上 下
85 / 146
◇本編

85.

しおりを挟む
「.................ハァハァ.........どう言う事?ハァ.........」
「ビオルテルダ様.........どうか剣を収めて下さい」

 シャリルはゆっくりとビオルテルダに近づく。

「貴方自分が何したか分かってるの?私を邪魔したのよ?」
「ええ。邪魔しました。貴方が負ける事が分かっていたから」
「.................何ですって?お前は私の従者でしょう?主人を「胸を患ってらっしゃいますね?」.........」
「貴方は強靭な方だ。心も身体も。美しく、恵まれた才能もある。境遇には恵まれませんでしたが.........」
「もう.........隠れて苦しむ貴方を見たくなかった。だから今回あの男が居た事を気づいていましたが黙っていました。第一公女お抱えの.........処刑人が紛れて居た事を」
「.................」
「一緒に.........一思いに逝ければ.........そう思って.........」
「裏切ったのね.........貴方も」
「そうですね.........貴方の希望とは違いますから.........。裏切った事には違いありません。ですが一つだけ、やりたい事が思いついたんですよ。ふふ」
「.........何よ。やりたい事って」
「.........貴方を.........王にしたい」

 ビオルテルダは眉間に皺を寄せて言い返す。

「.........私が胸を患っているって知ってるのに?」
「たった1日でも良い。狂ったあの国を.........解放したい。まるで国民が軍隊の中の一部の様に容赦無く搾取され続け、簡単に命を奪われる。貴方が狂ったのはあの公王に第一公女が国営を任されるようになってからだ。あの方は貴方よりも狂人です」
「.........ふーん?狂人には狂人を当てがうって事?でもね、この国から出られなければそれも叶わないでしょ?それともお優しい公爵子息様が私を見逃すとでも?随分甘い事言うのね?誰に騙されたの?ふふ」
「希望です。だがそれには生きている事が大前提なんです。悔しく無いですか?結局あの第一公女の思惑通りになるの。私は短い間でも良い。最後まで.........貴方と生きたい。だからその為に.........テオルド様と交渉します」
「.........馬鹿ね。私達は既に喧嘩を売ってるのよ。引っ込められないし許さないでしょ」
「単機ではそうです。だが.........国同士なら.........どうですか?」

「ほう.........興味深いなシャリル卿。話してみろ」



 不意に頭の後から声がする。

 シャリルが振り返るとテオルドが無表情で立って居た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

処理中です...