔は赤く上気し恍惚としている。
「あぁ、エドウィン様…素敵ですわ」
「やめろっ…、、」
露になったエドウィンの肌に手を這わせ、程よくついた筋肉をなぞる。
カロリーナが好きだと言ってくれたから、今世でも体を鍛えた。
いつか再会するカロリーナの為に…。
僅かに動く腕に力を込めて抗うが、すでにカトリーナを振り払うことも叶わなくなっていた。
カチャカチャとベルトを外し、カトリーナは目的を達成させるために手を止めずトラウザーズを足から抜き取り、下着に指を引っ掛けてエドウィンの顔を見る。
「エドウィン様も期待していらっしゃるの?」
下着の上からでも分かるほど、そこは主張している。
そこに指を這わせて、カトリーナはうっとりと見惚れた。
「硬くて太くていらっしゃる。ご立派ですわ…エドウィン様」
「やめろっ…やめてくれ…っ、、」
カトリーナは舌で唇を舐め、ごくりと喉を鳴らしてゆっくりとエドウィンの下着を下げていく。
そして足から抜き取ると、エドウィンの屹立した肉棒を眺めて「ふぅ…」と艶めいた息を吐いた。
「んっ…これなら潤滑油は必要ないですわね。」
己の秘部に手を這わせてその潤いを確認したカトリーナは、エドウィンの肉棒を握り塗り付ける。
「エドウィン様…エディと呼んでも?」
そのカトリーナの言葉に、エドウィンはビクリと体を震わせた。
『エディ』
愛しい愛しいカロリーナの声が脳裏に響く。
「エディ…愛してるわ」
エドウィンの上に跨がり、今まさにカトリーナの中に肉棒が差し込まれようとした瞬間…エドウィンの腕が動き、ソファーの下へと伸ばされる。
「その名を呼ぶな!」
上着を脱がされた時に落ちたナイフを拾い、その刃を自身の首に宛てて深く強く引いた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エドウィンの首から血飛沫が舞う様子にあげたカトリーナの悲鳴を聞いた使用人達が駆け付けたが、その状況に驚愕し動けない。
ビクッ、ビクッと痙攣して、やがて動かなくなったエドウィン。
その様子を、誰ひとり動けないまま見ていた。
エドワードがカロリーナと再会出来るのは、これから280年後のことである。
全ての復讐を遂げたエドワードは、自身の屋敷にある薔薇園にひとり立ち、そこに眠る愛するカロリーナに思いを馳せていた。
「終わったよ、カロリーナ」
公爵家は従兄弟へ家督を引き継いだ。
いつでもカロリーナの元へ行く事が出来る。
3年後、この国には多数の魔物が生まれるだろう。
だがその命は長くない。
母体を食い尽くして生まれる魔物は、母体を突き破り出た瞬間にその宿命を終えることになる。
やがて生まれ変わった自分達が暮らす世界。
何年後か何十年後か…その時に、魔物が溢れるような世界では困る。
カロリーナの身を危険に晒すつもりはない。
「カロリーナ、早く君に逢いたい」
その言葉に呼応するかのように薔薇の蔦がゆっくりと伸び始め、エドワードの体に巻き付き全身を覆うように包んでいく。
エドワードは恍惚とした表情で「カロリーナ…」と何度も呟き、やがて姿が見えなくなるまで覆われると、内側から虹色の光が放たれた。
『エディ』
柔らかい響きが木霊する。
愛しい愛しいカロリーナ。
君の為なら俺は何度でもこの命を捧げるよ。
ゆっくりと、呪術の完成の為にエドワードの魔力が吸い取られる。
術者の魔力と命を奪う、禁じられた転生の術。
やがて光の輝きが小さくなると、エドワードを覆っていた蔦がバラバラと解けて崩れ落ちてゆく。
そこにエドワードの姿はなく、人知れず転生の術は完成した。
◆ ◆ ◆
〔20年後〕
「エドウィン、お前の婚約が決まった」
サヴォア侯爵邸の執務室。
そこで執務中の父親に呼ばれ赴くと、嫡男のエドウィンは自身の婚約の決定を告げられた。
「婚約…ですか?」
エドウィンは14歳。
この国の成人年齢は16歳だが、政略結婚にはよくある話。
「お相手はコルベール伯爵家のカトリーナ令嬢だ」
「カトリーナ…」
「週末に顔合わせをする。戻っていいぞ」
有無を言わせぬ物言いで簡潔に決定事項だけを告げられ、父親の執務室を出た。
転生したエドワードが生まれたのは前世で生きた国の隣国で、サヴォアと言う侯爵家。
カロリーナも同じ国、同じ年齢で生まれているのだろうか。
隣国の貴族家督を調べると、今世にもアヴェーヌ家は存在していた。
だがそれ以上の事は分からないまま。
エドワードのように、国も名前も違うのかもしれない。
そもそも貴族ではないかもしれない可能性もある。
自室に戻り、エドウィンは執事から渡された婚約者の絵姿を見た。
カトリーナ…愛する女性に似た名前の婚約者。
絵姿の少女は少しだけカロリーナを思わせる。
「カロリーナ…君なのかい?」
もし生まれ変わりだとしても、自分を覚えているとは限らない。
前世の記憶を持っていない可能性もある。
顔合わせは3日後。
会えばきっと分かるはず…そう思い、エドウィンは目を閉じカロリーナの姿を瞼裏に映した。
◆ ◆ ◆
「はじめまして、エドウィン様」
どこかカロリーナを思わせる容姿をしたカトリーナ。
だがエドウィンには別人だと分かった。
「はじめまして、カトリーナ嬢」
令嬢に対する紳士の礼儀として手の甲に口付けをすると、カトリーナは可愛らしく頬を染めて微笑んだ。
「ご案内して差し上げなさい」
「はい、お父様」
コルベール伯爵邸の庭園をふたりで散策することになり、エドウィンはカトリーナをエスコートする。
腕に絡められた手の感触に違和感を覚え、早くこの場を立ち去りたい思いに駆られながら歩く。
