20 / 56
復讐編
第17話 復讐編 『悪の陰謀』
しおりを挟む僕は巨乳の謎(?)の彼女に、もう一度聞いた。
「アナタは何者なんですか?」
「んん、その前に、君はヒョウリ・イズウミ君?それとも、ミギト・イズウミ君?」
「ノーコメント!そっちが先!」
「んーーわかったよ。私は、アカリン・サン。フリーのジャーナリストだよ。」
そう言って、アカリンと名乗った女性・・・ボディラインがはっきりして巨乳の女性が電子名刺を差し出してきた。
一瞬に、プロフィール情報が僕の頭に浮かぶ、電子名刺は脳にダイレクトに情報をインプットしてくれるツールだった。
氏名:アカリン・サン
性別:フィメイル(女性)
どこにも属さないフリーのジャーナリスト。住所は、トウキョウエリアのうーん、そこから情報がぼかされているな。
年齢は、あ、これもシークレットか、でもまあ、僕とそんなに離れていないだろう・・・。
スリーサイズは90・57・88・・・えぇ・・・そこは隠してないんかい!!
「今、私は孤児院『とらっこハウス』消失事件について調べているんだよ。」
ドキン!!
僕の心臓が早く、激しく鼓動を打つようになった。
「そ、そうなんですね・・・それで、僕のところに来たんですね。」
「そうなんだよ。で、その生き残りの君に当時の状況を聞きたくてね。」
な、なぁんだ。僕がヒョウリに成り切っているのがバレたわけじゃなくて、ヒョウリかミギトかわからなかったから、そう声をかけてきたのか・・・。
ま、紛らわしんだよな・・・。
「どんなことを?警察に話したこと以外には特段、何もないんですけどね。」
「いや、警察の情報は私も聞いたよ。それ以上に気になる点があったからね、直接、話が聞きたいんだ。」
「ふぅーん、まぁ、わかりました。」
僕はそう言いつつも、警戒レベルを少し引き上げた。
ヤツラ、和流石建設の手先かもしれないと思ったからだ。
そう、あの悪魔、赤い貴公子ベリアルが、僕が生きていることは当然知っていて、接近してくることは予想済みだったからだ。
「えーと、僕は、ヒョウリ・イズウミ、俳優です。あの孤児院出身です。そう、あの日はミギトと一緒に・・・あ、ミギトも同じく孤児院出身なんですけど・・・。
そう、里帰りみたいな感じで、帰ってたんですけど・・・。」
そう言って、あの日の顛末を、赤い貴公子ベリアルについては姿を見ていないということにした警察への報告と同じように話した。
なぜ、ベリアルについて伏せたかと言うと、それについて話して、相手方に警戒され、余計に刺激するのを避けたというのが一つ。
もう一つは、ベリアルのことを知っているものが現れたら、そいつは少なくとも、何かしら関わっていると判断がつく、そう考えてのことだった。
さて、このアカリンという女性はどっちだろう・・・敵か味方か・・・。
「そう・・・だったんだね。大変だったんだね・・・。辛いことを話してくれてありがとう。そしてまずはお悔やみを申し上げておきたい。」
ん?なんだか、悪い人ではなさそうだな・・・僕の印象はかなりよくなったと思う。
「犯人については見てない・・・のか。そうか・・・。やはり、異常な事件だけど、その和流石建設は何かしら関わっていると考えるのが普通だね。」
「はい、それは僕もそう思っています。でも、証拠はない・・・んです。」
「あ、私のことはアカリンと呼び捨てにしてもらって構わないよ。私も、君のこと、ヒョウリって呼んでもいいかな?」
「それはもちろん、かまいませんよ。」
「敬語も禁止!そんなかしこまらなくてもいいよ。」
「そうですか。わかった。アカリン!よろしく。」
「うん、こちらこそ!」
「その和流石建設、調べたんだけど。事件後、あの孤児院のあった土地の権利書のキーをなぜか手に入れてたんだよね。」
「そうなんだよ。あの火事で、権利書キーなんて紛失したと思ってたので、ヤツラが手に入れることはできないと思ってたんだけど。」
「うん、そうだね。権利書キーがなければ権利譲渡はできないし、電子ロックがかかるからね。院長先生には血縁関係の人はいなかったの?」
