R-指定ロリっ娘彼女

止まった歯車

凌央は学校を休み始めてから一ヶ月がたった
その間は凌央は美琴の事ばかりが頭に
浮かんだ。考えたくもない美琴の事が頭に
浮かんだ。
｢...せこいっつぅの｣
そう嘯く日々が続いた。
自分の心にも正直になれず、あの時
｢...愛してた｣
と言っていた自分が馬鹿馬鹿しくなった。
さらに美琴の言葉を遮るように出ていった
自分の行動にも腹が立った。
だが今の凌央には相談する相手もいなければ
家には家族もいない。母とは仲がいいが
父と兄とは仲が悪かった。
父と兄からは自分に対する愛が
感じれなかった。それが理由だ。
泣いても助けてくれない。それが
まだ幼かった凌央には苦しく、
恐ろしいものだった。
だが母だけは違った。どんなに怖くても
母だけは助けてくれた。
それだけが凌央から見たら唯一の愛だった。　

美琴は比較的恵まれた存在だと思う。
家に帰ればご飯があり、それが当たり前の
事だと思っていた。
だから凌央の気持ちが分からなかった。
だけど、自分の恋が空振りに終わった事だけ
は分かった。美琴が振られた時の凌央の
悲しそうな顔だけは忘れられなかった。
美琴は凌央の事を何とかしてあげたかった。

二人の感情はまるで動かない、いや
動けない歯車のようなものだった。
それがいつまでも止まり続ける姿を
見たくない人がいた。

ある日、美琴の家に来客が来た。
｢美琴、話があるんだけど...｣
家に来たのは奈美だった。
｢...ずいぶんやつれてるね｣
美琴の顔を見た奈美は思わずそう言って
しまった。
｢家にあがって...｣
美琴は奈美を家に誘った。

｢美琴はさぁ、凌央の事をどうしたいの？｣
と美琴に聞いた。
｢...何って？そりゃもちろん仲良くなりたい｣
美琴は少し自分の心に気づいたのか
｢だったら嘘をつかずに素直にごめんねって
書きなよ｣
と奈美が美琴にそう助言した。
｢分かった！｣
そう言った美琴は翌日からすぐに
計画帳に
｢ごめんね｣
と書くことにした、その思いが届かなくても
自分の気持ちを伝えられた事に美琴は満足した。