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第1章

25話 引越し計画

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 二日連続で小型の気配を察知した日からしばらく経った。
 俺とシクは、あの日から何度もモンスターの気配を感じた。

 あの時感じた、とてつもない気配はあれから感じた事は無いが、どうやらここらへんにモンスター達が集まってきているらしい。

 「アトス、今日は大事な話がある」

 常に表情が鋭いシクだが、今日は一段と鋭い。何か俺したかな? 少し心配しながらも、シクの次の言葉を待つ。

 「住処を移そうと思っている」
 「どこか別の場所って事か?」
 「あぁ、最近モンスターの気配が多すぎる。このままではいつ、この場所にモンスターが来るか分からないからな」
 「確かに。賛成だ! いつ引っ越す予定なんだ?」
 「明日移動する。なので今日中に準備するぞ」
 「どこら辺に向かう予定なんだ?」
 「適当だ。良さそうな場所が見つかるまで移動するつもりだ」

 ──ッ適当かよ!? だが、どこが良いなんて確かに分かるはずもないよな。
 シクも十歳頃からここに住んでいると言っていたしな。
 なんで、十歳で? と思ったが色々事情があるような雰囲気があり、とてもじゃ無いが深くは聞かなかった。

 「モンスターが全然居ない場所がまた見つかるかな?」
 「どうだろうな。ここみたいな場所が見つかればいいな……」

 シクは感情深く住処を見ていた。

 やっぱり、今まで住んでいた場所を移すのは何かしら思うところがあるんだな……。

 「シク、ここみたいな良い所見つけような!」
 「そうだな。まずは人が少ない場所や住んでいない場所を見つけよう」

 モンスターは人が多い所に集まる。今回も恐らく冒険者達が来た事によってモンスター達が察知して集まってきたんだろうか?

 「シク、あの冒険者達は無事かな?」
 「身体強化持ちや、足の早い人間以外はモンスターに追いつかれる。倒せるなら問題ないが、倒せないなら恐らく無事では無いだろ」

 モンスターは無尽蔵の体力を持っているかのごとく追いかけてくる。
 同じスピードだった場合は人間達の体力が先に尽きる。

 四年前は正に俺の逃げるスピードと小型のスピードが同じくらいだった為体力が尽きて追いつかれた。

 今なら、小型よりは早く走れるので問題無いとは思うが。

 「無事ならいいな」
 「あいつらがそもそもこの場所近付にいた事によってモンスターが集まって来たんだ。どうなろうが関係ないさ」

 確かに……。そうとも言うな。
 シクは冒険者達のせいでモンスターが集まって来た事を思い出したのか、険しい表情をしている。

 「シ、シク? ここは最後の晩餐として豪勢にいこうぜ!!」
 「鹿、猪、鳥のフルコースにするか」
 「そ、そうだね……」
 「よし、そうと決まったら料理の支度をするか。アトス手伝いなさい」

 そう言ってシクは手早く料理の準備を始める。
 次に住む場所では、他の食材なども豊富な場所がいいぜ!
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