「そう・・・キャシー先生は天涯孤独だと言っていた。僕とミギトも姓をもらったけど、養子ってわけでもなかったんだ。実は、シスターテレサは養子に入っていたと思うんですけど。」
「そっか・・・。一緒に亡くなったんだったね。シスターも。だけど、そうなると、スムーズに権利譲渡がされた経緯が、謎になるな・・・。」
「そう・・・なんだ・・・。僕は法律に詳しくはないから、わからないんだけど。」
「そうだね。血縁関係の人がいない場合、相続はできないから、その人の遺産は・・・エリア財産になる・・・ね。
ネオトウキョウエリアの行政内部に誰か黒幕がいる・・・か!?」
「なるほど。アカリン・・・。もし、なにかわかったら僕にもぜひ教えてほしい!」
僕はアカリンを信用することにした。なぜなら、もし、ヤツラと関係があるなら、そこを疑問に思うはずもないし、僕に話すことも不必要だからだ。
「うん!もちろんだよ。ヒョウリ、君もなにか思い出したり、誰かひょっとしたら接近してくるかもしれないから、何かあれば私に連絡してほしい。」
「じゃあ、電子アドに連絡ということでいいかな?」
「うん、そうだね。私は、和流石建設と権利証キーの移譲の件、あとネオトウキョウエリア役人の動向について調べてみるよ。」
「アカリンこそ、気をつけてね。ヤツラは手段を選ばない・・・。」
「大丈夫。私はこう見えて用心深いんだよ?」
そう言ったアカリンの気配が、だんだん消えていく・・・
どういうことか一瞬わからなかったが、チャクラを消したんだとわかった。
「え!? アカリン??」
僕は、わからないふりをした。そう、信用はできると思ったけど、まだ能力に付いては明かすべきじゃないと思ったからだ。
「ふふ・・・、また会おうね・・・」
そう声だけ残してアカリンの姿は完全に部屋=ボックスの中から消えた・・・。
最初から、一人で入ったかのように、後には僕一人の姿しかなかった。ドアも完全に閉じていたのに・・・。
(こ・・・これは、どういう能力だ!?隠形のチャクラか?)
アカリン・サン。謎が多いな・・・だけど、敵ではないな。そこは間違いないと確信できた。
そして、彼女は何かしら、この事件について情報を掴んでくる・・・そう、それを待ちたい。そう思った。
ナオト兄さんにも相談してみようか。
僕は、さっそく、ナオト兄さんのもとを訪ねた。
ナオト兄さんは、また、秘密の部屋に連れていき、さらに結界を張った。
そして、チャクラ念話による会話という最上級の警戒をしながら、話し合った。
「うむ、オレも和流石建設の動向を探っていて、そこは気になっていた。
さらに、オレが独自でヤツラの本社に忍び込んで調べてきたことがある。」
「ナオト兄さん、そんな危険なことしたんですか!?」
「ま、そこは大丈夫だろ。オレは強い!」
「そ、それはそうですけど・・・。僕にもそれは言っておいてほしい・・・かな。」
「すまんすまん、今度からはミギトにも伝えてから行動するよ。それは約束しよう。」
その後、ナオト兄さんが話してくれたのは、和流石建設の社長、和流石八千王についてだった。
ヤツの背後には、政治家がどうやらついているらしい。だが、その名前まではどうも掴めなかった。
ヤツは多数の政治家に絡んでいるから、特定はできないということだった。
「だが、何人か絞られているとオレは思っている。建設関係の政治家は、
阿久野・大漢(アクノ・ダイカン)か、イツキ・ブルームか、ローム・スカ・パロウか、そして、マガセ・フォーシーズンか・・・。
怪しい候補はこの四人だな、この四人全員が、バックにいてもオレはおどろかない・・・。」
ナオト兄さんが調べてくれた政治家たちは全員、和流石建設のこの孤児院跡地のショッピングセンタービル計画に一枚噛んでいて、利益を享受しているのだった。
そして、その背後に、巨大資本のゾーン財閥が絡んでいることらしいのも、おそらく間違いなさそうだと思われた。
和流石建設に資本提供しているのは、ゾーン財閥だったからだ。
「僕たちの敵は、巨大・・・ということですね。しかも、巨悪・・・。」
