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ルネサンス黎明期

第61話 ルネサンス黎明期 『砂竜を捕獲に行こう!その1』

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霧越楼閣・周辺地図



 オレとイシカ、ホノリの3人(?)と小さなアイの分身であるミニ・アイは、ラクダバに乗って、走り続けていた。

 延々と砂漠が続くー。

 だが、暑いはずの砂漠の旅もオレにとっては快適な温度に保たれた爽やかな旅路だった。

 もちろん、超ナノテクマシンで常にエアコンディショルされているからだが、なんとも便利なものだ。



 「ちょっと、お腹空いてきたな。休憩してなにか食べよっか?」

 「イエス!マスター! では食事をご用意しましょう。」

 「ああ。そうだな。じゃあ、このあたりで。」

 「イシカ。了解である!」

 「ホノリ。かしこまりなのだ!」

 オレたちはラクダバを止めて、水を飲ませて少し休ませることにした。



 「テレテテテテ♪ テレテテテテ♪ タラタラタラタラタッタッタ♪ アイの3分間クッキング!!」

 「お! アイ! それはあの有名な某料理番組のテーマソングじゃあないか?」

 「イエス!マスター! さすがです! さ、イシカ。ホノリ。手伝ってもらいますよ! ホットドッグを作りましょう!」

 「承知したのである!」

 「うけたまわりなのだ!」

 みんながそれぞれ、手際よく料理に当たる。



 「では、材料 (4人分)用意します。

 ・ホットドッグ用パン:4個
 ・キャベツ:200g
 ・ソーセージ:4本
 ・塩:小さじ1/3
 ・爆裂コショウ:適量
 ・トマトケチャップ:適量
 ・マスタード:適量

 以上でございます。

 これを、イシカはソーセージを茹でて、ホノリはバンズを焼いてカラッとトーストしてね!

 そして、3分で……。」

 おお! なんだかすっごく手際が良い!



 「できあがりでございます!!」

 「できたであるゾ!」

 「できたのだー!!」

 あっという間にホットドッグのできあがりだ!



 「はむはむ……。うん。美味しい! さすがはアイだな。」

 「恐れ入ります。」

 「パクパク……。ところで、あとどれくらいかな?」

 「そうですね。もう7割がたの距離は進んでおります。あと、2、3時間もすれば『無名都市』に到着するでしょう。」



 「そっか。砂竜が見つかるか心配だな。」

 「そこはおまかせください。生命探知モードで周囲の地下まで300kmにわたり探索します。」

 「それは頼もしいな。じゃあ、出発するか!」

 「イエス!マスター!」

 「おおーーである!」

 「おおーなのだ!」



 そして、また砂漠の道を、延々とラクダバを走らせていると……。

 途中で砂漠のモンスター、『砂に棲むもの』が現れた!

 簡単に言えばアメリカ西部のような場所の洞窟に棲むざらざらの肌をした瘦せた忌わしいコアラのような顔を持つ怪物である。

 この原始的な種族は各地の砂漠地帯に存在する可能性がある。別名『砂漠を忍び歩くもの』。



 ざらざらな肌は水の少ない環境でも保水するためである。

 昼間は洞窟に潜んでいて夜に狩りを行なう種族らしく、雑食性で何でも食べるという。

 だが、オレたちがその洞窟の近くを通ったことで眠りから起こしてしまったらしく、いきり立って襲いかかってきた。

 「イシカ! ホノリ! こらしめてやりなさい!」

 「はーい! 承知であるゾ!」

 「ほーい! わかったのだー!」



 うん……。このセリフ、1回言ってみたかったぁー!

 あの有名な時代劇、『水戸納豆モン』の納豆モン様のセリフだ。

 すけべぇさんと、かくれむっつりさんのお供の二人が悪いやつをなぎ倒すんだよな。見てて爽快な気分になったものだ。



 イシカが赤い長い髪を振りかざし、その手をかざし、手のひらからレーザービームを撃った!

