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第1章
30話 シクの決意……
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「──ッアトス、逃げるぞ!」
「あ、あぁ!」
目が覚めたら、小型が目の前にいた。
クソ! 俺のせいだ……。俺が居眠りなんてしなかったら……。
「──ッ何をボーッとしている!」
シクは俺の襟首を引っ張って逃げ出す。
だが、ここまで近づかれるとシクはともかく、俺は体力が尽きた時点で食われるだろ……。
だが、俺は諦めずに逃げる。
今までの訓練のお陰か、モンスター相手でも、先読みが出来そうだ!
俺の先読みはモンスターが通るルートが光るのだ。なので光っている所とは別の方向に逃げる。
「アトス、どうだ? 先読みは出来そうか?」
「大丈夫だ! 問題無く出来ている。だけど、俺の体力が尽きたら追いつかれる!」
「……」
シクは苦虫を潰した様な顔をする、
今回の小型は、なんだか早い様な気がするし、今までの小型よりも大きく見えるな……。
そんな事を考えながら、俺はどうにかして逃げ切れないか考える。
「アトス、私が小型の注意を惹きつけてみる」
そういうと、シクは拳に炎を纏わせて小型の死角に回り込み攻撃を試みた。
ドス!
鈍い音が鳴ったが、小型は全く効いてない様だ。
だが、シクが攻撃した後はシクに狙いを定め追ってくる様になった。
クソ! またシクに迷惑を掛けている……。
自分の不甲斐無さに怒りを覚えつつも、なんの力も無い為逃げるしか方法が無い。
それから、しばらく逃げ続けているが、小型はずっと追い続けてきている。俺自身、そろそろ体力が限界だ……。
「はぁはぁ」
「アトス、平気か?」
「はぁはぁ……、大丈夫だ……」
「……」
シクが思いつめた顔でこちらを見ている。
俺が居なかったら、シクは小型を巻いて逃げ切れている。
だが、俺がいる事によってシクは置いていけないのが現状だ……。
俺は決心する。
「シク! 俺が小型を惹きつけて逃げるから、シクは全力で別の方向に逃げてくれよ! シク一人なら逃げ切れるだろ!」
今まで大切に育ててくれたシクだけは絶対守りたい!
「まったく……。お前って子は。本当に立派に育ってくれて誇りに思うよ。」
シクが笑った!?
俺はシクが笑ったのを始めて見た。そして、こんな状況にも拘わらず凄い綺麗だと思ってしまった……。
「アトス、お前は私の宝だ。あった時から。そしてこれからも」
シクは慈愛に満ちた顔で俺の方に向きながら言う。
「お前と過ごしたこの十年間は本当に幸せだった。出来る事ならずっと見ていきたかったが、どうやらここまでのようだな……」
な、何を言っているんだ?
「アトス、これからも訓練を続けろ。そして、誰よりも幸せに生きてくれよ……」
シクは最後に笑ってから、いつもの様に鋭い表情になり、小型に向かって逆走した。
そしてシクが拳に炎を纏わせて小型を殴る。シクの纏う炎は今まで見たどの炎より大きく熱かった。
「小型風情が! 私の宝物を傷つけるんじゃない! こっちに来い!」
そう言って、シクは俺とは別方向に向かって、小型を引き連れながら逃げた。
「──ッシ、シク! 待ってくれ! 置いていかないでくれ!」
「アトス。私の宝物。幸せになれ……」
最後に言葉を残しシクと小型の姿が見えなくなった。
俺は全力でシクを追いかけたが、体力の限界などもあり追いつけず、気づいたら足が止まっていた。
クソ……。俺が弱いから! シクは自分を犠牲にして小型を引き連れて逃げた。
いつのまにか、俺は泣いていた……。
「ヒック……。クソ……。シク……弱くてゴメンな……」
いつまで経っても涙が止まらない。
自分の弱さ、不甲斐無さ、そして自分の親との別れ……。
俺は諦め切れず、シクが逃げていった方向に向かい歩き出す。
「あ、あぁ!」
目が覚めたら、小型が目の前にいた。
クソ! 俺のせいだ……。俺が居眠りなんてしなかったら……。
「──ッ何をボーッとしている!」
シクは俺の襟首を引っ張って逃げ出す。
だが、ここまで近づかれるとシクはともかく、俺は体力が尽きた時点で食われるだろ……。
だが、俺は諦めずに逃げる。
今までの訓練のお陰か、モンスター相手でも、先読みが出来そうだ!
