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偽りはいつか夢へ現実へ

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「...大丈夫、もう無理はしなくていいよ...」
その言葉がマリアの心に突き刺さった。
自分は今まで無理をしていたのかも
しれない。自分の心に嘘をついていたのかも
しれない。そう思い始めた。
「...無理...してたのかな?私は嘘を
ついていたのかな?...」
「いいえ...嘘をついていたわけじゃ
ありません。素直にならずにいただけです」
「だから...それが嘘をついていたって
事なんだよ?...」
「...それは...どういう意味でしょうか?」
「自分の心に大丈夫大丈夫...って
そうやって言い続けて自分を騙して嘘を
ついていたって事だよ?私...たまに思うんだ
自分の心に嘘をつくってどれだけ馬鹿で
惨めなんだろうな?って...
だって嘘ついたって自分は気づいてて
それを知っていても、分かっていても
また嘘をつく。それってとても格好悪い
じゃん?」
マリアは自分の思っていること、
考えていることを全部リアスの耳元で
呟いた。全てを言い切った。彼女は自分の
心を読めている。私の心情だって
分かってる。それを承知の上でリアスに
言った。
「...そう...なのかも、しれませんね?」
リアスは時折言葉をつまらせながらそう
言った。
「...でしょ?だから私ってもう無理を
しなくていいのかな?」
マリアが自分がしたいことを述べると
「...しばらくここから一番近い町に身を
おきましょう。少しそこでこの現実から
目を背けましょう。」
リアスは悪魔の囁きのような言葉を呟いた。
「...うん...そうしよう...」
リアスはようやくマリアの本心を見られた
ような気がして安心した。

翌朝、アリスが目を覚ますとマリア達は
荷物をまとめていた。その時はまだ
いつもの一日が始まる。また永遠と
手がかりが見つかるまで歩き続ける
日が始まるそ思っていた。
「...よし!近くの町に行くぞ」
だからマリアがそう言った時には驚いた。
「え?...昨日みたいな毎日は?」
「しばらくないぞ!町についたらまず身分を
隠そう!デュアルの王族だなんて言ったら
みんなが敬い始めるからな?そしたら
次は学校に行こう。私はもうこりごりだが
アリスは言った事ないだろ?
まだ少しアリスには早いかもしれないが
行かないよりかは行った方が絶対楽しい。
アリスが一人は嫌だっていうなら私も
入学する。リアスは私達のお義母さんに
なってもらう。いいか?これからは
リアスって呼ぶんじゃなくお義母さんって
呼ぶんだぞ?分かったか?」
「...うん...でもどうして急に?」
昨日の空気とは一転これからの話を
楽しそうに話すマリアがとても不思議
だった。昨日まではずっと未来の話なんて
せずに目の前の敵を、目の前の壁を越えようと、倒そうと努力していた。
「...もういいんだ。お姉ちゃん疲れたから
ちょっと休ませてくれ」
「それじゃ...マリアそろそろ行こうか?」
「うん!お義母さん」
「何アリスもぼけーっとしてるの?早く
行くわよ?」
その情景にアリスは昨日までは
夢だったのか?と疑う程だった。
「...うん!」
だが、アリスもそう答えて二人の影を
追った。

リアスは仮にもこの幼い姿をしたマリアに
現実を見せるのは心が痛んだ。無論、
アリスにもだ。だからしばらく必ず
明日のある未来を見せよう...そう考え
歩いた。
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