 ホノリが青い長い髪をなびかせ、空中に回転しながら、砂に棲むものたちの真ん中に着地したかと思うと、一瞬で回転蹴りを繰り出し、魔獣たちをなぎ払った。

 その円の中心から弾き飛ばされた魔獣たちは、イシカのレーザーでことごとく撃ち抜かれていくー。



 戦いは一瞬だったー。

 「見事だったな。イシカ! ホノリ!」

 「ご苦労でしたよ。イシカ。ホノリ。」

 オレとアイがその労をねぎらう。

 「イシカに任せてくださいなってんでぇ!」

 「ホノリにお任せなのだってばー!」

 二人は口々に叫んだ。その顔は嬉しそうな笑顔を見せていた。



 そうして、オレたちは『無名都市』に辿り着いた。

 砂漠の砂嵐で建物は劣化し、廃墟になっていた。

 猛毒を持つ魔物であるギガタランチュラやバケサソリが棲み着いており、危険な地域となっている。



 だが、イシカもホノリも毒はまったく効かないし、襲ってこようものなら、返り討ちにできる。

 魔物の方からオレたちに手を出してくることはなかったのだ。

 かくいうオレも、超ナノテクマシンで毒は無効化できるし、その前に防衛体制に入っているオレに触れることさえできないのだ。

 ミニ・アイがさらに周囲を警戒しているため、まあ、心配はないってことだな。



 「廃墟……って感じだな。アイ! あの蜘蛛の魔獣と、サソリの魔獣の他になにか気配があるか?」

 「索敵します……。……感知しました。地下に無数の気配があります。さらに、南東方向に大きな気配があります。」

 「地下……か。その大きな気配が、どうやら砂竜のようだね。」

 「マスター! 地下から複数の気配が近づいてきています! いかがなさいますか?」



 どうやら、地下にいるなにかの生き物がオレたちに気づいて近づいてきているようだ。

 このまま、逃げてやり過ごすこともできるが……。

 「警戒態勢をとれっ! イシカ! ホノリ!」

 「了解だゾ!」

 「わかったのだ!」

 オレは目の前にある、岩の暗い洞窟に注意して待った。



 ガサガサガサ……!

 ワサワサワサ……!

 洞窟から這い出てきたのは、這って歩くワニのような爬虫類種族だった。

 その中に王冠をかぶった見るからに種族の首領っぽいワニ人間が前に進み出てきた。

 その隣にも1匹付添いでついてきている。



 「これはこれは。ハスター様の使者の方でしょうか? 私がこのクロコ・クローラーの女王ヤヒロでございます。」

 「おお。これは丁寧な挨拶……。オレはジンだ。だけど、オレはそのハスターさんの使者ではないよ。」

 「なんと……!? 違うのか……。使いを出してはや10日が過ぎた……。このままでは我らは砂竜に滅ぼされてしまう……。」

 「え? 今、砂竜って言った?」

 「はい。我らクロコ・クローラー種族は、今、あの憎っくき砂竜のやつに脅かされておるのです。」

 そう言ってきたのは、ヤヒロと名乗った女王(ワニのオスメスはまったく見分けがつかないけど……。)の側近らしい者だ。



 「じゃあ、偶然だけど、ちょうどいいというか。オレたちはその砂竜を捕獲しに来たんだよ。」

 そうオレがここに来た目的を告げると、ワニ種族たちが口々に反抗してきた。


 「ええっ!? あの砂竜を捕獲? ……冗談もいいかげんにしろ! 砂竜だぞ? 倒せるわけ無いだろ!」

 「そうだそうだ! それにお前たち……。魔力のカケラも感じぬぞ!」

 「ヘタに砂竜を刺激したら、我らに危害が及ぶぞ!」

 「ヤヒロ様! この者らが、なにかしでかす前に捕らえて牢にぶち込んでおくべきですぞ!」

 おお……。なんだか、ヤバい雰囲気だな……。



 「アメミット! ハスター様から返事が来るまで、この者らを捕らえて、牢に入れておけ!」

 「かしこまりました!」

 そう言われたアメミットというワニが、周りのワニたちに向かって合図を出すー。



 「者どもっ!! かかれぇ! この者らを捕らえよ!!」

 「「「おおおお!!」」」

 ワニ種族・クロコ・クローラーたちがそれぞれ、武器を構え、オレたちに向かってきた。


 地面を這いながら……。


~続く~


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