「そうだな・・・。しかし、オレは許せない・・・正義の鉄槌を食らわせてやる。」
「ナオト兄さん、それは僕も同じ気持ちです・・・。全貌が見えないことには、うかつに手は出せないですね。
今日来たジャーナリストのアカリンがなにか掴んでくれるといいんだけど・・・。彼女にも危険が及ぶかもしれない・・・。なんだか複雑ですね。」
「ふむ・・・。おそらく、そのアカリンという女も、ビヨンド使いだろうな。」
「やはり、そう思いますよね、兄さんも。」
「うむ。」
僕たちは、まだ身動きができない状況だった。
しかし、確実に、ヤツラは僕たちに手を出してくると思われた。
ヤツラが先に来るか、僕たちが先にヤツラに迫れるか・・・。
先を考えると、身震いしてくる僕だった・・・。
~続く~
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
The war of searching
黒縁めがね
ファンタジー
主人公、デイビッドは国同士の戦争に巻き込まれた。
デイビッドは家族を殺され、故郷を焼かれ
幼馴染のメネは攫われてしまった。
デイビッドはメネを攫った兜に羽の装飾が付いた騎士を探し、メネを探すために兵士になる…
勇者(俺)いらなくね?
弱力粉
ファンタジー
異世界で俺強えええとハーレムを目指す勇者だった... が、能力が発動しなかったり、物理的にハーレムを禁じられたりと、何事も思ったように行かない。
一般人以下の身体能力しか持ち合わせていない事に気づく勇者だったが、それでも魔王討伐に駆り出される。
個性的なパーティーメンバーたちに振り回されながら、それでも勇者としての務めを果たそうとする。これは、そんな最弱勇者の物語。
転生先は水神様の眷属様!?
お花見茶
ファンタジー
高校二年生の夏、私――弥生は子供をかばってトラックにはねられる。気がつくと、目の前には超絶イケメンが!!面食いの私にはたまりません!!その超絶イケメンは私がこれから行く世界の水の神様らしい。
……眷属?貴方の?そんなのYESに決まってるでしょう!!え?この子達育てるの?私が?私にしか頼めない?もう、そんなに褒めたって何も出てきませんよぉ〜♪もちろんです、きちんと育ててみせましょう!!チョロいとか言うなや。
……ところでこの子達誰ですか?え、子供!?私の!?
°·✽·°·✽·°·✽·°·✽·°·✽·°
◈不定期投稿です
◈感想送ってくれると嬉しいです
◈誤字脱字あったら教えてください
転生王子はセーブポイントを知っている ~俺だけ見える秘密のスポットで何回死んでもやり直せる~
天宮暁
ファンタジー
謎の敵兵による奇襲によって、人間の小国トラキリアは、その日滅亡の危機に瀕していた。
トラキリアの第三王子であるユリウスは、決死の覚悟の臣下たちに送り出され、城からの脱出を図ったが、背後からは敵の追っ手が迫ってくる。
絶体絶命の窮地に陥ったユリウス。
だが、そのときユリウスは、行く手に奇妙な「モノ」があることに気がついた。
明るい緑の光で描かれた魔法陣と、その上に浮かぶ光の玉。
淡くあたたかな光を放つそれは、この世界の住人が知るはずのないものだった。
「セーブ……ポイント」
知らないはずの言葉が口から滑り出すのと同時に、ユリウスの脳裏に異世界の知識が溢れ出す。
それは、この世界にそっくりなVRRPG「Carnage(カルネージ)」の攻略情報だった。
ゲームの知識を得たユリウスは、セーブポイントのとんでもない可能性に気がついた。
「この力があれば――何度死んでもやり直せるじゃないか!」
ユリウスは、セーブポイントの力を最大限に活用し、大事な人たちを必ず救い出すと決意する。
かくして、運命に翻弄されるはずだった小国の王子は、誰もが幸せになれる結末を目指して、セーブ&ロードをくり返す。
彼の行動はやがて、世界の命運すらも変えていく――
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる