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恐竜の街へ

第203話 恐竜の街へ『解放軍・結成』

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※『ジュラシック・シティ&ウシュマル』攻略戦




 『チチェン・イッツァ』の街には、『エルフ国』の援護の軍がすでに到着していた。

 ククルカンさんと仲が良いネオマヤ種族のテペウさん、同じくネオマヤ種族のフンアプフーさんの軍だ。

 フンアプフーさんは双子のイシュバランケーさんとともに『エルフ国』の将軍の地位についている。

 なんだか、マヤ神話で聞いたことのある名前だ。

 たぶん、オレの知識からしても強い人なんだろう。



 「それにしても、同志テペウよ、よく来てくれた。」

 「やあやあ。同志ククルカンよ。よくぞ持ちこたえた。」

 「ククルカンおじさん! お元気そうで何よりですね?」

 「ホントホント! おじさん! ピンチだったってねぇ?」


 テペウさんはクグマッツさんと仲が良いらしい。

 その横に一緒にいるのは、フンアプフーさんとイシュバランケーさんの双子の兄弟だ。

 マヤの言葉で、フンアプフーの名前は「猟師」を意味し、イシュバランケーの名前は「小さなジャグヮール(ジャガー)」を意味する。



 「皆の衆! あらためて紹介しよう! こたびの危機を救ってくれた英雄『ルネサンス』のジン殿だ!」

 「それはそれは! では、あのワールドボスクラスの『餓者髑髏』を葬り去ったというのは、そこの彼か!?」

 「ええ!? すごいすごい! ジンさんって言うの? 僕はフンアプフーさ! よろしく!」

 「へぇ? 君がジンって人か……。すごいんだねぇ? あ、僕はイシュバランケーだよ?」


 「どうも……。マヤ神話の英雄のみなさんですね? リアルに目の前にいるというのは光栄ですよ。」

 「ネオマヤ種族の英雄……、そんなふうに褒められたら照れちゃうよ!」

 「僕たちのこと知ってるの!? よかったね! フンアプフー! 僕たちも知名度が上がってきたかな?」


 まあ、オレが知っているのは、元の世界のマヤ神話からの知識なんだけどね。



 「ヒルコ! そちらがそなたの主(あるじ)、ジン様かや?」

 「ええ! クィーン様! そうです! こちらにおわすは僕のご主人さまです!」

 それは『ウシュマル』の女王(?)、ウシュマル・クィーンその人だった。

 ヒルコが『ウシュマル』の街から救出したからか、妙に仲が良いんだよなぁ……。



 「ところで、ジン殿。『ウシュマル』の情勢を調査していただいたそうだな……。ウシュマル・クィーン様? 大変な状況になりましたな。」

 「ククルカン様。本当に……。ヒルコ殿がいなかったら、今ごろ、妾は敵の手にかかって、あんなことやこんなことを……。」

 「そ……、そのとおりですね……。」

 「クィーン様! 僕がそんなことはさせないよぉ!?」

 「おお! 愛しのヒルコ・ボーイ!」



 「現在、我が『ククルカンの蜥蜴』軍のクェツパリン兵長が青ひげ男爵が残した『人ごろし城』を制圧している。」

 「ふむ。『ウシュマル』も落とされたが、北の『ジュラシック・シティ』も落とされた。ククルカンよ。目下のところ、この2つの街を取り返すことだな……?」

 ククルカンさんとテペウさんの声にネオマヤ種族の者たちも応える。
 
 「おじさん! 僕たちもどちらかに向かおうと思う!」

 「うん! 僕たちにおまかせさ!」

 フンアプフーくんとイシュバランケーくんの双子が息巻いて言った。



 (マスター! 北の『ジュラシック・シティ』のディノエルフたちを、『情報屋ヤプー』のサルガタナスさんたちが防いでくれていましたわ。)

 (そうだったな! それで、サルガタナスさんたちはどこに行ったんだ?)

 (はい。現在もまだ北の地にて防衛戦を維持しておられます!)

 (そうか……。じゃあ、すぐに応援に行かなければいけないな?) 





 「ククルカンさん! オレの仲間が北の地で防衛しているんだ……。オレたちはすぐに『ジュラシック・シティ』に向かうよ!」

 「なんだって!? そ……、それは、逆にありがたい。では、我々ネオマヤの民は、『ウシュマル』奪還に向かおうぞ! 『黄金都市』のレンミンカイネン様や、『テオティワカン砦』の者たちも、『ウシュマル』に向かっていると報告を受けている。三面からの包囲戦だ! 『ウシュマル解放軍』結成である!」

 「「おおっ!!」」

 ネオマヤ種族の人たちが賛同する。



 「ジン殿! では、私たち『法国』の防衛隊も卿らに同行しよう!」

 「アテナさん!」

 「ふっふっふ! もちろんこのオレもな!?」

 「ヘルシングさん!!」

 ああ……。アテナさんもヘルシングさんも一緒とは心強い……。



 「マスター! ワタクシももちろんご一緒いたしますわ!」

 「ああー! 僕も僕も!」

 「もちろんイシカはジン様についていくのだゾ!」

 「ホノリも一緒なのだ!」

 「我もお供いたしますぞ!?」

 みんな、オレと一緒に来てくれるのか!

 ん……?



 「あら? デモ子……。あなた、まさか逃げようと言うのではないでしょうね?」

 「いやいや! アイ様にヒルコ様にイシカ様、ホノリ様、コタンコロ様がジン様と一緒に行かれるのなら、あたしは不要じゃあないかしら!?」

 「はぁ!? サボろうというのですか……?」

 「ああ……!? 消滅プログラムが! 来てますって!? 行きます! 行きます! 行かなけりゃ逝ってしまいますわ! 違う意味で!」

 とりあえず、オレたちはみんなで向かうことになった。



 「ジン殿……。私たちのパーティーはこのまま、『メメント森』を突っ切って、『不死国』へ直接、攻め込むことにした。」

 「クー・フーリンさん! それは……危険ではないですか?」

 「ふふふ……。ジン殿に言われると、私が勇者だってことを忘れてしまいそうだよ。私はその『勇気』を国の威信をかけて示さなければならない……。」

 「遠い過去にかの『虚空の魔神』の元へ勇敢にも旅立った八人の勇者の系譜を継ぐものとして……、あたしの弟子は引くわけには行かないんだ。」

 「まあ、この兄弟子の俺がついてるからな! 問題ない! さっさと『不死国』の王を倒してこんな戦争、終わりにしてやる!」

 「私はクー・フーリン様についていくだけだわ!」

 「我が父とともに参ろう……。」

 クー・フーリンさんも、スカアハさん、、フェルディアさん、オイフェさん、コンラさんも、さすがは勇者パーティーだ。

 みんな意思が固いと思われる。



 「では……! 『不死国』でまた会いましょう!」

 オレは力強く言った。

 「うむ! ジン殿が援護に駆けつけてくる前に、首都でかの吸血鬼の真祖王ヴァン・パイア・シンを討滅してくれるぞ!?」

 「ええ! ヤツラの首都で待っていてください!」

 「ああ! 首都で!」

 「首都で!」



 ……えーと、やつらの首都、どこだっけ?

 (マスター! 彼の国『ラグナグ王国』の首都は『グラブドブドリブ』でございます!)

 (お……、おぉ……。そうだったな……。)



 「勇者クー・フーリン様。『黄金都市』のワイナミョイネン様が率いる黄金魔道士兵団が『不死国』へ向かっております。合流できれば心強いかと……。」

 「おお! ククルカン様。ありがたき助言! スカアハ師匠。行くとするか!?」

 「はいよ。じゃあ、ジン殿もご武運を!」

 「みなさん! どうかお気をつけて!」



 「オレたちも急ごう! サルガタナスさんたちが心配だ!」

 「ええ。マスター。アイ・アンダースタン!」


 青ひげ男爵のヤツを従えていたエリザベートという吸血鬼を倒したいのもあるが……。

 その前に、『エルフ国』を裏切って、『人ごろし城』と結託して、オオムカデ爺やを死地に追いやったディノエルフどもを許すことはできない。




 爺やのとむらい合戦だ!

 覚悟していろ!

 恐竜め。

 6500万年前に滅んだように……。

 再び、滅亡するがいい……。


~続く~


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