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ファイナルファンタジー1

第19話:息抜きのレベル上げと写メ

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 僕は、ハルキから送られてきたパスワードを使ってDQ1の続きをする。移動してもグラフィックが前向きのままなのが少し気になったが、アイコンが動いていると思えばそれほど違和感はないのかも知れない。話しかける時の方向指定(東西南北)にも驚いたが、十字キーがそれぞれの方向に対応しているのですぐに慣れた。

 ちょうどあと1ポイントでレベルアップするようなので、城の外に出てちょっと戦ってみる。スライムを一撃で殴り倒してレベル3に!

「お、効果音つきかぁ!」
「そういやFFだとレベルアップの効果音がないんだよな。やっぱりあったほうが景気よくていいよなぁ」
「勝利のファンファーレはFFのほうが派手で好きかも」
「だな。DQのレベルアップと、FFの勝利はシリーズの定番だから色んなところで使われてるぞ」

 そういえば、CMやバラエティ番組などで聞いたことがあるような、ないような。

 隣にある町に入ってみる。現在の装備は棍棒と布の服で、盾は無し。次に買うとしたら90ゴールドの皮の盾だな。

 *

「ねえ、スライムベスの"ベス"って何?」
「さあな。ドラクエ1は使えるカタカナが少ないから独特のネーミングが多いぞ。確か、20文字くらいだったかな」

 90ゴールド貯まるのとほぼ同時にレベル3になった。ホイミの呪文を習得。

「これはHP回復だな」
「ホイミって、どこの言葉なの?」
「ああ、ドラクエの呪文は独自の単語だからな。イメージで付けているらしい。これも文字不足が理由の苦肉の策みたいだぞ」

 言われてみれば、体が治るような気がする。「保・癒・身」って感じか?

「そうそう、MPはここで回復できるぞ」

 父は僕からコントローラを受け取り、城に入って老人に話しかけた。「光あれ」の一言とともに、画面がフラッシュしてMPが回復する。

「この"光あれ"爺さんをうまく使うんだ。MPだけだがタダで何度でも回復してくれる。まあ宿屋も安いんだが、今は1ゴールドでも節約したいだろ?」

 *

「お、グラフィック変わるんだ」

 皮の盾を買って装備すると、見た目にも反映される。

「これ、種類によって見た目も変わるの?」
「いや、そこまで作り込んでるわけじゃないな」

 ゴールドを使い果たして失うものが無くなったので、洞窟を探索してみることに。いきなり真っ暗で驚くが、ここでたいまつを使うわけか。中に敵はおらず、あるのは情報が刻まれた石版のみ。

「ふーん、FFのクリスタルみたいに3つのアイテムを集めるのが中間目標なのか」
「うーん、ちょっと違う気もするけど、まあ必須アイテムには違いないか」

 *

 その後、勇者はるまきがレベル5になるまで経験値稼ぎに熱中してしまった。レベルアップのテンポがよく、強化幅も大きいのが嬉しい。「ギラを覚えたら魔法使いも倒せる」という説明書の一言が印象的で、つい試してみたくなってしまう。

 FF1のほうは飛空船を取ったらイベント進行が早すぎて、じっくりレベルを上げる必要がなくなってしまった(そもそも積極的に敵を倒したのは船を取った頃くらいのような気がする)ので、息抜きとしてちょうど良かった。

 とはいえ、FF1のほうをほったらかして本腰を入れるのは良くないと思ったので、きりが良いところでストップする。たいまつは使ったら無くなってしまったので買い直し、復活の呪文を撮影して送信する。

 ぜごばこせ でおわげずけほ
 めよれぎざ かりば

 *

「今の子は携帯で写真撮れるから便利だよなぁ」
「でも、父さんも中学の頃には携帯持ってたんでしょ?」
「携帯は持ってたけど、カメラ機能はまだ付いてなかったんだ」

 これは意外だった。僕は物心付いたころから、親のお下がりの古いガラケーのカメラで遊んでいたので、携帯電話=カメラだと思いこんでいたのだ。

「ちょうど父さんが高校に入る頃かな。しゃメールっていうのが登場して、革命的だったんだぞ。それまでは高価なデジカメか、フィルム代や現像代が必要なアナログカメラしかなかったんだからな」

 今となっては誰もが、気が向いた時にいくらでも写真を撮れるようになった。しかしそれが当たり前になったのは、ほんの20年ほど前からなのだ。

 ***

 注:

DQ1のカタカナの数

 ひらがなと共用である「ヘ」「リ」を含めても21文字しか使われていない。

 *

『写メール』

 2000年11月に対応機種が発売。タケルの両親が中3の頃であり、タイミングとしては高校進学をきっかけに買い替えたり新規契約をするパターンが多かったと思われる。
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