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第6章

183話 寝床作り

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「お兄さん、こんなモンスターだらけの場所で寝床なんて作れるのー?」

 今俺達はリンクス達が再び来るまでの間、寝れる場所を探している。

「うーん、全く分からん……」
「普通に考えて、そんな場所は無いと思います」
「ふむ。確かにチル様の言う通りですな」

 マーズを先頭に俺達はひたすら走り続ける。

「こんなに、大人数で移動してたらまたモンスター達に見つかりそうだよねー」

 ロピの言葉に反応する様に小型が一体現れた。

「「「……」」」
「ね、ねぇ皆んな、なんか喋ってよ?」
「姉さんは、もう話さないで」
「酷い!」

 俺達が話していると、あっという間に小型は討伐された。

「ほっほっほ。三班は強い者が多いですな」
「だけど、こんな状況になったら俺達も流石に戦闘に参加しないと不味いよな……」

 今までは体力温存の意味も込めて極力戦闘には参加していなかったが、そんな事言ってたらあっという間に全滅するだろうし。

「よし、俺達もそろそろ戦闘に参加するか」
「その言葉をお待ちしていました」

 チルの目に炎が宿った様に見える。

「ほっほっほ。それでは我々も積極的に戦闘に参加しても?」
「せ、積極的には参加しないでいいんじゃないか……?」
「いえ、アトス様、そんな事言っていたらマーズに神の座を奪われます。ここは
アトス様の力を見せ付けてやりましょう」

 チルの瞳に炎が宿った原因は俺なのか……?

「チ、チルちゃん? お兄さんは神にはなりたくないんじゃない?」
「え!?」

 ロピの言葉にチルは、そんな事ありませんよね? と言う悲しそうな表情で俺の事を見つめてきた。

 そんな目で見るなよ……。

 俺は娘からの期待に応えなければな!

「お、俺は神になる!」
「流石、アトス様です。全力で私とリガスがお手伝い致します」
「ほっほっほ。これからは神様とお呼びした方が?」 
 
 俺は老紳士を睨みつけるが、笑顔で返された……。

「もうー、お兄さんは甘いんだから……」

 そんなやり取りをしていたら、マーズが良いところを見つけたらしい。

「ここは、良い……」

 辺りを見回すが、他の者達は何が良いか分からないらしい。

「おい、何がいいんだよ?」
「ここなら、モンスターが来ても直ぐに察知出来ます」
「そんな感じはしないが……」

 周りには木々が溢れて、視界は非常に悪い。

「こんなに視界が悪かったら、オイラ気付かないぜ?」

 他の三班からも同じ様な意見が出る。

「皆さん、私達が身体を休めるのはこの上です」

 そう言ってマーズは上を指す。三班が一斉に頭を上に向けると、そこには一つだけ他の木よりも高い大木があった。

「まさか、ここに……?」
「はい。この大木なら三班全員が乗っても平気ですからね」

 確かにマーズの言う通り、この大木なら皆んなが乗っても折れないだろうけど木の上で生活とか出来るのか……?

「それに、これだけ大きな木ならモンスターの突進に耐えられそうですし」
「でも、木の上で生活なんて出来るのか?」

 やはり同じ考えに辿り着いたのか、フィールが疑問を口にした。

「慣れると案外快適なんですよ?」 

 冗談を言う感じでマーズが言う。それから一度皆んなで大木に乗ってみたが、確かに周囲を見渡せるので、モンスターの接近には気付きやすいな。

「よし、ならこの住居をより快適にするわけだな」
「えぇ。その為に何組かに分けましょう」

 それからは、住居を整える係、水を見つける係、食料を見つける係の三組に分けられた。

 まず、マーズ率いるチームが住居係になり、食料係としてフィールとトイン達が選ばれ、俺達は水係となった。

「では、皆さんまずはリンクス達が来るまで生き抜ける住処を作りましょう」

 水係になった俺達は早速水を探す為に移動をする。

「水なんて、ここら辺にあるかなー?」
「ふむ。湧き水を探しましょう」

 水係は俺達も含めて六人いる。

「な、なぁ。あんたら雷弾と剛腕と鉄壁だろ?」
「お前らが居ればモンスターが出ても安心だぜ」
「二人も、同じ班になってから見てたけど強いねー」
「おい、雷弾が褒めてくれたぜ!?」
「無事に帰ったら自慢しような!」

 二人は嬉しそうにしている。

「ふむ。お二人は戦闘では何が出来るのです?」
「俺は斥候だな」
「俺は遠距離だぜ」

 お、流石マーズだな。バランス良くチームを割り振っている。

「よーし、ならこれから皆んなで頑張るぞー!」

 ロピの号令にノリよく合わせる二人。

「ウンウン、二人共ノリが良くて素晴らしいね!」
「姉さん、早く水を探さないと」
「チルちゃん、こういうのは士気が大事なんだよ」

 そしてお互い改めて自己紹介し、戦闘時の役割などを決め水を探しに歩き出す。
 斥候能力が高いのか、モンスターを目視する前に察知し避ける事が出来た。

「ほっほっほ。貴方は察知能力に優れていますな」
「ホントだねー。獣人族の私達より先に察知出来るなんて」

 斥候が照れた様に説明する。

「俺のスキルは聴覚強化なんだよ」
「ふむ。なら大分遠くの音を?」
「あぁ。モンスターと人間の移動する音なら聴き分ける事が出来るぜ」

 なるほど。スキルを生かせば、こういう役割も生まれて来る訳か。

 そして、斥候は水の音が聞こえたらしく、そこに向かう事にした……
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