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◇本編

26.

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「そこで御使い様と話しているのはテオルドじゃないか?珍しいなぁ、君がこんな催しに参加するなんて。いや、初めてじゃ無いのかい?」
「おお、お前も招待されてたのか。まあ、お前は好きそうだもんな」
「大好きだね。誘えば即寝所に行けるんだからな。後腐れも無い」
「あっそう。良かったな。俺は早く帰りたいわ」
「じゃあ、何しに来たんだい?」
「公女をエスコートしに5時間も馬車に乗ってこんな場所までわざわざ来てやったんだよ。お前らだって何だか適齢期の男共集めてるって言ってたから、公女のお相手にされちまうかもな」
「.........へぇ。それは知らなかった。楽しそうだね」
「存分に楽しめよ。俺は遠慮するけどな」
「ビオルテルダ公女は美しいじゃないか。一度はお相手したいね」
「じゃあ、貰ってやれば良いじゃないか。良いご縁だろ?」
「それは私も遠慮しておくよ。大分年上だし、未亡人だしね」
「知ってたか」
「男遊びも半端じゃないらしいし、まさか今更再婚したいなんて言い出さないだろう?」
「言い出してるからタチが悪いんだがな。まあ、今日だけだ。それ以降は二度と会う事は無いさ」
「ふふ。御使い様が恋人の君では扱い切れないさ。まあ、楽しんでくれ、テオルド。じゃあ、また」
「ああ。またな」


 男の人の会話を聞いてしまった。むず痒いー!テオルドってばもう!ワタシと居るとからかわれるんじゃ無いの?

「ゴアーゴァ?ゴアーゴァーゴアー」テオルド降ろして?そろそろあそこら辺に黒いモヤが掛かって来てるから近づいて来てるよ
「本当リリア便利」
「ゴアーゴァーゴアッ」他にも沢山黒い人は居るけどあそこ迄は中々居ないから
「.................気をつけるよ」
「ゴアッ」本当に

 テオルドはワタシの身体をキュッと抱き締めてから護衛の人の持つ大きな籠の中にワタシを入れる。肩からベルトで吊してあり、中はフカフカのクッションが敷いてある。赤ちゃんみたい。
 因みにワタシには三人も護衛の人が付いてて、「ちょっとやり過ぎじゃない?」て聞いたら「やらないで何かあったら立ち直れない」と言われた。
 そんな事言われたら口出し出来ないじゃない。


 本当大事にしてくれて.........ありがとう、テオルド。
 明日10年目のお祝いのプレゼント楽しみにしててね。とっても素敵に出来たから。きっと.........気に入ってくれるはず。ワタシの胸の羽根。
 貴方を想って痛かった胸の羽根。

 でも、それが「愛しているから」だとは最後まで言わない。
 全てを飲み込んで貴方の側を離れよう。

 ワタシの帰る場所  
 もう帰れなくなる場所
 暖かい貴方の腕の中


 あと少しだけ


 あと.........少しだけ

 側に居させて。
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