84 / 492
第3章
83話 戦闘終了
しおりを挟む
魔族は小型に向かって走り出す。先程小型の攻撃が直撃したにも拘わらず、そうとは、見えない程のスピードで走っている。
「ほっほっほ。どうやら痛覚を多少遮断する効果もあるようですな」
そう言って、魔族は小型の目の前で盾を構えた。
「それでは、第一の盾をお見せしましょうか」
魔族は構えていた盾を地面に突き刺し唱える。
「カネルッ!!」
先程まで持っていた大盾が更に大きくなり、魔族の身体をスッポリと隠す。そして、小型が盾に向かい体当りする。
接触の瞬間金属同士がぶつかり合う様な音が鳴る。
そして、信じられない事が目の前で起きた。
「嘘だろ……」
「魔族さん、凄い……」
俺とロピは開いた口が塞がらなかった。なんと魔族は大盾一つと自身の身体一つで小型の体当りを真正面から受け止めたのである。そして今も小型と鍔迫り合い状態を保ったままその場で耐えているのだ。
「──ッチル様! 今ですぞ!」
俺ら二人とは違ってチルは驚きながらも魔族の言葉にすぐ反応して小型の腹部に再び拳の一撃を打つ為に走り出す。
そして俺もワンテンポ遅れてスキルを発動する。
「アタック!!」
俺はチルの下に赤ラインを敷く。
「アームズ……」
チルは拳を握り込み小型の腹部にアッパー気味の一撃を入れる。
小型はチルの一撃を食らった後暴れつつ、一度距離を取った。そして暫くの間警戒する様にこちらの様子を見てから脅威度の高いチルに尻尾を使った攻撃をする。
先程まではこの攻撃を避けるのに必死でチルの攻撃が止まってしまっていたが今回は違った。
「ほっほっほ。薄汚れた虫の分際で主人に攻撃など生意気な」
魔族は素早く移動してチルに迫って来た尻尾を大盾で受け流す。
「ありがとう! アトス様、連続で行きます!」
「おう! アタック!」
そして、チルは赤ライン上で連続で小型に向かって拳を振るう。
俺のスキル効果で強化された攻撃は小型にでさえ相当効いていた。
「いっけッーチルちゃん!」
チルは同じ箇所に何度も拳を打ち込む。
小型も必死にチルを引き離そうと攻撃をして吹き飛ばそうとするが、その度に魔族が鉄壁の防御で守ったり、受け流していたり、チルが攻撃を避けたりする。
「ほっほっほ。小型の分際で私の主人に攻撃を通すつもりは無い一切無い!」
盾で防御する度に硬いもの同士がぶつかり合う様な鈍い音だったり高い音が鳴り響く。
チルは魔族が防御したり、自身で攻撃を避けたりする度に小型に連撃を放つ。
「こ、これいけるんじゃねぇか?」
少し離れた場所でオーク族の長であるディングが呟く。オーク族の攻撃は一切効かない為途中からは戦闘の邪魔になる為遠くに避難してもらっていた。
「チルちゃん、頑張れー!」
「獣人の嬢ちゃん、いけ!」
ロピに続きオーク達までもがチルの攻撃に期待して応援をする。
「ほっほっほ。流石私の主人、人気ですね」
「あんまり、嬉しくない……」
「それではチル様、もう少し頑張れそうですかな?」
「うん!」
それからは小型に対してチルは何度も攻撃を繰り出す。
そして、とうとう小型は動かなくなった。
「勝った……?」
小型が動かなくなりチルは呟く。そしてオーク族達がいきなり騒ぎ出す。
「うぉーー!! 獣人の嬢ちゃんすげー!」
「「あの攻撃はヤバかったよなー、」」
「小型を一人の攻撃で倒すってヤバくね……?」
「だよなー!」
オーク達は一人で小型を倒した事に相当興奮している。
「ほっほっほ。流石チル様、小型を見事討伐致しまたね」
「チルちゃん! 凄すぎてお姉ちゃん気絶しそうだよ!」
ロピはチルに抱き着き身体を揺さぶる。
「ね、姉さん痛いよ」
「あ! ごめーん。でもチルちゃん小型倒しちゃったんだよ!」
「チル様は、もっと喜んでもいいと思いますよ?」
「そうだよ! 魔族さんの言う通り!」
「そうかな……?」
ロピと魔族はチルを褒め称える。そしてチルは恥ずかしそうにしているが、やはり嬉しいのかハニカミながら俯いている。そして俺の所まで早々と来て目を見て言う。
「今回勝てたのはアトス様のお陰です、ありがとうございました」
チルは頭を深々と下げて俺にお礼を言ってきた。
なんていい子なんだ……。俺がチルにした事なんて攻撃力を上げるサポートをしたくらいなのに。
こんなに良い子に育ってくれて嬉しい……。俺は若干泣きそうになりながらも、チルの頭に手を乗せて撫でた。
「えへへ」
頭を撫でた途端にチルは笑顔になり俺が撫でやすい様に頭の位置を更に下げた。
「うー。いいなー……でも今回はチルちゃん大活躍だったし我慢我慢」
しばらくの間チルの頭を撫でて居て、やがてチルが頭を上げる。
「アトス様のスキルがあればこそ、あそこまで攻撃力が上がり小型に通用する程の力を得る事が出来ました!」
「そうか。まぁ、今回はみんな頑張ったよな」
「はい。私もそう思います!」
「お兄さん! チルちゃん! 頑張っている中には私も入っているよね!?」
「「……」」
「なんでそこで無反応!?」
そんなこんなで三人で少し戯れていたら、魔族が会話に入ってきた。
「チル様、そろそろ私の事も紹介して頂ければ」
