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第10章
425話
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「よし、もう日没まで時間が残って無い──チャンスは一度だけだから、気合を入れていこう」
俺の言葉に皆が頷く。
俺達が作戦会議をしている時でさえ、中型はその場から動かず、日が沈むのをジッと待っている様子であった。
俺は、この中型があった時から不気味でしょうがなかったが、今は倒す事に集中しないとな……
「ディング、自分のタイミングで初めてくれ」
「あぁ……分かった」
ディングは一度大きく息を吸い込む。そして、自身の中にある空気を全て吐き出し、更に空になった酸素タンクに酸素を満タンになる様に再び大きく吸い込む。
「行ってくる……」
そう、口にした瞬間その場から一瞬で掻き消える様にして中型の方に向かって走り出した。
「ふむ。見事なスピードですな」
「あそこまで、早いなんて……」
戦闘大好き二人組はディングのスピードに関心している様子だ。
「ロピ、カウントを始める準備だけしといてくれ」
「分かったよ!」
俺の合図と共に、ロピは中型スリリングショットを構えて、いつでもカウントを数えられる様に準備をする。
ディングが走り出す。そして、ディングの部下達も、また作戦通り自身の配置に向かって走り出していた。
よし、後はディングが中型の注意を惹きつけつつ逃げ切れば……倒せる!
俺はディングの様子を伺う。
「オラッ、これでも食らえやッ!」
ディングは中型に、渾身の飛び蹴りを喰らわす。
流石ランクBともいうのか、ディングの蹴りに中型の身体がズレる事を確認。
「ディング、後は逃げろ!」
「言われなくて、そうさせて貰うぜ!」
中型に一撃を当てたディングは地面に着地したと同時に中型から逃げる様に走り出した。
頼む、食いついてくれ……
俺だけでは無く他の者達も心の中で中型がディングの事を追い掛ける事を願う。
普通のモンスターであればディングの一撃で確実に追い掛けて来るだろう。
しかし、今回の中型は普通のモンスターとは違う……一瞬だけディングの方に身体を向けて追い掛け様としたが、直ぐに何かを思ったのか思い止まった。
「ッチ、モンスターの癖に……」
追い掛けて来ない事に気が付いたディングは一度止まる。
だが、これは俺達も想定内であった。
「オラオラ、オーク族なめんじゃねぇーぞ!」
「そうだ、オラっ! 俺達の村に手出しはさせねぇーからは、モンスター風情が!」
ディングの部下であるオーク達が自慢の力を奮って、大きい棍棒を振り回し、中型に攻撃を加える。
「オメェーのせいで、俺の妻や子供が怖がってんだよ!」
ディングの為に、そして村の為に、何よりも家族の為にオーク達は中型に向かって攻撃を与え続ける……しかし、そんなオーク達を中型は尻尾を一振り横払いする様にして吹き飛ばしたのであった。
「ガード!」
俺のサポートとオーク達の元々の防御力で大怪我はしないで済むが、やはりダメージとしては相当なものだろう。
オーク達を吹き飛ばして満足したのか、中型は再びその場に座り込む様にして楽な体制を取り始めた。
あくまでも、日没までは仕掛けて来ない様子だ。
「よそ見している余裕があるのかッ?」
すると、次は先程中型に一撃を与えて逃げたディングが再び、勢いの付いた蹴りを中型の横腹部分に突き刺さった。
「ナイスッだディング!」
流石に不意打ちだったのか、中型は少しもがく。
そして、ディングはと言うと、着地と同時に再び中型から逃げる為に背を向けて全力で逃げ始める。
「オラッ付いて来やがれ!」
頼む……!
しかし、ダメだった。
中型は少しもがいた後、その場に座り込む。
なんで追わないんだよッ!
すると、又しても先程吹き飛ばされたオーク達が中型に向かって攻撃を仕掛けたのであった。
「オメェの攻撃なんて痛くも痒くもねぇーぜ!」
「本当だなッ! 蚊に刺された程度だぜ、ははは」
オーク達は複数で再び中型を攻撃する。
ディングの攻撃ならいざ知れず部下であるオーク達の攻撃が果たして中型に対してダメージを与えているかは疑問だが、やはりほっといても目障りなだけな様で中型は再び尻尾を使用して纏めてオーク達を攻撃をして吹き飛ばす。
「ガード!」
すかさず、サポートを入れる。吹き飛ばされたオーク達のダメージを少しでもいいから、軽減させる為に補助をした。
その成果もあってか、オーク達は直ぐに立ち上がれないが、大怪我をしている様子では無い。流石、オーク族だぜ!
そして、又してもディングが中型に向けて蹴りを喰らわせる。
「ガラ空き!」
三度目の正直と言うべきか、それとも二度ある事は三度あるもなのか結果を見届けていると……よし! 食い付いた!
