R-指定ロリっ娘彼女

いまち サク

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紗奈と凌央と美琴

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紗奈はホームルームが終わったあと、
凌央と一緒に廊下へ出た。
廊下には思ったより人が多く
話しずらかった。
「...ちょっと移動するか」
凌央は紗奈にそう言って廊下を歩いた。
『小学生の頃はちゃんと...手、繋いで
くれたのに...』
紗奈は密かにそう哀しんだ。

凌央と紗奈は屋上に移動した。
「なんで転校してきた?」
凌央のその言葉から話題は始まった。
「えへへ、ダメだった?」
紗奈は凌央にそう問いかけた。
「いや...駄目じゃないけど」
凌央は紗奈にそう言って屋上から
町の方を見た。
「ならいいじゃん」
紗奈はそう笑顔で答えた。
「いや...でもさ、気になるから言えよ」
凌央は紗奈にそう更に問いかけた。
「うん、いいよ!っていっても理由は
ただ故郷でまた学び直したいってだけ
だけどね」
紗奈はそう答えた。
「紗奈は昔からなにかと不思議な事を
するよな」
凌央はそう答えた。
紗奈はそれを自分が言った言動と
受け取った。
「えへへ、そうでしょう」
紗奈はそう答えた。紗奈は頬を軽く
掻いた。
だが凌央が言ったのは、そう言う事
ではない。紗奈はこの期に及んで嘘を
ついている。凌央はそれを見破ったのだ。
そんな紗奈に少し苛立ちを覚えた。

美琴は見てしまった。二人が一緒に
教室を出ていく所を見てしまった。
美琴にはとてもじゃない二人が友達には
見えなかった。
だが、廊下に出たと思えば、すぐに
階段を昇っていた、それが現状だ。
それがどういうことなのか、
美琴には分からなかった。
その先も追おうとした美琴だが足が
動かなかった。動けなかった。
美琴は二人の関係を知ったあと、
いつも通り凌央とは彼氏と彼女の関係を、
紗奈とは仲の良い友達を演じきれるのか、
美琴はそれが不安で仕方がなかった。

凌央は紗奈と話したあと、すぐに
美琴のもとへ戻った。
その時の美琴はとても悩ましい顔を
していた、
「...どうした?」
凌央は美琴にそう聞いた。
「いいや、なんでもない」
美琴は二人の関係を聞かずに
自分の心を誤魔化した。
また一人になるかもしれない。
それでも今は何も聞かずに
何も触れずにこの現状を打破したいと
考えた。
凌央は美琴の本意に気づけなかった。
「...あぁ、そうか、まぁ体調が
悪いならすぐに保健室に行けよ」
凌央はそう言って美琴の肩を軽く叩き、
席に戻った。
「...私の馬鹿」
美琴は教室のドアの前で軽く下唇を噛み、
密かに泣いた。
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