「エドウィン様と婚約だなんて…嬉しいです」
「私との婚約がですか?」
「はい。ずっと憧れていたんです。結婚するならエドウィン様がいいと、お父様にお話ししていたことが現実となるなんて…夢みたい」
カロリーナ以外と結婚など考えられないエドウィンは、どうすればこの婚約を解消できるか頭を働かせている。
そんな事には気付かないカトリーナ。
著しく成長した双丘をエドウィンの腕に押し付けた。
「成人したらすぐに婚儀を行うとお父様が仰っておりました。エドウィン様となら子供もたくさん欲しいです」
頬を赤らめながら寄り添うカトリーナの話を、エドウィンは冷えた心で聞いていた。
今すぐにこの腕を振り払いたい…その一心だ。
「私達の結婚はサヴォア侯爵様のお力にもなれることにもなるし、お父様には感謝しておりますの」
そう、金策に走り回るほどに困窮し始めていたサヴォア侯爵家は、この婚姻でコルベール伯爵家から莫大な支度金を受け取ることになっている。
家督の為には受け入れるしかない事だとエドウィンも理解している。
だが本能がそれを拒否してやまない。
「それに…」と、さらに強く双丘を押し付けてカトリーナはエドウィンの顔を見上げる。
「子供は婚儀の前でも構わないとお父様が…」
その言葉と仕草にエドウィンの下半身は震えた。
それはカトリーナとの行為に期待してのものではない。
カロリーナ以外の女性との行為に畏怖したのだ。
「エドウィン様…」
カトリーナが顔をあげたまま目を閉じて、口付けを待っている。
エドウィンはその唇に人差し指を宛てた。
「今あなたに口付けをしてしまったら、この場で全てを奪いたくなる」
阿波擦れな女には効果的だろうと微笑んで見せれば、カトリーナは欲情を隠さずに頬を緩めてエドウィンの指に口付けをした。
「楽しみですわ」
エドウィンは首肯しながらも、早く手を打たなければと苦慮する。
サヴォア家への援助を嵩にかけ、強制的にカトリーナの思惑が実行されてしまうかもしれない。
帰りの馬車の中でエドウィンは宙を眺め、今世でカロリーナとの再会は成されぬものなのだと悟り、絶望した。
◆ ◆ ◆
「エドウィン様…」
「…っ、なにをしたっ…」
「愛し合う為のお薬を少し…ですわ」
思うように婚約を解消出来ず、カトリーナからの誘いを躱し続けてきたエドウィンだったが、業を煮やしたカトリーナが遂に行動を起こした。
「半年ですわ、エドウィン様」
「…っ、、くっ…なにがだっ!」
「半年も、あなたは私に口付けのひとつもくださらない」
初めての顔合わせから半年、エドウィンは何かと理由を付けてカトリーナへの接触を躱し続けてきたのだ。
露出の高いドレスを身に纏うようになった事も、明らかな狙いを持っているが故だと理解していた。
少しでもエドウィンと接触を図りたいカトリーナは自室へ誘うようになっていったが、それもうまく躱され続ける始末。
遂には使用人達にも協力を仰ぎ、訪問の約束をした当日、エドウィンが到着したその場でカトリーナが床に伏していると伝え、半ば無理矢理に自室へと赴かせた。
体調が悪いならと気を使い辞そうするエドウィンに、お茶だけでもと留めさせ…媚薬入りのお茶を供して含ませた。
「子は早くとも構わないと言われているのでしょう?」
父親のサヴォア侯爵は、子供が出来ることでこの婚姻が間違いなく結ばれるとカトリーナの思惑に荷担している。
それほどまでに、サヴォア家の財政は困窮しているのだ。
「かはっ…、、」
「お辛いかしら?少し強めのお薬ですから、徐々に体の自由も効かなくなると聞いてはおりますの」
カトリーナは少しずつ薄い装束を脱いでいく。
足に力が入らずにソファーから立ち上げることが出来なくなったエドウィンは、近付いてくるカトリーナを睨み付ける。
「ご安心なさって。手足の自由は効かなくなりますが、男性の機能は失われないと約束されておりますから」
「くそ…っ、触るな!」
カトリーナはエドウィンの上着を脱がせ、シャツのボタンに手をかけて外し始めた。
その顔は赤く上気し恍惚としている。
「あぁ、エドウィン様…素敵ですわ」
「やめろっ…、、」
露になったエドウィンの肌に手を這わせ、程よくついた筋肉をなぞる。
カロリーナが好きだと言ってくれたから、今世でも体を鍛えた。
いつか再会するカロリーナの為に…。
僅かに動く腕に力を込めて抗うが、すでにカトリーナを振り払うことも叶わなくなっていた。
カチャカチャとベルトを外し、カトリーナは目的を達成させるために手を止めずトラウザーズを足から抜き取り、下着に指を引っ掛けてエドウィンの顔を見る。
「エドウィン様も期待していらっしゃるの?」
下着の上からでも分かるほど、そこは主張している。
そこに指を這わせて、カトリーナはうっとりと見惚れた。
「硬くて太くていらっしゃる。ご立派ですわ…エドウィン様」
「やめろっ…やめてくれ…っ、、」
カトリーナは舌で唇を舐め、ごくりと喉を鳴らしてゆっくりとエドウィンの下着を下げていく。
そして足から抜き取ると、エドウィンの屹立した肉棒を眺めて「ふぅ…」と艶めいた息を吐いた。
「んっ…これなら潤滑油は必要ないですわね。」
己の秘部に手を這わせてその潤いを確認したカトリーナは、エドウィンの肉棒を握り塗り付ける。
「エドウィン様…エディと呼んでも?」
そのカトリーナの言葉に、エドウィンはビクリと体を震わせた。
『エディ』
愛しい愛しいカロリーナの声が脳裏に響く。
「エディ…愛してるわ」