ディングの攻撃を何度も無視する事は流石に出来ない様で、しつこく攻撃して来るディングを追いかけ始める中型。
「ロピ、カウントを始めてくれ」
「分かった! 1……2……3」
ディングが中型と鬼ごっこしている間にロピには中型を倒す事が出来るツェーンショットのカウント初めて貰う。
そして、ディングを追い掛け回す中型は少しずつディングとの差を縮めて行く。
中型は餌に食い付いた……後はロピの攻撃を当てて倒すだけだな……
そして、この後の俺達は何故中型が一体だけでこんな場所を陣取っていたかを知る事になる……
俺の言葉に皆が頷く。
俺達が作戦会議をしている時でさえ、中型はその場から動かず、日が沈むのをジッと待っている様子であった。
俺は、この中型があった時から不気味でしょうがなかったが、今は倒す事に集中しないとな……
「ディング、自分のタイミングで初めてくれ」
「あぁ……分かった」
ディングは一度大きく息を吸い込む。そして、自身の中にある空気を全て吐き出し、更に空になった酸素タンクに酸素を満タンになる様に再び大きく吸い込む。
「行ってくる……」
そう、口にした瞬間その場から一瞬で掻き消える様にして中型の方に向かって走り出した。
「ふむ。見事なスピードですな」
「あそこまで、早いなんて……」
戦闘大好き二人組はディングのスピードに関心している様子だ。
「ロピ、カウントを始める準備だけしといてくれ」
「分かったよ!」
俺の合図と共に、ロピは中型スリリングショットを構えて、いつでもカウントを数えられる様に準備をする。
ディングが走り出す。そして、ディングの部下達も、また作戦通り自身の配置に向かって走り出していた。
よし、後はディングが中型の注意を惹きつけつつ逃げ切れば……倒せる!
俺はディングの様子を伺う。
「オラッ、これでも食らえやッ!」
ディングは中型に、渾身の飛び蹴りを喰らわす。
流石ランクBともいうのか、ディングの蹴りに中型の身体がズレる事を確認。
「ディング、後は逃げろ!」
「言われなくて、そうさせて貰うぜ!」
中型に一撃を当てたディングは地面に着地したと同時に中型から逃げる様に走り出した。
頼む、食いついてくれ……
俺だけでは無く他の者達も心の中で中型がディングの事を追い掛ける事を願う。
普通のモンスターであればディングの一撃で確実に追い掛けて来るだろう。
しかし、今回の中型は普通のモンスターとは違う……一瞬だけディングの方に身体を向けて追い掛け様としたが、直ぐに何かを思ったのか思い止まった。
「ッチ、モンスターの癖に……」
追い掛けて来ない事に気が付いたディングは一度止まる。
だが、これは俺達も想定内であった。
「オラオラ、オーク族なめんじゃねぇーぞ!」
「そうだ、オラっ! 俺達の村に手出しはさせねぇーからは、モンスター風情が!」
ディングの部下であるオーク達が自慢の力を奮って、大きい棍棒を振り回し、中型に攻撃を加える。
「オメェーのせいで、俺の妻や子供が怖がってんだよ!」
ディングの為に、そして村の為に、何よりも家族の為にオーク達は中型に向かって攻撃を与え続ける……しかし、そんなオーク達を中型は尻尾を一振り横払いする様にして吹き飛ばしたのであった。
「ガード!」
俺のサポートとオーク達の元々の防御力で大怪我はしないで済むが、やはりダメージとしては相当なものだろう。
オーク達を吹き飛ばして満足したのか、中型は再びその場に座り込む様にして楽な体制を取り始めた。
あくまでも、日没までは仕掛けて来ない様子だ。
「よそ見している余裕があるのかッ?」
すると、次は先程中型に一撃を与えて逃げたディングが再び、勢いの付いた蹴りを中型の横腹部分に突き刺さった。
「ナイスッだディング!」
流石に不意打ちだったのか、中型は少しもがく。
そして、ディングはと言うと、着地と同時に再び中型から逃げる為に背を向けて全力で逃げ始める。
「オラッ付いて来やがれ!」
頼む……!
しかし、ダメだった。
中型は少しもがいた後、その場に座り込む。
なんで追わないんだよッ!
すると、又しても先程吹き飛ばされたオーク達が中型に向かって攻撃を仕掛けたのであった。
「オメェの攻撃なんて痛くも痒くもねぇーぜ!」
「本当だなッ! 蚊に刺された程度だぜ、ははは」
オーク達は複数で再び中型を攻撃する。
ディングの攻撃ならいざ知れず部下であるオーク達の攻撃が果たして中型に対してダメージを与えているかは疑問だが、やはりほっといても目障りなだけな様で中型は再び尻尾を使用して纏めてオーク達を攻撃をして吹き飛ばす。
「ガード!」
すかさず、サポートを入れる。吹き飛ばされたオーク達のダメージを少しでもいいから、軽減させる為に補助をした。
その成果もあってか、オーク達は直ぐに立ち上がれないが、大怪我をしている様子では無い。流石、オーク族だぜ!
そして、又してもディングが中型に向けて蹴りを喰らわせる。
「ガラ空き!」
三度目の正直と言うべきか、それとも二度ある事は三度あるもなのか結果を見届けていると……よし! 食い付いた!
ディングの攻撃を何度も無視する事は流石に出来ない様で、しつこく攻撃して来るディングを追いかけ始める中型。
「ロピ、カウントを始めてくれ」
「分かった! 1……2……3」
ディングが中型と鬼ごっこしている間にロピには中型を倒す事が出来るツェーンショットのカウント初めて貰う。
そして、ディングを追い掛け回す中型は少しずつディングとの差を縮めて行く。
中型は餌に食い付いた……後はロピの攻撃を当てて倒すだけだな……
そして、この後の俺達は何故中型が一体だけでこんな場所を陣取っていたかを知る事になる……
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