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復讐編

第44話 復讐編 『キャサリンVSジャック』

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 我狼戦闘技術・・・それはジャックがマモンに師事し生み出した格闘術だ。

 その超スピードを生かした格闘術で、人狼であるジャックにしか使えない、ジャックのためだけの格闘術だ。

 まあ、マモン様もちゃっかり使えたりするから、マモン様は例外である。



 「今一度名乗ろう。オレの名は『シルバーウルフ』、これから貴様を葬り去る男の名だ。冥土の土産に覚えておくが良い。」

 「ふふふ・・・。背筋が凍る思いだわ。あなた・・・お強いのねぇ。」

 「では・・・行くぞっ!!」

 「来なさい!」



 瞬速からの抜き手!!

 ジャックはその超スピードを活かし、キャサリンの背後を一瞬で捉えた。

 さっきまで対峙していたジャックの位置にはあまりのスピードのため、まだその残像が残っていたほどだ。



 その上で背後からの抜き手・・・。まさしく殺しの技。ジャックの精神はその幼き頃のギラついた精神へ戻っていた。

 人を食らう狼・・・人狼そのものになるのがジャックの能力『月と狼の誓い』なのだ。

 「残影・牙烈掌!!」

 キャサリンはしかし、一瞬で対応した。だが、避けきることはできなかった。

 前に転がるようにかわしたキャサリンだったが、その背中に傷を負ってしまった。



 「くっ・・・殺す!!」

 思わず出た。クッコロさんである。キャサリンはそして、その前に転がって反転した瞬間、部屋の壁を蹴り、反動で勢いをつけ、蹴りを放ってきた。

 ジャックはそれをあっさり、かわしまた残像を残し、キャサリンの背後に回る。

 「残影・牙扇!!」



 今度は両の手を扇に見立て、左右に恐るべき勢いで開く。その様が扇のようだったからこの技の名がつけられた。

 そして、人間を越えるジャックのその肉体から放たれる技は、真空を生み出し、真空波がその扇から幾重にも襲いかかる。

 「我流暗殺格闘術・壱時!!」

 なんと、キャサリンはその身体を一瞬で上空に舞い上がらせ、逆にジャックの背後に回り込んだのだ。

 こちらもおそるべきスピードとその身体能力だ。



 しかも、その回り込むその動きは、あたかも時計の針が逆回転するかごとく、そして、その中心にいるジャックの身体に、衝撃波が襲いかかる。

 ジャックもこれにはたまらず、また残影の技でもって、距離をとった。

 キャサリンはその顔や身体を真空波で斬られて血を流しながら、一時的に肉を斬らせて骨を断つ攻撃に転じたのだった。

 額から血がつーーっと垂れてくるのをその舌でなめながら、キャサリンはジャックに言う。



 「壱時・・・私の死の時刻を躱すだなんて・・・ますますゾクゾクするわね。」

 「オレもまさか、残影・二連撃を躱されるとはな、ちょっと驚いたよ。ただの人間がこのオレの速度についてこられるとはな。ビヨンド能力・・・奥が深いな。」

 「だけど、私の死の時刻・・・カウントダウンは始まった。この能力の前にあなたは生きてはいられないのよ。」

 「ふふふ。銀の狼は不死身だって、知らないのかな?」

 「おだまりなさい! 死ぬのよ!」



 今度はキャサリンの方から仕掛けた。

 キャサリンの身体が、先程の技『独楽』の如く、鋭くまわり、その先端の蹴り足がドリルのように、そしてその全身の動きはまるで大空にかかった虹のように弧を描き、勢い加速しジャックへ襲いかかった。

 「我流暗殺格闘術・弐時!!」



 これは躱そうと思えば躱せそうなたぐいの攻撃だった・・・が、ジャックが右に躱した瞬間、続いて襲いかかる手刀の動きがまるで回転する独楽から繰り出されたのだ。

 これはさすがのジャックも虚を突かれたが、なんとその手刀の回転のその隙間を単純なスピードで前へ出て躱したのだ。

 地面を激しくその回転でえぐり取り、回転を止めたキャサリンがジャックに振り返り、構えをとり思わずつぶやく。

 「とんでもないわね。私のこの超スピードから繰り出された手刀の回転のその隙間をくぐり抜けるほどの超スピードだなんて。」



 「じゃあ、次はどうかしら?」

 そう言って一瞬にしてジャックの眼の前にまるで瞬間移動したかのごとく超速移動したキャサリン!

 「我流暗殺格闘術・惨時!!」

 キャサリンのまるでショットガンのように繰り出される拳打の連打が嵐のようにジャックに襲いかかる。



 ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!

 ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!ガンッ!ガシッ!ガツンッ!

 ものすごい数の拳打の応酬でジャックもそれに応える。

 衝撃波が互いの顔を切り裂く。が、どちらも譲らない・・・。これが超速同士の戦いだと言わんばかりに・・・。



 「ぷぅーーっ!!」

 ジャックが瞬間、その場から離れて息をつく。

 「くぅーーーっ! っやしいわね。今の参時で倒せないだなんて。大惨事にならなくてよかったわね?」

 「いやぁ、そうでもないぞ? オレの拳も傷んだみたいだ。ま、そちらも同じだけどな。」



 お互いの拳同士をモロにぶつけあった結果だ。やはり、お互いの拳を痛めてしまったようだ。

 「ええーーい! いくわよ!? 我流暗殺格闘術・夜時!!」

 キャサリンがそう叫んだかと思うと、身をよじるように異常な角度に身体を捻ったかと思うと、そこから遠心力を利用した最大級の威力の蹴りが右からと左からと同時に(見える)襲いかかった。



 「ぐっ・・・!!」

 ジャックはその超スピードで瞬間的に躱したはずが、そこから衝撃波がねじれるように襲いかかってきた。

 たまらず、ジャックは後方に飛び退いた。

 さすがのジャックも全身から血が吹き出す。



 「しぶといわね? 我流暗殺格闘術・悟時!!」

 チャクラをその両手の掌に最大級に集中させたキャサリン。

 それをまるで獣の顎のように上下で構え、ジャックに追い打ちをかけるように距離を詰め、一気にジャックの身体に掌底打をぶちかました。



 まるで、破壊のチャクラが何かの怪獣の口から放出されたかのように、勢いよくジャックの身体に炸裂した。

 ジャックがふっとばされ壁に叩きつけられた。ジャックももはやボロボロの状態だ。

 「怪物かよ・・・。まだこんな力を隠し持っていたとはな。」

 「うーん。イライラするわね? まだ生きてるだなんて・・・。その生命力のしぶとさ・・・。ほんっと・・・イライラするのよっ!!」



 そう言ってまたキャサリンが瞬間的に距離を縮めてきた。

 「我流暗殺格闘術・碌時!!」

 ジャックは満身創痍の状態だ。



 キャサリンの構えはさきほどの技・悟時と同じかに見えたが、そこから炸裂させた掌底打は爆発を起こした。

 ジャックはまたふっとばされ、壁に叩きつけられ、倒れ込んだ。

 「ごぼっ・・・。」

 血を口から吐き出すジャック・・・。



 「私の私の死の時刻・・・カウントダウン・・・碌時で終わりかしら?」

 キャサリンが息を切らせながらそう言った。

 やはりこれほどの大技の連発になると極限までチャクラを練り込んだらしい。

 優勢のはずのキャサリンが肩で息をしている。

 ジャックは、倒れたまま起き上がってこない。

 ジャックは遠のく意識の中、自身の心の奥底にある生命力の源泉から声が聞こえたような気がした。






 戦え―と。



~続く~


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