エドウィンの上に跨がり、今まさにカトリーナの中に肉棒が差し込まれようとした瞬間…エドウィンの腕が動き、ソファーの下へと伸ばされる。
「その名を呼ぶな!」
上着を脱がされた時に落ちたナイフを拾い、その刃を自身の首に宛てて深く強く引いた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
エドウィンの首から血飛沫が舞う様子にあげたカトリーナの悲鳴を聞いた使用人達が駆け付けたが、その状況に驚愕し動けない。
ビクッ、ビクッと痙攣して、やがて動かなくなったエドウィン。
その様子を、誰ひとり動けないまま見ていた。
エドワードがカロリーナと再会出来るのは、これから280年後のことである。
0
お気に入りに追加
612
あなたにおすすめの小説
【完結】何度時(とき)が戻っても、私を殺し続けた家族へ贈る言葉「みんな死んでください」
リオール
恋愛
「リリア、お前は要らない子だ」
「リリア、可愛いミリスの為に死んでくれ」
「リリア、お前が死んでも誰も悲しまないさ」
リリア
リリア
リリア
何度も名前を呼ばれた。
何度呼ばれても、けして目が合うことは無かった。
何度話しかけられても、彼らが見つめる視線の先はただ一人。
血の繋がらない、義理の妹ミリス。
父も母も兄も弟も。
誰も彼もが彼女を愛した。
実の娘である、妹である私ではなく。
真っ赤な他人のミリスを。
そして私は彼女の身代わりに死ぬのだ。
何度も何度も何度だって。苦しめられて殺されて。
そして、何度死んでも過去に戻る。繰り返される苦しみ、死の恐怖。私はけしてそこから逃れられない。
だけど、もういい、と思うの。
どうせ繰り返すならば、同じように生きなくて良いと思うの。
どうして貴方達だけ好き勝手生きてるの? どうして幸せになることが許されるの?
そんなこと、許さない。私が許さない。
もう何度目か数える事もしなかった時間の戻りを経て──私はようやく家族に告げる事が出来た。
最初で最後の贈り物。私から贈る、大切な言葉。
「お父様、お母様、兄弟にミリス」
みんなみんな
「死んでください」
どうぞ受け取ってくださいませ。
※ダークシリアス基本に途中明るかったりもします
※他サイトにも掲載してます
【完結】地味令嬢の願いが叶う刻
白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。
幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。
家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、
いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。
ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。
庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。
レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。
だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。
喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…
異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが
リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!?
※ご都合主義展開
※全7話
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~
日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました!
小説家になろうにて先行公開中
https://ncode.syosetu.com/n5925iz/
残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。
だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。
そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。
実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく!
ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう!
彼女はむしろ喜んだ。
婚約者の断罪
玉響
恋愛
ミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢には、最愛の人がいる。婚約者である、バイロン・ゼフィランサス侯爵令息だ。
見目麗しく、令嬢たちからの人気も高いバイロンはとても優しく、ミリアリアは幸せな日々を送っていた。
しかし、バイロンが別の令嬢と密会しているとの噂を耳にする。
親友のセシリア・モナルダ伯爵夫人に相談すると、気の強いセシリアは浮気現場を抑えて、懲らしめようと画策を始めるが………。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる