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◇本編

13.

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 一度抱っこされたら暴れてはいけません。クチバシや脚の爪でテオルドを傷つけちゃうから。だから大人しく抱っこされます。

 でも、言わせて!

「ゴアーーーゴァッゴァッゴァーー!」
 ヤダーーーヤダッ怖いよテオルドォ。禍々しいよー!
「.........」無言で歩く彼。
「ゴァ?.....ゴァゴアー...」離さないでね?多分本当に失神するかも。

 エントランスに辿り着く。あああ.........何あれ?
 白くてピカピカの金の装飾の馬車はワタシの目には黒い、いや。赤いどす黒いモヤが掛かって見える。悪魔が中に居るの?まるで獲物を口を開けて飲み込もうとするような狂気の思念が漂っていた。吐きそう.........。多分この中の人.........

 全身の羽根が逆立つ。泣いちゃう。泣いちゃう。怖いよ。

 テオルドの首にワタシの首を巻き付け目を閉じる。

 徐に先ほどのお使いの金髪のハンサムさんが馬車に向かって一礼をして扉を開けた。

 その瞬間

 ワタシの意識が無くなった。


 ************


「.................ゴァ.........?」
「! リリア?起きた?」
「ゴ.........ゴァ?」
「ああ、良かった。やっぱり意識を失ってしまったみたいで。ダラリと首がずり落ちた時は焦ったよ」
「ゴ.........ゴァッゴァーーゴアーーー!」酷いよ.........テオルド。絶対近づいたらダメな人だったよ!何あの人?まるで.........っ!
「.........まるで?」

 ......快楽で.........生き物の命を.........奪うような........高揚の中の狂気。黒い狂気

「ゴアーー.........」罪深い人.........
「.........ふぅ。そうか。今急ぎでアイツの事を調べさせてる。見た目は思ってたのより若かった。美しいプラチナブロンドの女だったよ。歳は幾つか知らないけど真っ赤なドレスを着ていた。赤が好きなのか装飾品もルビーとか赤いのばっか。口紅も真っ赤。色は白いけどな。薔薇の香水で頭がクラクラした」
「ゴ.........ゴァ.........?」好きに.........なっちゃった?
「な、訳ないだろ。俺の好みじゃないよ。俺は清楚な見た目の女性が良いんだよ。しかも.........リリアが失神する程の悪党なんだ。惚れる要素が一欠片も無い」

「ゴアーーーゴァッゴア?」そうなんだ。良かった。でも清楚な人なんて知り合いに居るかな?
「.........まあ、追々な。兎に角、面倒な事になったのは確かだな」
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