「リガス! そうだね。アトス様、姉さん、話したい事が!」
「ほっほっほ。どうやら痛覚を多少遮断する効果もあるようですな」
そう言って、魔族は小型の目の前で盾を構えた。
「それでは、第一の盾をお見せしましょうか」
魔族は構えていた盾を地面に突き刺し唱える。
「カネルッ!!」
先程まで持っていた大盾が更に大きくなり、魔族の身体をスッポリと隠す。そして、小型が盾に向かい体当りする。
接触の瞬間金属同士がぶつかり合う様な音が鳴る。
そして、信じられない事が目の前で起きた。
「嘘だろ……」
「魔族さん、凄い……」
俺とロピは開いた口が塞がらなかった。なんと魔族は大盾一つと自身の身体一つで小型の体当りを真正面から受け止めたのである。そして今も小型と鍔迫り合い状態を保ったままその場で耐えているのだ。
「──ッチル様! 今ですぞ!」
俺ら二人とは違ってチルは驚きながらも魔族の言葉にすぐ反応して小型の腹部に再び拳の一撃を打つ為に走り出す。
そして俺もワンテンポ遅れてスキルを発動する。
「アタック!!」
俺はチルの下に赤ラインを敷く。
「アームズ……」
チルは拳を握り込み小型の腹部にアッパー気味の一撃を入れる。
小型はチルの一撃を食らった後暴れつつ、一度距離を取った。そして暫くの間警戒する様にこちらの様子を見てから脅威度の高いチルに尻尾を使った攻撃をする。
先程まではこの攻撃を避けるのに必死でチルの攻撃が止まってしまっていたが今回は違った。
「ほっほっほ。薄汚れた虫の分際で主人に攻撃など生意気な」
魔族は素早く移動してチルに迫って来た尻尾を大盾で受け流す。
「ありがとう! アトス様、連続で行きます!」
「おう! アタック!」
そして、チルは赤ライン上で連続で小型に向かって拳を振るう。
俺のスキル効果で強化された攻撃は小型にでさえ相当効いていた。
「いっけッーチルちゃん!」
チルは同じ箇所に何度も拳を打ち込む。
小型も必死にチルを引き離そうと攻撃をして吹き飛ばそうとするが、その度に魔族が鉄壁の防御で守ったり、受け流していたり、チルが攻撃を避けたりする。
「ほっほっほ。小型の分際で私の主人に攻撃を通すつもりは無い一切無い!」
盾で防御する度に硬いもの同士がぶつかり合う様な鈍い音だったり高い音が鳴り響く。
チルは魔族が防御したり、自身で攻撃を避けたりする度に小型に連撃を放つ。
「こ、これいけるんじゃねぇか?」
少し離れた場所でオーク族の長であるディングが呟く。オーク族の攻撃は一切効かない為途中からは戦闘の邪魔になる為遠くに避難してもらっていた。
「チルちゃん、頑張れー!」
「獣人の嬢ちゃん、いけ!」
ロピに続きオーク達までもがチルの攻撃に期待して応援をする。
「ほっほっほ。流石私の主人、人気ですね」
「あんまり、嬉しくない……」
「それではチル様、もう少し頑張れそうですかな?」
「うん!」
それからは小型に対してチルは何度も攻撃を繰り出す。
そして、とうとう小型は動かなくなった。
「勝った……?」
小型が動かなくなりチルは呟く。そしてオーク族達がいきなり騒ぎ出す。
「うぉーー!! 獣人の嬢ちゃんすげー!」
「「あの攻撃はヤバかったよなー、」」
「小型を一人の攻撃で倒すってヤバくね……?」
「だよなー!」
オーク達は一人で小型を倒した事に相当興奮している。
「ほっほっほ。流石チル様、小型を見事討伐致しまたね」
「チルちゃん! 凄すぎてお姉ちゃん気絶しそうだよ!」
ロピはチルに抱き着き身体を揺さぶる。
「ね、姉さん痛いよ」
「あ! ごめーん。でもチルちゃん小型倒しちゃったんだよ!」
「チル様は、もっと喜んでもいいと思いますよ?」
「そうだよ! 魔族さんの言う通り!」
「そうかな……?」
ロピと魔族はチルを褒め称える。そしてチルは恥ずかしそうにしているが、やはり嬉しいのかハニカミながら俯いている。そして俺の所まで早々と来て目を見て言う。
「今回勝てたのはアトス様のお陰です、ありがとうございました」
チルは頭を深々と下げて俺にお礼を言ってきた。
なんていい子なんだ……。俺がチルにした事なんて攻撃力を上げるサポートをしたくらいなのに。
こんなに良い子に育ってくれて嬉しい……。俺は若干泣きそうになりながらも、チルの頭に手を乗せて撫でた。
「えへへ」
頭を撫でた途端にチルは笑顔になり俺が撫でやすい様に頭の位置を更に下げた。
「うー。いいなー……でも今回はチルちゃん大活躍だったし我慢我慢」
しばらくの間チルの頭を撫でて居て、やがてチルが頭を上げる。
「アトス様のスキルがあればこそ、あそこまで攻撃力が上がり小型に通用する程の力を得る事が出来ました!」
「そうか。まぁ、今回はみんな頑張ったよな」
「はい。私もそう思います!」
「お兄さん! チルちゃん! 頑張っている中には私も入っているよね!?」
「「……」」
「なんでそこで無反応!?」
そんなこんなで三人で少し戯れていたら、魔族が会話に入ってきた。
「チル様、そろそろ私の事も紹介して頂ければ」
「リガス! そうだね。アトス様、姉さん、話したい事が!」
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる