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◇本編

80.

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 スパラッシュは女神様の衣服を作る虹色蜘蛛だ。当然ドレスなんかも作れちゃうんだけど今は緊急だからドロワースって言う下着?を作ってくれた。滑らかな肌触りで動き易い。
 脚を入れ、裾と腰の紐を何故か目を瞑り手の震えるシューマさんに結んで貰う。皆んなが履いてるのとは少し違うんだけどフンワリしていてちゃんと下半身が隠れた。

「リリア様、絶対無理しないで下さいよ?何かあったらもう、死んでお詫びだけじゃ済まないので」
「私が必ずお護り致します!リリア様!」
 トーザさんが少し鼻息が荒い。

「.........お前も不安材料の一つだけどな。まあ、今は良い。行くぞ!」



 私達の目的はこの戦いを止める事だ。この先を手に入れる為に。殺し合いなんかじゃなく、違う道をきっと見つけられる筈。

 ワタシも.........やり残した事。やりたい事やらないと行けない。
 本当は三つ目の選択肢の内容まだ達成出来て無い!ちゃんと終わらせないと。

 お役目が終わっていつか消えてしまうなら.........少しでも貴方の記憶に残りたいよ、テオルド。


 スパラッシュの梯子を登り始める。先頭はシューマさん。次にトーザさん。その後にワタシ。そしてスパラッシュ。ピンジャーは勿論飛んで。その後は護衛の三人に挟まれシャリル卿。
 シャリル卿はまだ信用されてはいないけどピンジャーが見張ると言うと何とか納得してくれた。

「蜘蛛の糸とは思えない強度ですね。カチカチだ。天界の生き物は不思議だな.........」
とシューマさん。

「一度行ってみたいですね。綺麗なんでしょう?」
「綺麗だと思えば綺麗に見えるよ。汚いと思えば汚く見える。でもやっぱり女神様のお造りになる生き物は皆んな綺麗だよ」
「リリア様がお美しいのは当然と言う訳ですね、納得です。目が潰れるかと思いました。ふふ」
「.........トーザさんは褒め過ぎ。皆んなワタシの顔見たら固まるの。そのくらい変な顔なんだからあんまり言われると悲しくなる.......」
「リリア様.......後で鏡をお見せします」
「? はあ.........」
「リリア様、私は初めて女性を美しいと思いました。今まで何となくお付き合いしてきた方は居ましたが.........リリア!これが収まったら私と一緒に逃げ...『ガンッ』ぶっ!」

 見るとシューマさんの靴がトーザさんの頭をグリグリ踏み付けている。

「トーザうるさい。リリア様をさり気無く口説くな。呼び捨てするな。お前にやるくらいなら私が頂く。そんな未来は無いがな」
「可能性を捨て切れない」
「可能性はゼロだ。安心しろ」
「判らないだろ?」
「天界のお方を手に入れるなぞ並大抵の資格が無い限り出来はしない。.........それくらいテオルド様はリリア様を.........。兎に角お前は主の命に答えろよ護衛隊長」
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