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おっぱいから始まる恋もある?

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「どうだ! 俺の勝ちだ!」

 最後に帰ってきた答案の点数をノートに書き込み、二人で計算する。何度計算しても俺の勝ちであることは間違いない。俺は勝ち誇ってそう言ってやった。

「そんな、まさか……」

 彼女は信じられないような顔をしている。ああ、俺も信じられない。

 *

 ことの始まりは前回の定期テストである。俺は赤点ギリギリの酷い点だった。隣の席に座る学級委員長、成績はクラスで一番の奴がそれを見ると、馬鹿にした目つきで言ってきた。

「相変わらず酷い点ねえ」
「うるせえ、次は絶対いい点取る! むしろお前に勝つ!」

 悔しかったので思わず言ってしまった。

「そんなの無理に決まってるじゃない」
「じゃあもし勝ったらどうする?」
「そうねえ。じゃあ、負けたほうは勝ったほうの言うことを何でもいうこと聞いてあげる、ってのはどう?」

 何でも……? 本気だろうか。まあ行き過ぎたことをすれば退学処分を食らうだろうから限度はあるだろうが、そこまで言ったからには責任をとらせてやりたくなる。絶対、俺に勝ち目はないと確信した上で言っているだろうから。

「お、言ったな! 取り消すんじゃねえぞ!」
「その代わり、私が勝っても言うこと聞いてもらうわよ」
「当たり前だ!」

 俺はあっさりと勝負を受けた。仮に俺が負けたところで、彼女の立場的には無茶な命令をするとは思えないという安心感に甘えていたのは確かだろう。ともかくも、俺はこいつに勝った。つまり、何でも命令できる状態だ。

 *

「……それで、何して欲しいの?」
「そうだな、おっぱい見せてくれないか」

 テストのあとの手応えが予想以上だったので、俺は本気で命令を考えた。普段は絶対に頼めなようなことで、なおかつぎりぎりで許されそうなことだ。

「はい? 何考えてんの?」

 彼女は呆れた顔をした。予想では、怒るか呆れるかのどちらかだと思っていた。ここで本気で怒られたら謝ろうと思ったのだが、この反応は脈があるかも知れない。

「頼む……!」

 押せばいける。そう確信した俺は、まっすぐに彼女の目を見て真剣な顔でそう頼んだ。

「……まあいいわよ、そのくらい」

 彼女はたじろぎながら、ゴミを見るような目つきで俺を見つつ、提案は受け入れてくれた。正直、こんなにあっさり済むとは予想外だった。

「マジか!?」

 やはりこの程度の願いで正解だった。これが「ヤラせろ」なら殴られて終わりだっただろう。

「くだらないことは早く済ませたいわ。今日の放課後は空いてる?」
「ああ、遊びも塾もないからフリーだぞ」
「じゃあ、私の家に来てもらっていい?」
「おう、わかったぜ!」

 *

 彼女と二人での帰り道。家は学校から歩いて行けるほど近いとのことだ。

「あーあ、あの計算ミスと漢字の間違いさえなかったらなぁ……」
「委員長も意外とツメが甘いんだな」
「本当よ! まさか、あんたが本気出すとこんなに取れるなんてね」

 そんなことを話しているうちに家についた。今は家族は誰もいないようだ。女の子の家に上がるのは何年ぶりだろう。玄関で靴を揃えながら、無茶なお願いをした自分のバカさ加減に呆れつつ、彼女の度量の深さがスコス怖くなった。

「ここよ、入って」

 部屋を見回すと家具やカーテンはパステルカラーで統一されている。いかにも女の子の部屋といった感じで、ぬいぐるみもいくつか置いてあった。学校では大人ぶっているが意外と可愛いところがある。

「それじゃ……約束だからね」
「え、もう始めるのかよ?!」
「うるさいわね。こういうことは思い切りよくやらないと出来ないものなのよ」

 そう言うと、彼女は本当に制服を脱ぎ始めた。まずジャンパースカートの横にあるファスナーを下げて、上半分だけ脱いだ状態になる。続いてブラウスのボタンを上から順にてきぱきと外して、さっと脱いだ。水着の日焼け跡がうっすらと残る素肌に白いブラジャーが眩しい。

「ねえ……やっぱり、本当に脱がなきゃ駄目?」

 彼女は背中のホックに手を伸ばすと、少しためらいながらそう言った。堂々と脱いだのは少し意外だったが、やはり胸を見せるのは抵抗があるようだ。

「今さらやめるの?」

 先輩が言っていたのを思い出す。下着、つまり普段見せることのない姿を見せたのなら、もう裸になったも同然。もう一押しだと。

「はいはい……」

 観念したかのようにホックを外すと、肩紐に手を添え、少しだけためらう仕草を見せてから、さっとブラを抜き取る。俺の眼の前にぷるんとした膨らみが現れた。小さい乳首がツンと上を向いている。

「これで満足した?」
「おお……」

 俺は言葉を失った。いくら賭けに勝ったとはいえ、本当にここまで見せてくれるとは思わなかった。そして、こんなに脱ぎっぷりがいいとも思わなかった。ともかく、あの口うるさい委員長が俺の前で、裸の胸を晒しているという事実に言葉を失う。

