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廃屋に逃げこんだ三人

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廊下が火の海の中、リアスはマリアを抱いて
走ってきていた。
「何があったの?」
まだ幼いアリスがそう聞くと
リアスはにも答えずにアリスも抱えて
城を後にした。城を出た頃は城一つが
燃えていた。だが、次の瞬間、
何処かのガスに引火したのだろうか
城が爆発した。
「...え?」
アリスから出たその言葉と同時に
リアスはまた走った。走って走って
走り続けた。その末、アリス達が
たどり着いたのは一つの廃屋だ。
中に入るとそこには誰もおらず、
一歩歩く度にキシキシと床が悲鳴をあげた。
「リアス、何があったの?」
アリスがそう聞くとリアスは
「見たら分かりましたよね?城が燃えた
のです」
そう言ってきた。
「パパとママは?救えなかったの?」
アリスがまたそう聞くとリアスは悔やむようにして目を背けた。アリスもそれ以上
詮索せずに夜を迎えた。

満月が昇りきった夜。その頃にはアリスは
一日の疲れで眠り、マリアは目を覚ました。
目を覚ますとそこには眠っているアリスしか
いなかった。マリアはリアスを探そうと
小屋を出た。するとそこには月明かりに
照らされて、その月を眺めるリアスがいた。
その黒髪は月の明かりを反射していた。
リアスはマリアがいることに気づいたのか
不意に後ろを振り向いた。
「...何で町中の皆助けなかったの?」
マリアがそう聞くと
「あれが精一杯でした」
リアスがそう答えた。
「なんで?チートなメイドなのになんであれが出来ないの!?」
マリアはそう言ってリアスの近くに行き、
リアスを下から睨み付けた。
「...すいません」
リアスはそう言ってマリアの背丈まで
しゃがみこんだ。その姿は惨めで
今までの完璧なメイドとは違った。
「...殴りたいなら殴ってください」
そうリアスは言ったが、マリアは
さすがに気が引けて、小屋に戻った。
その夜はリアスは泣き続けた。
だがマリアはその姿は見まいと思い、
まだ眠りについた。

翌日、マリア達が起きたのは
太陽が昇りきった昼頃だ。
リアスは泣き止み、マリアが起きた頃には
いつも通り、ただ家の隅でマリア達が
起きるのを待っていてくれた。
それには少し安心した。だがその時、
「...ママ、いつになったら会えるの?」
アリスが寝言でそう言っていた。
その瞳からは涙が流れていた。
その涙は床に一粒一粒落ちていた。
その涙を落とさないようにしてマリアは
そっとアリスを撫でた。
するとアリスは目覚めた。夢の事は覚えて
おらず、
「なに?」
と聞いてきた。マリアもそれにこたえるようにして
「...いいゃ、なんでも」
そう呟いた。
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