俺の先読みはモンスターが通るルートが光るのだ。なので光っている所とは別の方向に逃げる。
「アトス、どうだ? 先読みは出来そうか?」
「大丈夫だ! 問題無く出来ている。だけど、俺の体力が尽きたら追いつかれる!」
「……」
シクは苦虫を潰した様な顔をする、
今回の小型は、なんだか早い様な気がするし、今までの小型よりも大きく見えるな……。
そんな事を考えながら、俺はどうにかして逃げ切れないか考える。
「アトス、私が小型の注意を惹きつけてみる」
そういうと、シクは拳に炎を纏わせて小型の死角に回り込み攻撃を試みた。
ドス!
鈍い音が鳴ったが、小型は全く効いてない様だ。
だが、シクが攻撃した後はシクに狙いを定め追ってくる様になった。
クソ! またシクに迷惑を掛けている……。
自分の不甲斐無さに怒りを覚えつつも、なんの力も無い為逃げるしか方法が無い。
それから、しばらく逃げ続けているが、小型はずっと追い続けてきている。俺自身、そろそろ体力が限界だ……。
「はぁはぁ」
「アトス、平気か?」
「はぁはぁ……、大丈夫だ……」
「……」
シクが思いつめた顔でこちらを見ている。
俺が居なかったら、シクは小型を巻いて逃げ切れている。
だが、俺がいる事によってシクは置いていけないのが現状だ……。
俺は決心する。
「シク! 俺が小型を惹きつけて逃げるから、シクは全力で別の方向に逃げてくれよ! シク一人なら逃げ切れるだろ!」
今まで大切に育ててくれたシクだけは絶対守りたい!
「まったく……。お前って子は。本当に立派に育ってくれて誇りに思うよ。」
シクが笑った!?
俺はシクが笑ったのを始めて見た。そして、こんな状況にも拘わらず凄い綺麗だと思ってしまった……。
「アトス、お前は私の宝だ。あった時から。そしてこれからも」
シクは慈愛に満ちた顔で俺の方に向きながら言う。
「お前と過ごしたこの十年間は本当に幸せだった。出来る事ならずっと見ていきたかったが、どうやらここまでのようだな……」
な、何を言っているんだ?
「アトス、これからも訓練を続けろ。そして、誰よりも幸せに生きてくれよ……」
シクは最後に笑ってから、いつもの様に鋭い表情になり、小型に向かって逆走した。
そしてシクが拳に炎を纏わせて小型を殴る。シクの纏う炎は今まで見たどの炎より大きく熱かった。
「小型風情が! 私の宝物を傷つけるんじゃない! こっちに来い!」
そう言って、シクは俺とは別方向に向かって、小型を引き連れながら逃げた。
「──ッシ、シク! 待ってくれ! 置いていかないでくれ!」
「アトス。私の宝物。幸せになれ……」
最後に言葉を残しシクと小型の姿が見えなくなった。
俺は全力でシクを追いかけたが、体力の限界などもあり追いつけず、気づいたら足が止まっていた。
クソ……。俺が弱いから! シクは自分を犠牲にして小型を引き連れて逃げた。
いつのまにか、俺は泣いていた……。
「ヒック……。クソ……。シク……弱くてゴメンな……」
いつまで経っても涙が止まらない。
自分の弱さ、不甲斐無さ、そして自分の親との別れ……。
俺は諦め切れず、シクが逃げていった方向に向かい歩き出す。
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