「あんまり……じろじろ見ないで」

 気にせずに見とれていると、突然彼女が抱きついてきた。柔らかい胸の感触を感じる。

「おい、いきなり何すんだよ」
「こうすれば見られないからね。それに私もドキドキしちゃったから、ぎゅってすれば落ち着くかなと思って」

 彼女の心臓の音が大きく聞こえる。あるいは俺の心臓の音かも知れない。俺も彼女の裸の背中を抱き返す。しっとりと軽く汗ばんでいるようだ。そのまましばらく時間が経った。

「ねえ、ちょっとだけ離れてもいいかな?」
「別にいいけど……」

 彼女は俺の背中に回していた手をほどいて一歩下がる。胸はしっかりと両腕でガードされてしまった。そんな姿を見ながら、俺もシャツを脱いでいく。

「ちょっと、何する気なの?!」
「大丈夫、変なことはしないから」

 裸の彼女と抱き合っているという時点ですでに十分「変なこと」だとは思うのだが、俺としては彼女と素肌で触れ合いたかったのだ。

「ほら、さっきみたいにしてくれる?」
「う、うん……」

 彼女は少し戸惑っていたが、俺が頼むと体を寄せて、再び両手を背中に回してくれた。触れ合う裸の胸を通して、お互いの鼓動と体温を、少し汗ばんだ肌を感じ合う。

「なんだろうね、ずっとこうしていたい」
「俺も……」

 彼女の裸に興奮しているのは事実だが、今はセックスなどよりも純粋に肌で触れ合っていたかった。

 *

 しかし、この時間は長く続かなかった。玄関のベルが鳴ったのである。

「あ、お母さん帰ってきてたかも!」

 彼女は俺から離れる。そして裸の胸を隠しもせずに、脱ぎかけのジャンスカを完全に脱いで水玉柄のパンツ1枚の姿になった。思わぬラッキースケベ。すらりとした脚と丸みを帯びたお尻に思わず見とれてしまう。

「もう、見てないで早く服着て!」

 彼女は小声で叫びながら、タンスを開けてゆったりとしたワンピースを引っ張り出し、急いで頭から被った。

「お、おう」

 俺もまた、急いでシャツを羽織ってボタンを留め、ズボンの中に押し込む。

「お母さん、おかえり」
「すみません、お邪魔してます」

 なんとか制服を着直した俺は、彼女と一緒に母親を出迎える。

「あら珍しいわね、男の子を連れてくるなんて」
「勉強を教えてもらおうと思いまして」
「そうそう」

 適当に答えると、彼女もちゃんと合わせてくれた。

「まあ、テスト終わったばっかりなのに熱心なこと。あとで差し入れ持っていくわね」

 そういうわけで、本当に勉強することになった。まあ今回は俺がテストの点で勝ったとはいえ偶然のようなもので、基本的には彼女のほうが勉強はできる。

「じゃあここの問題だけど、これはこっちの公式を使って……」

 真面目に勉強しようとしている俺に対して丁寧に教えてくれる。こんな一面もあったのか。彼女の教え方が上手いのか、彼女だからこそ俺が真剣に聞いているのかわからないが、集中しているうちに時間はあっという間に過ぎていった。

「ふたりとも、そろそろ休憩にしたら?」

 彼女の母親がお茶とお菓子を差し入れてくれる。

「ありがとうございます」
「いただきま~す」

 お茶をしながら話をしているうちに、気がつくと夕方になっていた。

「これ食べたらもう終わりにしようか」
「そうだな」

 穏やかな時間が流れる。先ほどまで裸で抱き合っていたのがまるで夢のようだ。

「それじゃ、また明日」
「いつでも遊びに来てね」
「おばさん、ごちそうさまでした。それでは失礼します」

 俺は家に帰ると、改めて先ほどの非現実的な出来事を思い出し、彼女の裸を思い出して2回もオナニーしてしまった。

 **

 この日の後、クリスマスには彼女を含むクラスメイトでパーティーをした。初詣には2人で一緒に行った。しかし、それ以上は何もなかった。

 さらに月日は流れ、今日はバレンタインデーだ。

「はい、これあげる」

 帰り道で、彼女から包みを渡された。

「おお、サンキュー」
「他の人には絶対見せないでね」
「もちろん、わかってるよ」
「じゃあ私は帰るね!」
「おう、またな!」

 彼女は家に向かって走っていった。俺はそれを見送ってから家に帰ると、早速貰った包みを開けることにした。

 中に入っていたのはちょっと高級そうなチョコレートの箱と、もう一つは……コンドーム?! ということはつまり……。さらにメッセージカードが1枚入っていた。

『今度は最後までしようね』

 つまり俺に体を許してくれるということか。俺は舞い上がりそうになった。そしてその夜、夢を見た。彼女と結ばれるという幸せな夢だ。おかげでパンツは洗う羽目になってしまったが。

 翌日、通学路で彼女に会った。

「おはよう、プレゼント、見てくれた?」
「うん、ありがとうな」
「へへ、嬉しい……」

 少し恥ずかしそうにそう答える彼女。

「それでさ、『今度』っていつにする?」
「えっ!? それはその……家に誰もいない日なんてめったにないからなあ……」
「そうだよなぁ。うちも同じようなもんだし」
「いつになるかわからないけど、その日まではちゃんと取っておくからね」

 俺はそんな彼女に顔を寄せて、素早くキスをした。周りには誰もいない。

「ん……?!」

 彼女は驚いたようだったが、拒絶はしなかった。唇を離すと、彼女は顔を真っ赤にして言った。

「もー、いきなり何するの?」
「いや、なんか我慢できなくてさ」
「しょうがないなあ。ファーストキスはもっとロマンティックなところでしたかったのに」

 彼女はそう言うと、今度は背伸びをして自分からキスをしてきた。

「これからもよろしくね」
「ああ、こちらこそ」

 俺たちは少しの間だけ手を繋いで、一緒に学校へ向かった。
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