上 下
106 / 146
◇式前30日の記録

5.テオルド、夫への道⑶

しおりを挟む
「し、失敗って.........な、何を.........指して言うんだよ」
「テオルド様、言っておきますが閨房は暗いですよ?手探りなんですから。貴方女性の身体の事解ってますか?」


 ガーーーーーーーン!

「う.........た、確かに.........深くは.......知らない、けど..」
 辿々しく下を向くテオルド。

「...........まさかの未経験......うちの長男はなんて初々しいんだろう.........。育て方間違ったかな?」
「.......で、でも.........何となくなら.........話に聞いたし.........」
 誤魔化す様に酒をパカパカ飲み続ける。

「今から行きましょう、テオルド様」
「は?何処へ?」
「娼館へですよ!」
「ヤダよ!何でだよ!」
「一回教えて貰っときゃ後楽でしょ!」
「い、今更.........いや、絶対行かない!俺は.........っ」
「何ですか?」
「や、やるなら.........リリアと.........勉強するから。他の女は.........多分無理」
 そう言うとテオルドは左手で顔を隠してしまう。


「「....................拗らせたな~」」


 うぅ.........と呻くテオルド。自分でも痛い程分かっている。だが、仕方が無いのだ。10年待てば手に入ると信じてリリアだけを見て色々突き進んで来た。
 ちょっと突き進み過ぎた22歳。


「はぁ~~~~~~.........。分かりました」
「ん?」
「テオルド様には結婚式までの間に完璧な男性、いや、夫になって頂くべく座学レッスンを受けて頂きましょう。後、リリア様との日々のノルマを設定致します。ええ、もうこうなりゃ私がやらせて頂きますよ。後、部隊の中から女にモテる奴を講師に迎えましょう。トーザ以外で」
 そう言いながらシューマはグイッと酒を呷った。

「ん?.........トーザ以外?」
「あやつはリリア様に惚れてますから」
「は?は?嘘だろ?俺の騎士だぞ?」
「初めてリリア様のお姿を見た日「リリア!俺と逃げよう!」って言ってたんで油断は禁物です。まあ、テオルド様と結婚するとは知らなかったからなんですが。部隊の者もリリア様の剥き出しの御御足の話を未だに.........まだ夜暗くて良かった。あれは私もヤバかっ......ゴホンッ。いや、これからはリリア様も皆の前に顔を晒す事が増えて来ます。奴等だけじゃなくなるかも知れませんよ?.........あの美しさは規格外.........です」
「.........くっ!身内に敵が多数居るとは.........!」
 テオルドも更にワインを呷る。

「女性騎士の育成を急ぎましょう。中々強い者が居ないのが現状なのですが.........」
「ああ、頼む」
「しかし、ノルマなんて何をするんだい?」
 公爵がクピッとワインを飲みながら聞いた。

「勿論ボディタッチのレッスンですよ」
「.........」
「他の女性が嫌ならリリア様を触るしかないでしょ」
「触るくらいなら大丈夫だ」グビッ
「部分的に指定しますから」グビッ
「何だよ部分って!」
「手とか脚とか耳とかですよ」
「それなんの意味が.........」
「これからしっかり勉強致しましょうね?」
「?.................分かった」
 素直なテオルド。



「そう言えば.........オウエンお付き合いしている女性が居るらしいよ?1年前かららしくて、語学の教師をしている平民の6歳年上の女性らしい。猛アタックしたんだって。もう手を出しちゃってて、婚約者のエリルカーナ侯爵子女と婚約破棄したいと言って来た。困ったな~」


「「え!えええぇぇぇー!!」」




 その日の夜、ヤケ酒でグデングデンに酔っ払った2人の男達は次の日二日酔いで倒れる事になった。

 公爵の爆弾発言より、益々肩身が狭くなったテオルド。
 エスコートは難なく出来ても、弟(13歳)に男として色々負けてしまっているピュアな次期公爵当主の、リリアの承諾無しに決まってしまった夫(男)になる為のレッスンが

 ........それから3日後、座学から始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」  夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。  後に夫から聞かされた衝撃の事実。  アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。 ※シリアスです。 ※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

優秀な姉の添え物でしかない私を必要としてくれたのは、優しい勇者様でした ~病弱だった少女は異世界で恩返しの旅に出る~

日之影ソラ
ファンタジー
前世では病弱で、生涯のほとんどを病室で過ごした少女がいた。彼女は死を迎える直前、神様に願った。 もしも来世があるのなら、今度は私が誰かを支えられるような人間になりたい。見知らぬ誰かの優しさが、病に苦しむ自分を支えてくれたように。 そして彼女は貴族の令嬢ミモザとして生まれ変わった。非凡な姉と比べられ、常に見下されながらも、自分にやれることを精一杯取り組み、他人を支えることに人生をかけた。 誰かのために生きたい。その想いに嘘はない。けれど……本当にこれでいいのか? そんな疑問に答えをくれたのは、平和な時代に生まれた勇者様だった。

虐げられた落ちこぼれ令嬢は、若き天才王子様に溺愛される~才能ある姉と比べられ無能扱いされていた私ですが、前世の記憶を思い出して覚醒しました~

日之影ソラ
恋愛
異能の強さで人間としての価値が決まる世界。国内でも有数の貴族に生まれた双子は、姉は才能あふれる天才で、妹は無能力者の役立たずだった。幼いころから比べられ、虐げられてきた妹リアリスは、いつしか何にも期待しないようになった。 十五歳の誕生日に突然強大な力に目覚めたリアリスだったが、前世の記憶とこれまでの経験を経て、力を隠して平穏に生きることにする。 さらに時がたち、十七歳になったリアリスは、変わらず両親や姉からは罵倒され惨めな扱いを受けていた。それでも平穏に暮らせるならと、気にしないでいた彼女だったが、とあるパーティーで運命の出会いを果たす。 異能の大天才、第六王子に力がばれてしまったリアリス。彼女の人生はどうなってしまうのか。

親友と共に異世界転生したら親友が元親友になった件

リオール
恋愛
事故死により親友と共に異世界転生しちゃいました。 お互いに侯爵令嬢で良かったなと思ったら、親友は聖女認定されました。 いやあ凄いねえ!と感心してたらば! あれ、私達親友じゃなかったっけ? なんで私、床に這いつくばってるのかな? あれ、今日は教科書破られてるわ。 料理が床にぶちまけられちゃったら何食べればいいの?え、拾って食え? お前正気か? そうかそうか、そっちがその気ならこっちにも考えがあるよ。 聖女は凄いね、うん、凄いよ確かに。 でもこっちはイケメンに囲まれて逆ハー状態。おまけに世界最強の勇者様が何でか出てきて溺愛されてんだよね。 私に嫌がらせすることしか出来ない聖女と。 国どころか世界救った勇者様……に愛されちゃった平凡な私と。 はたして勝者はどっちだ!? ※勇者の出番は遅いです ※勇者出て来る辺りからなぜかギャグっぽくなってきました

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

【完結】復讐の館〜私はあなたを待っています〜

リオール
ホラー
愛しています愛しています 私はあなたを愛しています 恨みます呪います憎みます 私は あなたを 許さない

[本編完結]私に嫌がらせする公爵令嬢の弟が大好きなので、王子との婚約は解消したい。

ゆき
恋愛
王太子の婚約者であるアーシェは嫉妬する令嬢達に嫌がらせを受けていた。しかし、王太子は彼女を庇うどころか今日もたくさんの令嬢と遊び放題。王太子を見限っていたアーシェが本当に心を寄せるのは……彼女に嫌がらせをする公爵令嬢の弟だった!?

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

処理中です...